その4 「スマイルビスケット」を、とてもくわしく。

「黒ごまスティック」の作り方を
みっちりと教えていただいたそのあと、
ひとまずみんなでテーブルへ戻りました。

お茶をいただき、小休止。

テーブルの上にはこの日のもうひとつのテーマ、
「宿題」のお菓子があります。

「スマイルビスケット」。
それは全粒粉がたっぷり入った、
粉の味わいをしっかり感じるビスケットです。
メープルシロップでつけた控え目な甘さなので、
やはり飽きずにどんどん食べてしまいます。

この本の表紙に出ている型抜きクッキーです。
これが、この日の「宿題」でした。
黒ごまスティックで身につけた基礎をもとに、
3人の生徒がつくってきた完成品が、こちら。
作者は左から山下モギみちこです。

こちらの宿題の評価も、なかしま先生、
なにとぞきびしくお願いいたします。

なかしま みちこさんのから、見させていただきますね。
みちこ ‥‥はい(また緊張)。
なかしま 色が、まだらっぽくなってますよね。

みちこ はい(緊張)。
なかしま スマイルビスケットは、
油をすり入れた粉を
メープルシロップでまとめるんですが、
手早くメープルを粉全体に行き渡らせないと、
焼き色がまだらになるんです。
水や豆乳なら気にならないのですが、
メイプルは糖度が高いので、
そこだけ焼き色が強く出るんです。
一同 へええーー。
なかしま でもまだらになったから失敗ではありません。
ちゃんとさくさくに焼き上がってるなら大丈夫。
それよりも、まだらを直そうと、
いつまでも触ってしまうのがNG。
固くなってしまいます。
(食べる)‥‥うん、おいしい。
中まで火が通っていてOKです。
みちこ ありがとうございます(うれしい)。
なかしま つづいて、モギさんのスマイル。
ちょっと厚めですね、そして白いお顔。

モギ なぜか、そういうふうになりました。
なかしま (食べる)‥‥ちゃんと火が通っています。
ぶあつくても白くても、これはおいしいです。
モギ ありがとうございます(うれしい)。
なかしま 最後は、山下さんの。
きれいなきつね色ですね。
3種類のなかでは、いちばんの美人さんです。

山下 ああ‥‥ありがとうございます(感無量)。
なかしま (食べる)‥‥食感も軽くておいしいです。
ただ、やっぱり油の味が残りますね。
これも油がすこし多かったんだと思います。
メイプルの風味がちょっと遠くにある印象です。
山下 (食べる)‥‥ほんとだ(軽いショック)。
なかしま でも、何度も言いますけれど、
みなさんおいしいんですよ。
それぞれ違うのが、たのしいと思うんです。
山下 そうですね、ほんとうに。
モギ こんなに個性が出るもんなんですねぇ。
みちこ 奥深いです。
山下 それでは、なかしまさん、
この「スマイルビスケット」の作り方も、
ぜひ動画でお願いできますでしょうか。
なかしま わかりました。
ええと‥‥説明ありと、説明なしと、
どちらで作りましょう。
山下 もう、基礎は十分に伝わっていると思うので、
ここは解説なしで一気にいきましょう。
簡単なレシピはページに掲載しますので。
なかしま はい、解説なしで。
みちこ 撮影準備、オーケーでーす。

モギ では、よろしくお願いします!
モギ ありがとうございました。

山下 修復がすばらしかったです。
なかしま え?
山下 あの、生地がやぶれたところ。
なかしま あれは、そうですね、
もう一度まとめて伸ばすとかたくなるので、
ちょっとくっつけてあげれば大丈夫です。
焼いているうちにひとつになるので。
みちこ すごく参考になります。
モギ やっぱりこれも
「なるべく触らない」の原則なんですね。
なかしま はい。
ですから最初に伸ばした生地で
できるだけたくさん型を抜くことが大事です。
最初に伸ばした生地がいちばんおいしいので。
山下 「いちばん伸ばし」が、美味い。
なかしま そう(笑)、いちばん伸ばし。
2番目3番目に伸ばした生地は、
どんどんかたくなるんです。
みちこ 生地を伸ばすときに、お箸が登場しました。
なかしま お箸をガイドにして、めん棒を転がすと
生地が均一な厚さになるんです。
目指す厚さに近いお箸を見つけるといいですよ。
ぴったりのものはなくても、
厚くするなら力をぬいて伸ばして、
薄くするなら、すこし力を入れて伸ばせばいい。
こういう道具を
自分の工夫で見つけるのもたのしいですよね。
  このあと、なかしま先生の前で、
「スマイルビスケット」を作ることになりました。
ただし、もうだいぶ時間が経っているので、
作る人は1名のみ。
この日、いちばんおいしい
「黒ごまスティック」を焼いた山川みちこが、
その役をつとめます。

▲先生に見られながら猫の手で、「にゃーー」。

▲お箸をガイドに、均一に伸ばして‥‥。

▲型抜きをして‥‥。

▲自由に顔を、お絵かき。ここ、たのしそう!

