怪・その5

「小さな背中」

去年の夏のことです

夜9時頃、
車でスーパーに買い物に行った帰り道、
歩道にうずくまる
3歳位の小さな子供を見ました。

その辺りは近くに民家もなく、
その子以外歩道には誰もいませんでした。

見た瞬間、

『えっ!子供』

と何故か一瞬ゾワッとしました。

深夜ではないにしろ、
そんな小さな子供が
1人でいる時間ではないと思い、
警察に届けようと車をUターンさせ、
男の子がいた場所に戻りました。

その間2分。

その子はいなくなっていました。

戻る間も歩道を注意深く見ていましたが、
間違いなく私は
子供どころか誰も見ていません。

本当の子供がいたのか
霊だったのか
半信半疑でしたが、
後から気がついたことがあります。

その子を見た歩道には
道路側に植込みがあり、
運転席側から見ると
歩道はほとんど植込みに隠れて見えません。

ましてや、
うずくまる小さな子供など
見えるはずがないなと。

でも私は確かに見ました。

黒いTシャツを着て
うずくまる
小さな背中の男の子を。
(s)

こわいね!
2017-08-22-TUE