担当編集者は知っている。


『記憶に残っていること
 新潮クレスト・ブックス
 短篇小説ベスト・コレクション』

編者:堀江 敏幸
価格:¥ 1,995 (税込)
発行:新潮社
ISBN-13:978-4105900700
【Amazon.co.jpはこちら】


英米をはじめ、ドイツやロシア、スウェーデンなど
いろんな国の文学をあつめた、
新潮クレスト・ブックスシリーズ。
村上春樹さんが翻訳されたノンフィクション、
『ペット・サウンズ』や、
映画化された作品も数多くふくむシリーズです。
その10周年を記念して、いままで出版してきた
全短篇小説から10篇を選びぬいたアンソロジーがでました。
編者は『熊の敷石』で芥川賞を受賞するなど
数々の文学賞を受賞している、堀江敏幸さん。
味わい深い1篇1篇をどうぞお楽しみください。
この本を担当された新潮社の
須貝さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)


*********************************************


担当編集者 /
   新潮社 須貝利恵子



新潮クレスト・ブックスというシリーズを
ごぞんじでしょうか。
もっとも新しく、もっとも上質な海外の文学作品
(ノンフィクションも入ります)をご紹介しようと、
1998年に創刊したシリーズです。
これまでに、ベルンハルト・シュリンク『朗読者』
ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』などの
ベストセラーをふくむ70冊の海外文学を
お届けしてきました。
本のなかみと同じくらいかたちにも心を砕き、
独自の仮フランス装を開発するなど、
特色ある美しいブックデザインで知られる
(と担当者がいうのもなんですが)シリーズなのです。

まえおきが長くなりましたが、
その新潮クレスト・ブックスが、
おかげさまで10周年を迎えました。
10周年特別企画としてこの8月に刊行したのが、
新潮クレスト・ブックス   
短篇小説ベスト・コレクション『記憶に残っていること』。
この10年間にクレスト・ブックスが刊行してきた
全短篇小説集から、10篇を厳選した
贅沢なアンソロジーです。
選者は堀江敏幸さん。
じつは堀江さんは、この本の
そもそもの発案者でもあります。

昨年の創刊9周年を記念する座談会で
(堀江さんのほか、小池昌代さん、
 鴻巣友季子さんがお集まりくださいました)、
堀江さんが、クレストの短篇集の
アンソロジーをつくったら面白いですね、
とおっしゃったのがことの始まりなのです。
それはいい、10周年を記念してつくりましょう、
とすぐに決めたのですが、あっというまに1年経過。
今年の春、堀江さんにお電話をさしあげました。

――もしもし堀江さん、去年の夏、
  クレストの短篇アンソロジーをつくるといいって
  おっしゃったの覚えておいでですか? 
  8月に10周年記念出版として
  出そうと思うんですけれど、
  堀江さん、ぜひ選者をお願いします。

――そんなこといいましたっけねえ、
  え、ほんとにつくるんですか? 
  責任を取れっていうことですね。
  うーん、わかりました、やりましょう。
  でも、クレストの短篇集って何冊出てましたっけ。
  ぼくもかなり読んでますけど、
  ぜんぶじゃないと思うな。

――14冊出ていて、2冊が残念ながら品切れですが、
  12冊が現役です。
  すぐにぜんぶそろえてお送りしますね!

というわけで、丁寧に再読してくださったのち、
全120篇から10篇を選んでくださったのが
このアンソロジーです。
本のボリュームを256ページ以内におさめたかったので、
堀江さんもわたしも、
片手にクレスト、片手に電卓、
作品の内容と枚数を勘案しながらの編集作業でした。
クレスト・ブックスでは、この10年間に、
ラヒリの『停電の夜に』
アリステア・マクラウド『冬の犬』
アリス・マンロー『イラクサ』
ウィリアム・トレヴァー『密会』
イーユン・リー『千年の祈り』など、
世界に名だたるベテランから、デビューしたての新人まで、
いずれ劣らぬ名手たちの短篇小説集をお届けしてきました。
そのなかから選んだ10篇ですから、
これは、紛れもなく
世界最高峰の短篇10作といっていいと思います。
クレスト・ブックスを初めてお読みになる方には
もっともお勧めの一冊ですし、
これまでご愛読くださった方も
ぜひ手にとっていただければと思います。
(ほとんど)ぜんぶ読んできているわたしも、
本書のゲラを読んで、改めて感激しました。
短篇小説の真髄がここにあると思いました。

もう1冊、この本と同時に出た、
最新の短篇集をちょっとだけご紹介させてください。
ジュンパ・ラヒリの9年ぶりの短篇集
『見知らぬ場所』です。
アメリカでも今年の4月に出たばかり。
7月にフランク・オコナー国際短篇賞を受賞しています。
この受賞にあたっては、「二次選考省略事件」という
面白いエピソードがあるのですが、
それは本書のオビ裏をごらんくださいますよう。



クレスト・ブックスは不思議と短篇小説と相性がよく、
日本では誰も知らない新人作家の短篇集を出しても、
いつも読者に届いているという手ごたえがあります。
これは、本を送り出すわたしたちにしてみると、
ほんとうに心づよいことで、
この手ごたえなしには、
売れないというのが常識だった短篇集を
途切れなく出し続けることなど無理だったでしょう。
新潮クレスト・ブックスは、
これからも、世界のどこかで生まれたばかりの名作を、
地道にこつこつと出しつづけていく所存です。
どうぞよろしくお願いいたします。

*********************************************



『記憶に残っていること
 新潮クレスト・ブックス
 短篇小説ベスト・コレクション』

編者:堀江 敏幸
価格:¥ 1,995 (税込)
発行:新潮社
ISBN-13:978-4105900700
【Amazon.co.jpはこちら】

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2008-09-16-TUE

BACK
戻る