担当編集者は知っている。


『赤塚不二夫
 (KAWADE夢ムック 文藝別冊) 』

価格:¥ 1,200 (税込)
発行: 河出書房新社
ISBN-13:978-4309977140
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突然の訃報がまだ記憶にあたらしい、赤塚不二夫先生
『天才バカボン』や『おそ松くん』、
『ひみつのアッコちゃん』などをアニメや漫画で
ご覧になった方は多いのではないでしょうか。
偶然にも、赤塚先生が亡くなられて
すぐのタイミングに出版されたのがこの本です。
「ほぼ日」でもおなじみのタモリさん山下洋輔さん
細野晴臣さんをはじめ、
藤子不二雄(A)さん、愛娘のりえ子さんなど、
貴重なインタビューがたくさんあり、
赤塚先生のいろんな面をみせてくれます。
この本を担当された河出書房新社の吉住さんにお会いして、
「ほぼ日」がお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)


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担当編集者 /
   河出書房新社 吉住唯



ーーこの本の企画はいつぐらいからあったのでしょうか。

企画自体が持ち上がったのは、昨年の5月頃でした。
この「文藝別冊」シリーズ は、
毎回ひとりの人物やテーマについて特集し、
不定期で出版しています。
で、自分としては、
最近、赤塚先生の漫画って
あんまり読まれていないんじゃないかな?
という気持ちがあって。
それなら現在進行形で先生の作品を読んでみよう
ということで特集企画を提案したんです。
アニメの『元祖天才バカボン』のエンディングテーマである
「元祖天才バカボンの春」(名曲!)という歌の歌詞に
バカボンのパパは「41才の春」とあるんです。
で、2008年がちょうど、
『天才バカボン』誕生41周年なので、
じゃあこの春に出そう、と。
いろいろとあってちょっと遅れてしまいましたが‥‥。



本書、扉ページより。
©赤塚不二夫/フジオ・プロ



ーーそうでしたか。
  内容はすぐに決まりましたか?


作家としての赤塚先生には
あまり目を向けられていない時期でしたから
どういう特集にするかは、じつは、ちょっとなやみました。

ぼくが小学生の頃に
「元祖バカボン」のアニメが再放送していて、
ちょうど第二次ブームみたいなときだったんです。
そこから赤塚漫画にはまっちゃって、
学生のときに古本とかで
赤塚先生の昔のお仕事とかを
ずいぶん漁ったことがあるのですが、
いろっんなことをやってらっしゃるんですよ。
漫画ももちろんだけど、
映画を作ったり、スナックを開いたり、
レーシングチームを作ったりと、とにかくめちゃくちゃで。



レーシングチーム「ZENY」のレーシングカー
(本書より)


そうやって調べていくうちに、赤塚先生を中心に
多彩な方々が集まってくるところなんかが、
ちょっとアンディ・ウォーホルみたいだなって思ってて。
有名な話ですが、赤塚先生の会社のフジオ・プロでは
みんなでアイデアを出しあって漫画を作っていましたし。

だから、もうちょっと赤塚先生の多面的な活動を
フォローするものにしようかとも思ったんですけど、
その前に、本業である漫画家の仕事を
ちゃんと論じたものが読みたいと思って、
結局は、わりと直球に、漫画を中心とした特集、
というかんじにしました。

ーー赤塚先生の愛娘・りえ子さんや、
  元フジオ・プロのスタッフの方々のお話し、
  タモリさんや藤子不二雄(A)さんなど
  とても充実した内容ですよね。
  たいへんなことはありませんでしたか。


そのへんの苦労は全然なかったです。
もうほんとうに、みなさん、赤塚先生のためならと、
ふたつ返事でお引き受けくださいました。
みなさんの赤塚先生への思いの強さを再確認しましたね。
ただ、それだけに、赤塚先生ご本人に
ご覧いただけなかったのは残念です。
具合がよくなっているという話もきいていたので、
もしかしたら読んでいただけけるのでは、と
思っていたんですけどね。

ーーこの本は、赤塚先生がお亡くなりになる前に
  作られたんですよね。


そうなんです。
校了直前に亡くなられて‥‥
ものすごくびっくりしましたね。

ーー編集後記を拝見すると、
  内容に変更はなかったそうですね。


発売日を伸ばしてでも、
インタビューをさせていただいたみなさんから
コメントをいただこうかとも考えたんですが、
先生のお仕事を現在進行形で提出するというコンセプトと
どこか抵触するような気がして、やめました。
一部加筆した部分はありますが、
基本的にはそのままで掲載してます。

