江戸が知りたい。
東京ってなんだ?!

「江戸東京博物館」を知の遊び場にしよう。

こんどの江戸博は「江戸の学び」展!


ほぼにちわ、シェフです。
江戸東京博物館ではじまったばかりの
「江戸の学び」展に行ってきました。
くわしい話は、学芸員の市川さんと石山さんから
たっぷり聞いてきましたので、
いずれまとめて紹介させていただくのですけど、
まずは、こんな展覧会やってるよーっ、という告知を
させていただきますね!
(ハイ、もう、やっているのです。
 ちなみに3月26日(日)までの開催です!)

この展覧会は、
寺子屋って、なんだったんだろう?!
というところから、
庶民に「文字」を通じて「教養」が
おおらかにのびのびと広まっていき、
いかに江戸の人たちがそれを楽しんでいたか、
ということを知る展覧会です。

まずはこの絵を見てください。

歌川広重の「諸芸稽古図会」という作品の一部なんですが、
‥‥子どもたちの表情が、
ものすごく楽しそうに描かれてます。
こんなにイキイキと「学んで」いたんです!
この絵が誇張をしているわけではなく、
同じ時代の寺子屋を描いたものは、
多くがこんな感じで、
のびのびと楽しそうなんですよ。

この絵では子どもたちが、
「よみかきそろばん」でいうところの
「かき」をやっています。
お習字ですね。
手前の子が拡げているのが、
じゃばらになっている、いわば教科書です。
子どもたちは、紙がまっくろになるまで
何度も書いているようです。
そでが汚れないように、たすき掛けをしたりして。
この表情‥‥ほんとに楽しそう!

そして右に、文机に正座して、
左手に茶わんを、右手に線香を持ってる子がいます。

この子はいたずらをして、
「きみはそこに座っていなさい」と
怒られちゃったところなんだそうです。
それにしても、反省の色がないというか、
「てへへへへ」という感じ。
あんまり効き目がないのはあたりまえで、
これは強い体罰とはちがうということでした。
そもそも、そんなふうに強制して学ばせることには
意味がないと、当時は考えられていたんだそうです。
なのにこんなふうに座らされるなんて、
よほどの悪ガキだったんでしょうねえ。

(もちろん本格的な問題児もいたようで、
 とある問題児を記録した先生の日記というのが
 この展覧会で公開されています。
 授業中寝るいたずらするともだちを殴る、
 ちんこの絵を描くちんこを出して歩く‥‥
 その暴君ぶりに先生もほとほと困ったようです。
 それでも寺子屋に通ってるんだから!
 でもなんで先生、
 そんな記録つけてたのかなあ?!?!)

もう一枚。
こちらは一寸子花里という人の手による
「文学ばんだいの宝 末の巻」という絵です。

女の子ばかりの寺子屋のようすです。
こういう寺子屋もあったんですね。
で、女の子だからおしとやか‥‥
というわけでもなかったようで、
そもそも文机がまっすぐ並んでないし、
マジメにお習字してる子や
読みかたを習ってる子も、いることはいるけど、
ほとんどの子が大騒ぎです。
人形遊びをしてる子もいれば、
ままごとしてる子もいます。

まんなかあたりには、
先生の鼻にいたずらしてる子もいます。

ぼくが先生だったら、頭かかえちゃうなあ、
というところなんだけれど、
これ、かなり「当たり前」の光景だったっていうんです。
先生もぜんぜん怒ってないしなあ。
「みなさーん、お習字ですよ!」というような
一斉教育ではなく、個別にのびのびと、
強制的な時間割なんかもちろんなくって、
こうやってたのしく遊びながら、学んでいたんですね。

ちゃんとした統計はないそうなんですが
江戸の市中だと、おそらく8割くらいの子どもが
寺子屋に通っていたんだそうで
(義務教育じゃないのに、ですよ、当時は!)、
だから江戸の庶民の識字率ってすごく高くて、
それをベースに、読書というたのしみが広がり、
たとえば『南総里見八犬伝』や
『東海道中膝栗毛』がベストセラーになったんだそうです。
そりゃそうだ、字が読めなきゃ本は読まないですもんね。
幕末にやってきた外国人が
日本人の識字率の高さ、
メガネをかけている人の多さ、
それから本が安いことに、
すごく驚いたという文献が残っているそうで、
そういうの聞くと、ちょっと誇らしく思いますね!

ちなみに男の子より女の子のほうが、
さらに遊芸を習得しに(踊りとか三味線とか)
ほかの教室にも通う子が多かったそうで、
それは、庶民の女子の最高の就職先は
大奥のようなところで、
そのためには教養が不可欠だったからなんだそうです。
寺子屋を早引きしてまで
お稽古に行く子もいたらしいですよ。
いっぽうの男の子は、寺子屋が終わったら
家の手伝いをしたり、あとは風呂に行ってたり。
こんなふうに描かれた子どもたちの姿を見ていると、
この展覧会には、
たぶんどこかに子どものときの自分がいるんだなと
思ったりしました。

取材した内容は、まとまりしだい、
このページでたっぷり紹介しますので、
どうぞ楽しみにお待ちくださいね〜。

2006-02-24-FRI


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