怪・その32

「決まって曾祖父」

我が家で幽霊の話となると、
決まって曾祖父が登場します。

私が小学生だったとき、
曾祖母が入院したので
家族でお見舞いに向かいました。

ベッドで寝ていた曾祖母に声をかけると
曾祖母はうわごとのように
こちらを見つめながら

「おじいさん(曾祖父のこと)が
迎えにきているよう。迎えにきているよう」

と繰り返して言っていて、
間もなく亡くなったことがありました。

その出来事をきっかけに、
祖母が思い出した話があります。

それは曾祖父が亡くなる少し前の話です。
その時祖母は昼は働き、家事を片付けたあと、
夜は曾祖父が入院している病院に通う日々を
過ごしていて、心身ともに大変疲れていたそうです。

ある日、祖母があまりの疲労から
曾祖父のベッドにもたれかかって
寝てしまったそうです。

気づくとベッドで寝ていた曾祖父は

「あ‥‥」
「あ‥‥」

と何かをしきりに指差していたそうです。

祖母はなんだろうと不思議に思って
その方向をみました。

その時、祖母が言うには
意識はハッキリしているものの、
視界はぼんやりした状態だったそうで、
そのぼんやりとした景色のなかに

いくつもの風船のようなものが

ポヤンポヤンと浮いていたそうです。

祖母は不思議とその風船にたいして
恐怖の気持ちを持たなかったらしく、
寧ろなんだろうという気持ちで、
その風船をよく見ると、

風船にはそれぞれ

雫の形のような目がついていて、

その目がただじーっと

曾祖父を見つめていたそうです。

祖母が言うには、
その風船のようなものがどうなったか
その後についての記憶が全くないそうですが、
とにかくそのすぐ後に曾祖父が亡くなったそうです。

あの風船は一体なんだったのでしょうか。
ちなみに、曾祖父のお通夜は
カンカン晴れの日に行われたそうなんですが、
そろそろ帰ろうかと親族一同が外に出ようとした瞬間、
大雨が降って
帰れなくなってしまったことがあったそうです。

(b)

こわいね!
2017-09-05-TUE