アズーリにべったり密着50日!
フランコさんは特別なスポーツ記者なんだぜ。

トッティとデル・ピエーロ。

こんにちは。イタリアチームの予選突破で
ほっとしているフランコです。
予選通過が決まった大分での試合のあと、
すぐに、読者のみなさんから、
たくさんのメールをいただきました。
どうもありがとう!
ぼくもみなさんと同じ気持ちで、あの試合を見ていましたよ。
アズーリは14日の朝、
決勝トーナメント出場のための韓国行き便と、
イタリアへの帰国便の両方を予約していましたが
後者をキャンセルすることになって、ほんとうによかった。
ぼくも、イタリア便には、乗りたくはありませんからね!
今回は、あの同点ゴールを決めたデル・ピエーロと、
期待を裏切ってしまったトッティの話です。

「イタリアに帰ってくれないか」

汗、疲労、祈り、そして大いなる幸運。

アズーリがあの試合のあとに乾杯したカクテルには、
そんなリキュールがブレンドされていたと思います。
 
この空色のチームは、世界で1番美しく、
キラキラと輝く魅力的な女性のごとく描かれて
日本にやって来ました。
しかし、大分でのメキシコ戦では、
その美しい女性は醜く老いた魔女に顔を変え、
ファン達を不安がらせました。
アズーリはメキシコに対して汗だくになり、
疲れきったように見えました。

この試合で、偉大な主役でなければならなかったはずの
トッティは、その期待を裏切ったと言わざるをえません。
プレイボーイのごとく注目を集め、
全てを求められることに慣れたこのイタリア人選手は、
恋人のイラリーから嫉妬される原因になるほどに、
日本の少女達から好かれていました。
 
試合の何日か前、トッティは恋人イラリーと、
彼女の嫉妬が原因で口論になりました。
そして、トッティはとうとうイラリーに
「イタリアに帰ってくれないか」
とまで、言ってしまいました。

彼はこのワールドカップで優勝することと、
偉大な主役になることを夢見ています。
しかし、トッティにとってはイラリーが近くに居ることが、
彼の集中力を欠く原因になる可能性があると
考えたのかもしれません。

フランチェスコ・トッティは話すことが好きで、
テレビに映ることが好きで、
インタヴューを受けることが好きで、
有名であるということが好きです。
仙台でのキャンプ中、可能であれば
自由時間には繁華街に出かけ、
サインや写真を求めて彼を取り巻く少年少女たちの間を
散歩していたくらいです。
 
アズーリ優勝のためには
二人の友情が課題に

それに対してアレッサンドロ・デル・ピエーロは
テレビが好きではなく、
ジャーナリストも好きではなく、
インタヴューは少ししか受け付けません。
恋人とスイートルームで過ごしたトッティとは違い、
仙台での夜の自由時間は街には出なかったデル・ピエーロは
1人で寂しく、イタリアに居る友達と
何時間も電話で話をして過ごしていたことは
すでにお伝えしたとおりです。

そしてトラパットーニ監督は、あえて、
そんなデル・ピエーロを
仲間達から孤立させました。
日本でそんなふうに扱われてしまった
デル・ピエーロの心中には、
察して余りあるものがありました。
 
そのデル・ピエーロが、大分で、
メキシコ戦の後半終了数分前に投入され、
試合を引き分けに持ち込む同点ゴールを決めました。
トッティとトラパットーニに対して雪辱を果たしたのです!

彼の活躍で、アズーリは予選突破。
ぼくも惜しみない拍手をおくりました。


現在アズーリは、イタリア便をキャンセルし、
6月の終わりに再び日本に帰ってくることを夢見ながら、
韓国に飛び立ちました。
ワールドカップのタイトルをかけた試合、
決勝戦の時に、横浜に帰ってくることを夢見て……。
 
大分の試合のあと、アズーリの内部では、
トッティとデル・ピエーロ、
全く性格の違う2人のカンピオーネ(名選手)の間に
新たなライバル関係が生まれています。

ぼくは思います。
トッティとデル・ピエーロが
良い友達同士になれれば、
アズーリの4度目の優勝も可能かもしれないと。


翻訳協力=加藤正之
フランコさんのくわしいプロフィールはこちらです。

2002-06-10-MON

BACK
戻る