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“WONDER SCHOOL !”
ほぼ日刊イトイ新聞 presents 超時間講演会。

本日昼12時より、生中継です。


darling

T-buchou
インターネット中継は
こちらから!

※中継は終了しました。
(5/16 20:00)

Mr.Imaizumi

Mr.tanaka

2004-05-16-SUN



(※前回にひきつづき、
  川勝平太さんと糸井重里の会話をおとどけ!
  講演会の本番は日曜日です。
  会場や、ネット上で、ぜひ、聴いてみてね)
川勝平太さんプロフィール
川勝 ぼくが大学生の頃は、
授業がそもそもなかったのです。
まわりは学生運動一色。
糸井 そこに加わらないのは、
本を読むやつか、もうすっかり
嫌になっちゃって麻雀をやってるやつか、
みたいなところがありましたから。
川勝 学生が覆面してヘルメットをかぶって……
バカなことをしているなぁ、
と思って見ていたんですよ。

なぜ、こういうことをするのだろう?
ところが、なぜ学生運動がまちがいなのかは、
よくわからない。
糸井 そういうときって、
言葉では、言えないんですよね。
勢いのいいほうに流れちゃうのは簡単なんだけど、
「それは違う」って言えないと、
我慢して黙っているしかないですから……。
川勝 あるとき、例によって図書館で勉強していると、
図書館前で、安保粉砕、
機動隊導入反対などとか叫んで、
デモをしている学生と、それをとりまく連中とで、
ごったがえして、騒然としているのです。

図書館の中にいるのに、
あまりにもやかましいので、
一回、外に出たんですよ。

そしたら、そこに、同じサークルで
尊敬している聡明な先輩がデモの隊列にいた。

その人を見た途端に、とっさに飛び出して、
気づいたら、ぼくも彼と腕を組んでいました。
わけもわからず、泣けてきましたね。
糸井 (笑)当時の雰囲気が、伝わってきます。
川勝さんは、学生運動は違うと思いながら、
知りたいことを探していた時期だったんですね。
川勝 まさに、そうです。
悩みながら、勉強していました。
ただ、ふつうに就職するということが、
選択肢に入らなくなっていました。
糸井 まぁ、ぼくも同年代ですけど、中退ですから。
川勝 中退はいちばんエライ。
早稲田で、
涙をのんで退学する青年を見ていると、

「自分は何をしてきたんだ?」
「おやじやおふくろに対して、もうしわけない」
「自分に対しても腹が立つ」

そういう状態で去っていく。
ところが、一年生や二年生から見るとね、
落第して年をくうと、尊敬されて……
後輩連中に尊敬されながらも、
絶望感を持って退学していく。

その姿を見ていると
「これは後で伸びるだろうなぁ」
と思うんです。
本人には、もちろんそんなことは言いません。
先輩の中でも、小説や演劇の世界では、
中退した人がえらい。

……まぁ、その後、ぼくは残念ながら
中退もせずに、大学院に入りまして。
糸井 (笑)「残念ながら中退もせずに」……。
川勝 三〇歳になっても、
まだ学生やっていましたよ、情けないことに。

奨学金をいただいていましたが、
自立していない自分がイヤで、
人のお金で勉強しているのが、
なかなか苦しいことでした。

三〇にして立たねばならないと思っているのに、
まだ博士課程も終えられないアホさ加減で、
自己嫌悪の塊みたいなものだった。

四〇は不惑と言いますから、
それまでにはなんとか、
と思ってやっていたようなところがあります。
糸井 なるほど。
もともと、三木清さんには、
どうして興味を持ったんですか?
川勝 京都なので、高校の先生に、
京大出身の人が多くて、西田幾多郎の
『善の研究』などを読まされましたが、
高校生にはむずかしいんです。

ところが、西田幾多郎の最愛の弟子の
三木清さんの本は、割とわかりやすい。

文庫の『人生論ノート』『哲学ノート』などですね。
そのうち全集が出て、その月報を読んで、
三木清さんの生まれ故郷の竜野に記念碑が立った、
と知って、見にいきました。

川が流れていましてね、
その川をずーっと人に聞きながら
のぼっていったんですよ。
行けども行けどもですね、着かない。

女子工員みたいな人がね、
自転車で走っていたから、聞いてみました。

「三木さんの記念碑って……?」
「あー、あそこはあっちだけど、
 少し道があるから、あなた、
 私の自転車の後ろに乗りませんか?」
「いや、じゃ、ぼくがこぐ…」

そんなこともあって、
駄菓子屋さんなどにも教えてもらったりして、
道をのぼっていくと、石碑があった。

「しんじつの 秋の日てれば せんねんに
 心をこめて 歩まざらめや」

彼が青年時代に鴨川のへりを歩きながら
歌ったという歌碑があった。
それをね、じーっと見ていました。

今でも思い出しますけど、
だんだん暮れてきた景色の中で、
獄中で死んだ三木さんの無念を感じていました。
糸井 青春ドラマみたいですね(笑)。
今回の講演会は、たぶん
会社で働いている人が来てくれるんです。

ふつうは講演なんかに行かない若い人、
いちばん今働き手になってる人が、
本を読みとるだけではなかなか伝わらない
「震えるような力」をつかみとれる
場所になるとうれしいんです。

さきほどの、歌碑を見た時の、
川勝さんの話のように……。
ぼくも、当日のお話、たのしみにしています。
  (明後日の講演を、どうぞ、おたのしみに。
 会場に来られない人は、ネット中継がありますよ!)





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