怪・その21
「目の上の目」
仕事での疲労が溜まると、
金縛りは、時々起きたことがあった。
ちょうど一年前も、
疲れて横になっていると、
ざわざわとした気配が。
「これはまたくるな。」
と腹をくくると、
横向きに寝ていたのだが、
右頬がずんと重たくなった。
「何かが乗っている。」
そう思って恐る恐る右目を開けると、
白目の面積が大きい目と
目が合った。
それも頭部だけ。
私の顔面右側に
睨みをきかせた頭部が乗っていたのだ。
怖さもあったが、
「こんなに疲れてるのに、
なんでこんな怖い思いせんとあかんの?」
と怒りがこみ上げて、睨み返すと、
ふっと重さも頭部も消えて無くなった。
右頬を触ると
汗なのか何なのか
濡れていた。
右頬だけが。
負けん気が強くて良かった。
(あわぶく)