質問:質問:
「毎日書くこと」についての考えをうかがえますか?
最近の町田さんの小説に変化を感じるのですが、
ご自分では、それをどのように考えていますか? 内容がダメなら、
いくら技術を訓練してもダメなんだ、
という前提をふまえて話すのですが、
基本的には、小説家は休んだら終わりですね。 休んだぶんだけ後退するといいますか、
確実にそれまでに到達した場所よりも
低いところに落ちて、
下のほうからまたのぼってこなければ
いけなくなるようなところがあると思います。
そのあたりは、やはり
「言葉を扱う脳を使っている状態」と
「そうでない状態」
とでは、言葉の道筋のつながりかたが、
ぜんぜんちがってきますからね。 自分の小説でいいましても、
『告白』でも『パンク侍』でも他の小説でも、
これは神の御加護によって
成立したんじゃないだろうか、
というぐらいに
ギリギリのところで書いたものなんです。
ここにいくと絶対にダメだろうという
危険なところに敢えてつっこんだら、
偶然一本の細い道が見つかったことの連続です。 その細い道を見つけられたというのは、
おそらく、窮地に追いこまれた時にも、
脳の活動の中で神経どうしが
太くつながれたかどうか、
というだけの問題だと思うんです。
ですから休んだら小説は粗雑になるし、
その小説家は結局
「難しいところにいかないで話をつないでゆく」
ということになります。
自分の看板のある小説家は
最低限そこでつないでゆく程度の技術はあるけど、
それは何の興奮もない凡百の小説になるわけだから、
それを避けるためにも休みはよくないのです。 文章は反復練習ですから、
技術の面では書けばかならずうまくなります。
配列の問題に尽きるんです。
文章のヘタな人は
言いまわしがひとつぐらいしか浮かばないから、
それをつなげて構成することができないけど、
文章に慣れれば瞬間的にいちばんいい
つながりの候補がすぐに出てくるようになります。
これはほんとにどれだけ書いているかだけの問題です。
どれだけ読んでいるかもあるでしょうが、
三十歳過ぎてから読んでもたぶん
意味しか受けとれませんから
「書く反復練習しかない」と僕は思っています。
明日に続きます。
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2005-06-07 
Photo : Yasuo Yamaguchi [Hobo Nikkan Itoi Shinbun] 
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