担当編集者は知っている。


『のんき図画』
著者:南 伸坊
価格:¥ 1,890 (税込)
発行:青林工藝舎
ISBN-13:978-4883792672
【Amazon.co.jpはこちら】


のんき、ってよく考えると何だろう?
几帳面ってのは、のんきの反対みたいな気がする。
でも、きちんとしてないってのが「のんき」とは違う。
のんびり‥‥と同義語のように言われるけど、
近いけどちょい違う感じ。
のんびりよりも少し楽しそうな響きが
「のんき」には、ある気がする。
さらに、ぽかぽかと陽だまりにいるような
そんなあったかい感じもする。
時々、ふふふ、と笑ってしまうような雰囲気もある。

のんき‥‥考えると奥が深い言葉です。
でも! 南伸坊さんのこの『のんき図画』を見ると
たちどころに「のんき」が分かります。
そっか、こういうことなのか、と。

南さんの絵をみていると、しみじみと
のんきな気持ちになります。

いいよー、いいなぁ、こうありたいなぁ、と。
世知辛い世の中をちょっと忘れて
「のんき」にひたってみてください。
(ツルミ)


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担当編集者 /
   青林工藝舎代表・『アックス』編集長
   手塚能理子



去年の11月に、
原宿にあるHBギャラリーで行われた
南伸坊さんの個展「のんき図画」のDMを頂き、
そこにプリントされていた露天風呂のイラストを見た瞬間、
「これは本にしてみたい!」とはげしく思い、
いきなり南さんの事務所に電話をしてしまったのです。

私「あのー、個展に出す絵は
  すでにどこかで本になることが決まってるんですか?」

南「いや、全然決まってないよ」

私 「まだ個展も始まってないのにお願いするのもナンですが、
  工藝舎で画集をださせてもらえませんか?」

南 「え、ホント。うれしいナ」

‥‥あっという間に単行本企画が決定してしまいました。
そんなのんきな企画でいいのか! と
怒られてしまいそうですが、
あの露天風呂のイラストに一発でホレてしまった私は
「これはいいに決まっている!」と
やみくもに確信したのでありました。



「ろてん風呂」(本書より)

そして個展の初日、そこに展示された絵を眺めながら
私はヒシヒシと思ったものです。
「ほ〜ら、やっぱり最高じゃないか。
 これを本にしなくてどーする」なーんてね。
ま、そんなことはともかく、絵を眺める人たちの顔には
みるみる笑みがこぼれはじめ、
会場全体がなごやかな雰囲気になっていくんですね。
南さんの絵は知らず知らずのうちに脳味噌に染み渡り、
心にしまったまま忘れていた個々の思い出を喚起させ、
見る人を無償の幸せに浸らせてしまうことができる
得体のしれない「力」があるのだと思います。





上から順に
「満月」、「すいか」(ともに本書より)


では、なぜこんなにもすばらしいのんきな絵が
スラスラと描けてしまうのだろう、というナゾを解くべく、
南さんの親友である呉智英さんと
『アックスVol.63』の「のんき特集」で
対談をしていただきました。
呉智英さんは画集に収録する作品のカラーコピーを見て、
すぐに南さんの事務所に
「伸坊というより『願望』である」
というファックスを送ったそうです。
大人は毎日が忙しくてとてものんきどころではない。
だいたいのんきとかのんびりとか言っている人は、
普段一生懸命仕事をしている人だ、
だからのんきは『願望』だ、
と呉智英さんは対談の冒頭で断言されたのでした。

そう、その通り! 
この本の編集だって全然のんきじゃなかった。
たくさんの締め切りを抱えながらも、
個展に並べた絵に加筆したり、描き下ろしもしていただき、
そして絵ひとつひとつに短い文章も入れていただき、
装幀までやっていただいた。
こちらはこちらで老眼鏡をかけながらMacにしがみつき、
画像処理したりレイアウトしたり‥‥。
挙句の果てには当初の発売予定に全然間に合わず、
でも告知しちゃったので
問合せの電話にはひたすら謝り倒し、
営業も予約を頂いた書店で平謝りと、汗タラタラ状態のまま
一ヶ月遅れでやっと発売にこぎ着けたのでした‥‥。
ほら、全然のんきなんかじゃない!

でもね、出来上がった本を見て、私は
なんともいえぬ幸せな気分で一杯でした。
のんきを絵にしたら
これ以上の絵がほかにあるのか、と思うくらいすばらしく、
そんな本を編集できたことが
とても光栄で嬉しかったのです。
見本が出来てきた日、
私は南さんの事務所に飛んで行きました。
そして一緒にニコニコと
できたばかりの「のんき図画」を眺めていたとき、
南さんが思わぬ言葉を発したのです。
「オレ、画集ってこれが初めてなんだよね」。
‥‥エーッ!! そ−でしたっけ? 
そんなことも知らずに編集していたなんて、
それこそなんてのんきな話だ。
そんな大事な本を編集していたことを
見本が出来上がってから知った私は、最後の最後に
最大の緊張を強いられたのでした。
いや実にのんき!



「銭湯」(本書より)


そしてこの「のんき画集」のすばらしさについては、
糸井重里さんが解説で見事に語って下さっています。
忙しい毎日をお過ごしの方に
是非とも見て読んでいただきたい! 
『願望』が一番イイ形に変換された「のんき」な世界に
脳味噌と心で浸って下さい。

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『のんき図画』
著者:南 伸坊
価格:¥ 1,890 (税込)
発行:青林工藝舎
ISBN-13:978-4883792672
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2008-09-30-TUE

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