フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

アズーリに出されたとんでもない規則。

先週ここでもこきおろした
トラップ君ことトラパットーニ監督ですが、
記憶力はなかなかしっかりしてるようです。

彼は、2002年日韓共催W杯で日本にいた時に、
なにがアズーリに起きたのかを思いだしました。
そして、同じまちがいを犯さないように手段を講じました。

仙台では選手たちにちょっと甘い顔をしすぎた──と
監督は反省したようです。
彼がうるさく口出ししなかったので、
選手たちは宿泊していたホテルをしょっちゅう抜け出し、
仙台の中心街にくりだしては店を散策したり、
ついでに日本のお嬢さんたちと知り合ってみたり、
おおはしゃぎでした。
ホテルにもどるころには、
はしゃぎすぎた心身はともに疲労困ぱい状態!!
あれは、まずかった、もっと管理しなければ、
というわけで、
ポルトガルで開かれるUEFAヨーロッパ選手権にむけて
細心の注意をはらいつつ準備を進めているアズーリに、
トラップ君は実に厳密な規律を下しました。

イタリア男に、こんな規則とはね!


今、彼らはフィレンツェの近くにある
アズーリのスポーツセンターで合宿中です。
トラップ君は、
選手たちと妻や恋人との面会についてだけでなく、
携帯電話の使用制限から昼食と夕食の時間厳守まで、
生活の規則を作りました。

彼が決めたといっても、
ポルトガル大会をにらんでイタリア代表チームに出された
「行動の基準」に、おおむね沿ったものです。

アズーリのキャプテンである
ファビオ・カンナヴァーロも参加している委員会に
承認された「規律」は、たとえばこのようなものです。

選手たちが妻や恋人に会えるのは夕食後の
21:00〜22:00の間だけ、
それも公の場所で面会すべし。

選手たちの部屋を誰も訪れてはならない。

UEFAヨーロッパ選手権のすべての期間中は
セックス禁止。

‥‥という次第です。

期間中、選手の家族や身内の人々は、
専用のホテルに招待されます。
専用ホテル? そう、つまり
国のお偉いさんたちの目の光っている所です。

「選手たちの要求はぜんぶ聞き入れたよ」と
トラップ君は保証しております。
「何も新しい規則はない、
 日本で起こった事を
 はっきりさせただけのことだ」と。

アズーリはCT(スポーツ技能検定委員会)の決定を
受け入れ、これを支持しているように見えます。
「規則は均衡をととのえるし、
 ときには厳格さも必要だ」と、
ゴール・キーパーのジャンルーカ・ブフォンも
言葉をにごしません。

新しい規則に
あまりびくびくしていない選手のひとりが、
キャプテンのカンナヴァーロです。
「僕の妻は赤ちゃんを待っているから、
 家で静かにしてるんじゃない?」と
にこにこしています。
あ、そう、そういうわけね。



じゃあトッティはどう思ってるのかな?


フランチェスコ・トッティは、
日韓共催W杯の時には、
彼のご乱行がイタリアの負けの原因だとさえ
いわれた張本人ですが、
今回のUEFAヨーロッパ選手権に向けては、
最大限の落ち着きで準備にあたっています。
彼は、所属チームのローマの経営困難による
移籍問題が取り沙汰されているのですが、
ACミランには行かないし、
イタリアの他のチームには行かないと、
記者会見の時に、明言しました。
ということは、
ローマに残るか、レアル・マドリードに行くか、
道はふたつにしぼられたという発言ですね。
トッティは、こう言いました。

「これでベルルスコーニは心穏やかになれるか、ですか?
 答はイエスでしょう。
 心穏やかになれるのは、彼に限らないでしょうけど。
 僕はイタリアでは、
 ローマ以外のシャツは決して着ないつもりです」
 
ローマに残りたいけれど、
「競争力のあるローマ」でなければならないと、
彼は数え切れないほどくりかえしました。
トッティの来期についての、
彼自身による手短ではっきりとした見通しです。

「たくさんのACミランのファンが
 僕を望んでくれていると思うと、
 僕も心が揺れます。
 でも、もし僕が赤黒に(ACミランに)行くなら、
 殴り込みも辞さないとまで黄赤の(ローマの)
 ティフォーゾたちが言っているのを聞くと、
 彼らを大切にしなきゃ、
 イタリアでは黄赤以外のシャツは着ないぞと
 思うのです。
 僕は口だけの人間ではありません。
 言ったら実行します。
 ローマかレアルかという事ですか?
 そうですね、今のところ
 そのふたつの可能性があると思います」



トッティは、UEFAヨーロッパ選手権の期間中は
移籍の件は離しておきたいからと前置きして、
7月4日の後のことを予告しました。

「僕はすでに会社と話し、
 はっきりとした要求を出しました。
 僕の望むのは
 カンピオナートでもUEFAチャンピオンズ・リーグでも
 素晴らしい競争力のあるチームなんです。
 ポルトガルから帰ったら、
 それを確認する対談が、また持たれるでしょう」

そしてトッティは、ポルトガルでの冒険について、
ふたつの目標を僕らに告白してくれました。

「まずUEFAヨーロッパ選手権に勝つこと。
 そうすれば黄金のボール賞も
 ねらえると思うんです。
 それから、その後で結婚するつもりです。
 具体的な日程は、
 まだぜんぜん決めていませんが、
 本当に結婚しようと思っています」
 
ちなみに、トッティ王子のフィアンセは、
超絶美人のヒラリーです。


訳者のひとこと

ううむ。
イタリア人の団体旅行客が
なんで少ないかというと、
だれも規則を守らないからなんですが、
アズーリ、大丈夫でしょうか????

翻訳/イラスト=酒井うらら

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2004-05-31-MON

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