▲かわいいねー。あれ? 左下の顔‥‥。

▲これは、うちの社長だ! もっと社長のクッキーを!

▲みんなで描いた「しげちゃんクッキー」。

▲きれいに焼き上がりましたー。
ビューーーンと時空をとびまして、
その日の夕刻、ほぼ日オフィス。
「縁側」と呼ばれる場所でくつろぐ社長を発見。
みちこ 社長ー、「しげちゃんクッキー」です。
社長 な〜に〜?!
お‥‥これはあれでしょう、
三國万里子さんの妹さんの、
なかしましほさんのところで作った、
そういう種類のクッキーでしょう。
みちこ 正解です(笑)。
社長 な〜に〜?!
よし、もうそれは、
気まぐれカメらに載せる。

社長 そしてもちろん食べるのさ。

社長 ‥‥‥‥おいしいね。
これは、バターを使ってないクッキーです。
さりげなくメイプルの甘みがあります。
すごくさくさくで、カリッとしています。
だからどんどん食べられる、
そういうタイプのお菓子です。
ぼくの言うことは、ぜんぶ正解でしょう?
みちこ 正解です(笑)。
社長 まったく‥‥
三國さんといい、なかしまさんといい、
その姉妹はすごいね。
うちの社員をこんなに夢中にして。
「しげちゃんクッキー」をほおばる、
しげちゃんこと糸井重里の言う通りだと思いました。
その姉妹、すごいです。

というわけで、なかしましほ先生、
みっちりお付き合いくださって、ありがとうございました!
みなさんも、ぜひ、
なかしまさんのレシピに挑戦してみてくださいね。

それでは! ナイスなおやつ生活を!

(おわりまーす)

‥‥と、このコンテンツは終了ですが、
なかしましほさんには
つづけて「ほぼ日」にご登場いただきます。




という新連載の開始は、なんと明日!
矢継ぎ早の、なかしましほさんコンテンツです。

新しい企画のテーマは、「みじかいレシピ」。
つまり、
「とてもくわしいおやつのレシピ」の、真逆です。

なかしまさんが、140文字以内でツイートした
「くわしくないレシピ」を
みんなで想像力をはたらかせながら作る!
という読者参加型のコンテンツです。

くわしくは、明日!

なかしまさん、引き続きよろしくお願いしまーす。

※ずっと下↓にも、おいしい情報が‥‥。


「スマイルビスケット」簡易版レシピ

【材料】
 薄力粉   60g
 全粒粉   60g
  塩    ひとつまみ

 菜種油   大さじ2
 メープルシロップ  大さじ1.5〜2

【準備】
 オーブンは170℃に予熱しておく。
 天板にオーブンシートを敷く。

【作り方】

・ボウルに粉類と塩を入れ、
 お米をとぐように手でぐるぐるっと混ぜる。
   ↓
・菜種油を加える。
 スプーンに残った油を指でていねいにこそげとる。
 油に粉をなじませるようにして、
 手でぐるぐるっと混ぜる。
   ↓
・粉と油のかたまりが、そぼろのようにできてきたら、
 両手ですり合わせてかたまりをつぶす。
 ほぼさらさらになればOK。
   ↓
・メープルシロップを全体に回しかける。
 スプーンに残ったシロップもこそげとって加える。
 お米をとぐようにぐるぐるっと混ぜて
 生地をひとつにまとめる。
   ↓
・生地を8mmの厚さにのばし、
 直径5cmの丸型で抜く。
 残った生地は再度まとめて、伸ばして型抜きする。
   ↓
・天板に並べ、スプーンや竹串などで顔を描き、
 170度のオーブンで30分、
 うっすら焼き色がつくまで焼く。
 焼き上がったら取り出して、天板の上で完全に冷ます。


フードムードのクッキーBOX


なかしましほさんのおやつは、
国立のお店で購入することができます。

6種類入りで、2200円(税込)。

ときどき内容は変わりますが、
たとえば取材の日に購入したBOXはこんな6種類でした。

・黒ごまスティック
・ココナッツとチョコレートのドロップクッキー
・ピーナッツバタークッキー
・キャラメルナッツクッキー
・黒糖ビスケット
・ジンジャービスケット


〈ご購入方法〉

国立のアトリエのみでのお渡しになります。
通信販売・発送は行っていません。
「フードムード」のお店や
国立の街もたのしんでいただきたいので、
取りに来られる方への販売にしているそうです。

1日に作れる数にかぎりがあるので、
早めに予約をしてからお買いものに行きましょう。

くわしくはこちら、
「おやつの注文」のページをご覧ください。

営業日は、「お知らせ」でご確認を。


2012-05-10-THU

まえへ
トップへ