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“WONDER SCHOOL !”
ほぼ日刊イトイ新聞 presents 超時間講演会。



(※今日からは、「学問は驚きだ」の講演会に
  登場する、岩井克人さんと糸井重里の
  打ち合わせのときの会話をおとどけいたします。
  いよいよ、チケットはあさって土曜日から発売!
  くわしい情報を知りたいかたは、こちらをどうぞ)
岩井克人さんプロフィール
糸井 授業と講演って、どこがいちばん違うんですか?
岩井 それはもう、ぜんぜん違います。
授業はやっぱり、
論理的にしゃべらなければなりません。
講演は、論理的というよりは、もう少し、
「わかりやすいもの」をしゃべるはずなんです。

ただ、それでも、
前のほうで、寝ちゃう人がいたりして……。
授業でも、眠っている人はいますが、
講演でいびきをかかれると、
どうしようかと思います。

講演も講義もそうなんですが、
最初に新しい科目を教えるときというのが、
いちばん慣れないものだし、
いちばんヘタなものになるはずなんです。


ただ、後でふりかえってみると、
二度目三度目になると、
慣れているはずなのに、
逆によくないということが多いんです。

なぜかというと、それは本人が、最初には、
まず「自分を納得させる」ために、ちゃんと、
筋道を立てているからだと思います。


二回目以降は、すでにできあがった論理を
繰り返すことになりますから、どこか無意識で、
重要なところの説明を、はしょっちゃうんですね。

先日は、あるところで、
貨幣についてお話をしました。

最近は、会社についての
講演を求められることが多く、
いくつかは引き受けてしまうので、
繰り返してばかりいることに飽きてしまい、
敢えてそうしたんです。

もちろん、貨幣についても本を書いているんですが、
その題材のほうが、
もう少し、フレッシュなものになります。
糸井 今回の「会社の行方」というタイトルに
こだわりがあるわけではないですし、
貨幣について話していても、
会社の話になってくるかもしれませんから、
だいじょうぶですよ。

もちろん、すでに本になっていて、何度か、
講演もされたであろう「会社」についての
「よそでしゃべっているうちに、
 最近気づいたあたらしい要素」
とかが入ってくるという期待も、あるんですけど。

最近、ぼくが気になっているのは……
「いま、日本で
 仕事をしていこうと思ったときには、
 会社員以外の選択を、考えにくいこと」

なんです。
会社員かフリーターか、みたいなことになる。

会社員という道具を持たないで
個人が生きていくことは、
非常にむずかしくなっていますよね。
岩井 そうですね。
糸井 なくてはならないからと言って、
「会社の役割」というのを、
大きく考えすぎたら
自分の足下をとられますよね。

ちょうど、岩井さんがお書きになったように、
「会社という道具を、どうやったら
 人間のために役に立てることができるのか」
ということを、みんなが、
いちばん知りたい時期だと思うんです。

ぼくは、四十何歳まで、
個人でずっと仕事をしてきたつもりなんです。
会社と個人が、
ぶつからなきゃならないときには、
軍団とひとりが戦うみたいになりますから、
「データは持っているわ、予測はできるわ」
という会社のほうが、
それはもう、個人よりも強くなりますよね。

もう少し昔だったら、個人でも、
「暴走族で何百人かを相手にケンカする」
みたいな、乱暴なことができていたと思うんですが、
今の時代には、そういうことは、ぜんぜんない。

やっぱり、数名でもいいから
組織を持って、仕事をしていくっていうことが
大切なんだなぁ、と、
自分自身、痛切に思うようになったんです。

ぼくにとっての会社って、
「武器にもなるから、いいもんだな」
と思って、スタートしたものなんですね。
岩井 いま、糸井さんがおっしゃった言葉──
「会社のことを、
 道具として見るようになってきた」

という言葉が、
最近のもっとも重要な現象なんだと思います。

もちろん、最初に作られたときは、
会社は、たしかに「ひとつの道具」だったんです。
人間、ひとりでは何もできないことが
沢山ありますから、
組織を作ったりしたわけです。
だけど、そのうちに、大きく変わっていきました。
  (会社に関する会話は、明日に、つづきます!)





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2004-03-25-THU

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