エナガのねぐら。  カワイイ小鳥の観察記 フロム富士山麓
 
今週のエナガ  1号巣ヘルパー募集中!  観察日 2012年4月19日 − 4月25日
 

1号巣を見に行くと、
いつも巣の近くにいる
オスの姿が見えません。
小1時間待ってみましたが、
いつまでたっても現れず、
そうこうするうちに、
巣の中からメスが出てきました。

▲出てきた1号巣のメス。

周辺で蛾類の幼虫を何匹か食べたメスは、
15分くらいで巣へ戻りました。
オスが一向に姿を現さないということは、
亡くなってしまったと考えざるをえません。
まことに残念至極。

巣の周囲を移動しているときのメスは、
群れの仲間を呼ぶときの声で、
「ピーピー」「チルル」「ジュルリ」
などと、さかんに鳴いていました。
私には、子育てのヘルパー(お手伝いさん)を
募集しているかのように、思えました。

繁殖に失敗したり、ペアに恵まれなかったエナガは、
ヘルパー(お手伝いさん)となって、
他のエナガの巣の子育てを手伝うことがあります。

この1号巣にもヘルパーがあらわれるといいですね。
あ、そのまえに、卵が無事に孵りますように!

一方、4号巣。
夫婦でぶらぶらと採餌しているところを
何度か目撃しましたが、
巣の場所へ近寄る気配がありませんでした。
巣作りがうまく行かなかったのかもしれません。

▲ふくらんだツツジのツボミと4号巣のエナガ。

で、7号巣のペアはというと、
たいへん順調に巣作りをしております。

▲雨上がり、虫のマユから糸を取る7号巣のペア。

彼らのなかよしぶりを見ていると、
とても幸せな気分になります。
むふー。

 

その6 私とエナガ

エナガでゴハン三杯いける皆さん、こんにちは。
私がエナガのことを気にかけるようになったのは、
2007年2月、散歩中にこの写真を撮ってからです。

▲ぎゃー。

長いシッポにフワフワの小さな体。
表情がキリっとしていて、しかもかわいくて、
なんとなく面白いこの顔をハッキリと認識したとき、
私の中の鳥ランキングでエナガが一位となったのです。

そして昨年の夏。
エナガを本格的に追いかけてみようと決意した私は、
エナガに関する論文をいろいろと調べました。
そして日本におけるエナガ研究の大家、
中村登流さんの「エナガの群れ社会」を読んでしまい、
もう居ても立っても居られない、
今すぐエナガに会わなければ死んでしまう。
とまで思うに至りました。
病気です。

で、我が家周辺のエナガを追いかけてみると、
これが(みなさんご存知のように)異様に可愛らしくて、
おまけに「群れ」として行動を見るようになると、
これまたオモシロカワイクてたまらない。

たとえばこんなシーンはどうでしょう。

▲真面目な顔で押しくらまんじゅう。

▲仲良くブラブラと餌さがし。

こうして私は、この冬ずっと、
我が家周辺のエナガの群れを徹底的に探し、
その移動ルートをgooglemapで記録し、
解析したものが、この図であります。

▲我が家周辺のエナガ冬期群の行動圏。

この図の線1本ずつが、
ひとつの群れの移動ルートの記録です。
数えてみたら112本もありました。
112回も追跡したってことですね。
1回平均30分とすると、だいたい50時間くらいは、
エナガの群れいっしょに過ごしたことになります。
我ながら…ヒマというか…なんというか…。

群れにはアルファベットで名前をつけ、
何羽の群れかを表す数字を付記しています。
たとえばE6は「Eと名付けた6羽の群れ」を表します。

こうして記したルート図を解析した結果、
我が家の周辺には、50羽のエナガが、
5つの群れに分かれて暮らしていることが、
わかったのです。

夕暮れ時、穏やかに暮れ行く森を窓の外に眺めながら、
「あっちのほうに6羽、こっちには10羽、
 もう少し向こうには12羽のエナガ達が、
 ギュウギュウに並んで眠っているんだなあ…」
など考えると、おなじ場所に生きている仲間、
みたいな(勝手な)連帯感が沸々と湧き上がってきて、
なんともいえない幸せを感じるのであります。

それでは皆さん、また来週〜!

2012-05-01-TUE
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