「美しき日本 ― 大正昭和の旅」展

江戸博学芸員新田さんと小山さんのさらにくわしい解説


川瀬巴水の一番最初の頃の作品はこういうもので、
なんて言うんでしょう、素朴な画題で。
黒い線をとにかくつける、影をつけるってところが、
当時としてはすごく新しかったんです。
この「塩原畑下り」の自筆の作品解説には、
雨、雲、川の曲がり折れる風景を見て
「写生させずにおきませんでした」とあります。
長い糸のような切れ目のない雨をあわらすのに、
工夫をほどこしたことがうかがえます。

「塩原しほがま」
こちらは、塩原温泉郷の箒川のほとりにある
温泉宿を描いた作品です。

また、川瀬巴水は、都市を田園的に描くっていうことに、
すごく優れている人で、東京の風景もたくさん描いています。
都市の日常風景とそこに暮らす人びとが、
巴水にとって格好の写生対象だったんです。

こちらは大正10年(1921)3月「麻布二の橋の午後」。
古川の流れと、川端に立ち並ぶ家々の
静かな午後を描く作品です。
この場所は現在、頭上に首都高速が敷設されています。

こちらは「こま形河岸」。
大正8年(1919)初夏の作品です。
浅草の駒形河岸の竹屋前ですね。
隅田川の向こう岸と空が、竹の間から見えます。

こちらは大正10年(1921)春の「春のあたご山」。
愛宕山の境内で、桜の花びらを集めて遊ぶ
幼い子どもたちを描いています。
巴水の作品には、子どもがしばしば登場し、
郷愁を誘うんです。

(小山)


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