怪・その19

「砂嵐を眺める」

まだ学生で実家にいた時の話です。

実家は1つ違いの弟と2人部屋でした。

部屋の真ん中に布団を並べ、
ちょうど2人の真ん中の足元あたりに
大きめのテレビを置いて、
夜遅くまで2人でゲームをやってはそのまま寝る、
という夏休みを送っていました。

その日も真夜中までゲームをして、
眠くなったので
いつものように電源とテレビを切って寝ました。

しばらくして弟が目を覚ますと、
テレビがついており、画面は砂嵐。

そして、視界の端っこに
布団の上で上体を起こして

座ったまま砂嵐を眺めている私がいたそうです。

なぜ兄は
砂嵐を眺めているのだろうと
寝返りをうって私の方を向くと、

その座っている人影の奥に

私が寝ているのが見えたそうです。

つまり、
私だと思っていたのは私ではなくて、

私と弟の布団の間に

知らない誰かが座って砂嵐を眺めていたと。

弟は私ではないと気がついた瞬間に
金縛りにあい、
そのまま意識を失ったそうです。

次に目を覚ました時は朝で、
テレビも消えており、
何事もなかったそうですが、
そのあと何度聞いても

「あれは夢じゃなかった」

と言っています。

(H)

こわいね!
2017-08-31-THU