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“WONDER SCHOOL !”
ほぼ日刊イトイ新聞 presents 超時間講演会。



(※昨日にひきつづき、岩井克人さんと糸井重里の
  打ち合わせのときの会話をおとどけいたします。
  チケットはいよいよ明日から発売になりますよ。
  詳しい申し込み方法などは、こちらをどうぞ!)
岩井克人さんプロフィール
岩井 会社が作られはじめたときというのは、
ヨーロッパ中世や近世に、
ヴェニスの商人たちが
船団を組んだときなんかが、いい例です。

お金を出す人、航海を指揮する人、舟を漕ぐ人、
どうしてもいろんな人がいなければ
いけないということで、
会社のような組織を作って、
海に乗り出したんです。
そのときは、
たしかに会社は、一航海限りの道具ですよね。

ところがそのうち、会社というものが、
当たり前のものになってくると、
だんだん、確固たる存在として、
道具以上のものとされていくんです。

特に、日本の高度成長の時代などには、
自然以上に強固なものに
なってしまっていたわけですよね。

しかし、高度成長が終わってから後は、
その強固な体制がゆらいできて、
みんな不安になるわけですけど、
まさにその不安のおかげで、
会社というものを、原点にかえって、
捉え直せるようにもなってきているんですね。


道具として会社を使うことに
いろいろな人が気がつきはじめている時期ですし、
気がつくべきだとも思うんです。

現在のポスト産業資本主義とは、
個人の才能や知識が重要視される時代ですが、
そうであっても、
個人でやれることはたかが知れています。
短期的でもいいから
チームを作る必要がどうしても出てくる。

その時に、会社という存在を
ひとつの道具として
考えなければならない時期に入っていますね。
糸井 現場にいる人たちが、
ナマの声で聞いたときに、
そのお話のリアリティみたいなものを
「そっかぁ!」と感じることがあればいい、
とぼくは考えているんです。

今のお話だって、
船団で乗り出していく絵が見える。
「会社は道具なんだな」と実感しましたから。

今回の講演を頼んだ方々は、
ぼくが趣味で選んでしまったような
みなさんなのですが、
ひとつ共通していることとしては、
「『利益を追求することが善』
 ということが行きすぎてしまった歪み」を、
それぞれ、考えているんじゃないでしょうか。
「利益=善」という幻想が大きくなりすぎたから。

会社の目的は、利益の追求。
それは、当たり前です。
ところが、二も三もなく、
「利益」のみになってしまった社会の恐怖って、
ものすごい大きいんじゃないかと思うんです。

家庭では、ほんとうにいいお父さんであっても、
会社では、
人の首を切ることも厭わなかったりする。
分裂して生きていくことが、現代なのだろうか──?

そういう状態に、みんな、なりかかっていますよね。

今回、お呼びしたのは、そこに
メスを入れているようなかたばかりなんです。
山岸俊男さんの研究も、そうですし。
岩井 山岸さんの『信頼の構造』は、
私がよく学生に薦めている本です。
感銘を受けました。
糸井 ぼくも、びっくりしたんです。
利益を追求しないほうが勝つ話になっていて。

岩井さんのお書きになったことも、
「人間に納得のいく会社の使いかたを探す」
ということですよね。そこも、まっとうです。

今回の他の講演者の、
松井さんや、川勝さんにも、
似たところがあります。講演のどこかで、
「人間の誇りを守れるような社会論」
みたいなものが見えてきたら、おもしろいなぁ、
と思っているところです。

ですから、岩井さんの講演が、例えば、
会社にとどまらず、貨幣のお話になることも、
自然なことだと思います。

「人は、なんでこんなにお金をほしがるんだ」

ということについて話していただいても、
やっぱり、おもしろそうですから。
  (明日に、つづきます!)





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2004-03-26-FRI

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