フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ベルルスコーニ首相の美容整形。


毎度お騒がせの、我らのイタリア首相ベルルスコーニが、
またまたまたやってくれました。
ACミラン会長でもある彼のおかげで、
イタリアではサッカーと政治が
どんどんごちゃ混ぜ状態です。
これはもはや「流行」と言っても良いほどです。

ルックスを重視する傾向が、イタリアだけでなく
世界中のいわゆる成功者たちにまでおよんでいますね。
彼らは、自分のイメージというものを、
細かいところまで気を配って
作り上げようとします。

我らのシルヴィオ・ベルルスコーニ氏も
例にもれることなく、
「完璧」というイメージを作ることに、
たいそうご熱心です。

実は春の終わりにヨーロッパ議会の選挙があります。
ベルルスコーニは、この準備を、着々と、しているのです。


消えたベルルスコーニは
スイスで手術を受けていた!



昨年のクリスマス休暇の1週間、
彼はこつ然と姿を消しました。
テレビにも現れず、
新聞のどこを見ても彼の写真はなく、
インタビューの記事もなにも、
とにかく「消えた」のです。

どこに居たか?
スイスです。
何をしていたか?
整形手術です!!!
彼はこっそりとスイスへ行き、
整形外科専門の病院を貸し切りにして
顔にややこしい手術を受けたのでした。

4人の有名なアメリカ人外科医が、
記録的な報酬で雇われたと言われています。
彼らは、イタリアを治めているこの男の顔の上で、
メスとシリコンとで奮闘したのでしょう。

目の下の袋がとり除かれ、
首のしわにシリコンが注入され、
ベルルスコーニがふたたびテレビに現れた時には、
10才は若く見えました。
マンマ ミーア!(なんということ!)

選挙に勝つには、
気合いの入ったキャンペーンを
繰り広げねばなりません。
より若くダイナミックな印象を出せれば、
多くの浮動票も
こちらを向いてくれるかもしれません。

ベルルスコーニのイメージというと、
まずテレビ王としてのキャリアが思い浮かびます。
確かにこれは彼が築き上げたキャリアです。
政治家としての大きな活動は、
テレビ王になってからのことです。
そんな彼は、若く見えることは
本当に若いのと同じくらい重要だと、
信じているらしいのです。




ミランの勝敗が
ベルルスコーニの政治生命を左右する?



しかし、
10才若返っても、彼は満足していません。
これは外見のことだけですものね。

彼は「勝利者」としてのイメージも、
もっともっと打ち出したいのです。
彼は、彼のミランが
イタリア全国リーグ戦である
カンピオナートに優勝したら、
すごい額の賞金を出すと約束しました。
チームの勝利は、会長の勝利でもあります。
賞金額は明らかになっていませんが、
選手のひとりひとりに百万ドルずつ出すらしいと、
うわさになっています。

昨年、まさにベルルスコーニが
EUの臨時会長(6ヶ月間だけ)に就任する直前に、
彼のミランはマンチェスターをくだして
ヨーロッパ・チャンピオンになりました。

この勝利によって、ベルルスコーニは
ヨーロッパ中のメディアでその露出度を増しました。
それも、単なる政治家としてではなく、
望みを叶えることのできる男として。

そして、今はイタリアの有権者たちの心を、
もっとつかまなくてはなりません。
それにはミランに勝ってもらうのが一番です。
すでに、ベルルスコーニは
ミランに大金をつぎ込み続けています。

彼のミランへの投資は、
今までのところ大変に輝かしい結果を生んで、
ミランはカンピオナートの首位にいます。
(2月1日現在)

ヨーロッパ・チャンピオンである
このチームを補強するために、
彼はブラジル人をふたり買い入れています。
若手の精鋭カカと、ベテランのカフーです。

こうしてベルルスコーニは、
ミランをチャンピオンにすべく
大金をつぎこみながら
「勝利者」のイメージを、
自分にも大金をつぎこんでルックスを、
整えたのです。
これで好感度は抜群!‥‥のつもり?

でも、一体なんだというんでしょうか、
これらの莫大なお金は!
これで何票ふえるんでしょうか?
ぼくは疑問ですが、
ま、他人がとやかく言ってみても、
お騒がせベルルスコーニは
自分のやりたいようにやるんですけど。


訳者のひとこと

本当だったんですねえ、整形疑惑。
確かに彼はイタリア男にしては、
ちょっと・・・。
でも、それって
「顔だち」の問題ではなくて、
「顔つき」の問題だと思いますよ〜。

翻訳/イラスト=酒井うらら


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2004-02-09-MON

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