過激な話、下品な話もいっぱいあったりするんですけど、
それを抜いちゃったら赤塚先生っぽくないかなって。

ーーそうですね(笑)。
  なにか印象に残っていることはありますか。


いろんな方にお話をお伺いしたなか、
直接赤塚先生にお会いしたことのあるみなさんが
口を揃えて、赤塚先生はとにかくまじめだった
と言ってたのは、ちょっと意外でしたね。
みーんな、ぜーんいん、
彼はまじめだったとおっしゃっていて。
なんであの赤塚先生がこんな漫画を書くんだろうという
印象をもたれたほど、
素の赤塚先生はまじめだったみたいで、
『ひみつのアッコちゃん』を書いたのはうなずけるけど、
『天才バカボン』を書いたのは謎だとすら
おっしゃる方もいた(笑)。
赤塚先生にとって、
すべては、「まじめな」サービスだったんでしょうね。

インタビューでは、貴重な話もいろいろとうかがえました。
赤塚先生の愛娘・りえ子さんは、
あの大天才を父親に持つことの苦労を、
テレビでは放送できないような話で
説明してくださっています。
まだ女子高生のりえ子さんをゲイバーに連れていったり、
無修正のAVをふたりで見たり‥‥
ずいぶん過激な教育方針のもとに育てられたようです。
あと、元フジオ・プロのひとり、
古谷三敏先生は、
スタッフの立場から辛辣なこともおっしゃっていますが、
古谷先生、赤塚先生のお葬式で、タモリさんの弔辞のあとに
弔辞を読みながら号泣されていました。
フジオ・プロの大番頭を自負されていた古谷先生の、
赤塚先生への深い愛情がひしひしと伝わってきて、
胸が熱くなりました。

ーーみなさん、亡くなる前に話されているので
  思い出話というわけではないのですが、
  赤塚先生への愛情にあふれていて
  読んでいて、なんだかしんみりしてしまいました。


そうですよね。
踏み込んだ話をお聞きできた貴重な機会だったと思います。

ーーインタビューのほかにも、
  いくつか漫画が掲載されてますよね。
  掲載された漫画はどうやって選ばれたのですか?


これは『少年マガジン』とか、当時の漫画雑誌を
ものすごく持っている方にもご協力いただきました。



赤塚先生、初のギャグマンが『ナマちゃんのにちようび』。
1話まるまる掲載されています。(「漫画王」1958年11月号)
©赤塚不二夫/フジオ・プロ


小学館からDVD-ROMで『赤塚不二夫漫画大全集』
というのがでているんですが、
なるべく資料的な要素も出したかったので、
そこに載っていない漫画も掲載するようにしました。

でも、チャンスがあれば
もっといろいろなものを載せたかったなぁ。
昔、テレビアニメになる前に
『おそ松くん』のラジオドラマがあって、
その音源をCD化しておまけにつける案もあったんですよ。
なんと、黒柳徹子さんがチビ太の声をしているんです。




おそ松くんたちとチビ太。
(『おそ松くんより』)
©赤塚不二夫/フジオ・プロ


ーーすごい! それはきいてみたいですね。
  最後に、吉住さんがとくにお好きな漫画はどれですか。


うーんそうだなぁ‥‥、
学生の頃は、『レッツラ☆ゴン』好きだったんですけど
編集中に、やっぱり『天才バカボン』だなって思いました。
過激さと一般性が同居しているというか、
ダントツで面白かった。
キャラクターも強いですしね。
編集中にもだいぶ読みかえしましたが、
いまこうして話していても、読み返したい!



本書より。
©赤塚不二夫/フジオ・プロ


ーーわたしもこの本を読んで、
  本屋さんに走りたくなりました(笑)
  これからも赤塚先生の漫画を
  たくさんの人に読んでもらいたいですね。


ほんとうにおもしろい漫画ばかりなんで
ぜひとも読んでほしいです。
もう新作が読めないと思うと残念ではありますが、
いま読める赤塚漫画だけでも
宇宙大の多面性を持っていますので、
そこに迷い込んでもらうきっかけになれたら、
とってもうれしいです(笑)。

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『赤塚不二夫
 (KAWADE夢ムック 文藝別冊) 』

価格:¥ 1,200 (税込)
発行: 河出書房新社
ISBN-13:978-4309977140
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2008-09-26-FRI

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