フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

日本のお嬢さんと、
イタリアの男たち。


絶対に向き合うことがないものはなんでしょうか?
フフフ! 今日はフランコのなぞなぞの日です。
答えは、土曜日にネ! なんて言いません、
これを最後まで読んでくだされば、
ちゃーんと分かりますよ。

ブランド大国の日本は、
ユーロ圏内のメーカーやショップにとって
大切な取引国です。
勿論我国イタリアにも世界に誇るブランドが沢山あります。
夏休みシーズンのモンテナポレオーネは、
ブランド名が入った紙袋を持つ
日本のお嬢さんで混雑しています。
20年前の夏休みは、
ほとんどシャッターが降りていたというのに。

先日講義を依頼されたミラノの日本人向け語学学校には
こんな張り紙がありました。

「至急送付願う。ヴィトン******番
 グッチ・・・・・・・番 各10個
 ○○日まで発送可能な方は、
 コレクトコール#######番までTELください。
 高額謝礼進呈

ここまでやるか! と恐れ入ったフランコでしたが
なるほど納得! 国際空港リナーテの到着ロビーには
ユーロから輸出された数々のブランド品を持った
日本のお嬢さんが毎日到着していたんですから。

というわけで、
今回はメルカート(青空市場)のワンショットを
お見せしましょう。
プラダ・ミュウミュウの靴が80ユーロです。
なんと3足だと200ユーロだそうです。
(すべて本物です)
写真の女性「タカイワネー! マケテヨ!」
なんて言っていました。
いったい日本ではHow much?



イタリアブランド大好きなお嬢さん。
今度は脳までマッチョなイタリアーノはいかがですか?
なに? 男もブランドでなければ嫌だって?

イタリア男が思う、
日本人女性とは?

ロマンティック。

「日本」という言葉から何を想いおこしますかと、
もしイタリア男性に聞いたら、
「ロマンティック」と彼は答えるでしょう。

桜の花、富士山、浅草のお寺、
そして晴れの時にはこんなにも青い空の色。

それから?

それから「マダム・バタフライ」蝶々夫人です。
イタリアのリリック・オペラ作曲家のなかで
一番ロマンティックなジャコモ・プッチーニだけが、
物語と音楽にすることのできたロマンティックなお話。

アメリカ人ピンカートンと狂おしいほどの恋に落ち、
彼が別の女性をつれてアメリカから
戻った時に自刃してしまう、可哀想な長崎娘のこの話は、
1904年にミラノ・スカラ座で初演されて以来、
何百万人ものイタリア人たちの涙を誘いつづけています。

もう愛されていないと知った時に死を決意してしまうほど、
そんなにも彼女の中尉に恋こがれたこの長崎の娘の、
胸がはりさけそうな情熱。
それは、イタリア男性たちにとって
日本女性の象徴なのです。
甘く、やさしく、ロマンティックで純粋で、
傷つきやすく繊細、情熱的で死ぬまで貞節な日本の女性。

そのようなわけで、日本を訪れるイタリア男性の面々は、
まさにこのようなマダム・バタフライ的女性に
出会えることを、夢見つづけているのです。



マルディーニかく語りき。

W杯の準備のために仙台で一ヶ月以上を過ごした
アッズーリの選手たちも、同じことを夢見ていました。

パオロ・マルディーニ、ヴィエリやトッティ、
カンナヴァーロもネスタも、
彼らが自由時間に仙台の中心街を散歩していると、
ファンたちが近寄ってきて、
サインや一緒に写真をとることをお願いしていたのを
思い出します。

サッカー選手たちはハンサムで、お金持ちで有名ですから、
ファンたちに取り囲まれるのには慣れています。

でも、日本では、何か、いつもと違うことが起こりました。

たとえばパオロ・マルディーニは、
こんなふうに思い出を話してくれました。

「僕のキャリアの中では、女の子たちに囲まれて、
 声をかけられたり握手を求められたり
 写真を一緒にとったり、
 世界中どこでもそんなことは何回もあったよ。
 フランス、アメリカ、南アフリカやロシアでもね。
 でも日本では全く別なんだ。
 日本の女の子たちは眼とハートの中に
 特別な何かを持っているんだ。
 西洋人が、たぶんもう、永遠になくしてしまったような
 穏やかさだね。
 感動的な優しさや穏やかさ、
 心の中の美しさの魔法にかけられて
 言葉を失ったよ」

イタリア男性たちにとって、日本女性は魅惑的な夢であり、
完璧な清純を意味するのです。

マルディーニは、こう続けます。
「日本へは、その前にも何回か行ってるけど、
 トヨタ・カップのためだけに何日間か居ただけなんだ。
 5月、6月はまるまる何週間も仙台に居られて、
 日本女性の世界をちょっと分かることができたのは、
 ラッキーだったよ。
 あそこでは、最高の思い出もできたんだ。
 僕は妻へのお土産に、とってもきれいな
 「帯」を持って帰って、今それは
  ミラノの家の壁に飾ってあるんだけれど、
  妻にもよく日本の思い出話をするんだ。
  その帯を見るたびに日本を思い出す。
  そうすると胸がきゅっとなって、
  ウルウルしてきちゃうんだ」

そしてバックには、まるでサウンド・トラックのように、
あの希有の名曲、ジャコモ・プッチーニの
「マダム・バタフライ」が
流れているのでありました。

ああ、ロマンティック・ジャッポーネ・・・!?

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さて、賢明な日本のお嬢さん答えはお分かりですか?
絶対に向き合うことがないもの
それは「コインの表裏」です。
もしくは、「男心と女心」でもよしとしましょうか。

翻訳/イラスト=酒井うらら

フランコさんのくわしいプロフィールはこちら、

フランコさんのホームページはこちらです。(日本語もあるよ!)

2002-10-07-MON

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