担当編集者は知っている。


『Qのしっぽはどっち向き?
 3秒で人を見抜く心理学』

著者:リチャード・ワイズマン
翻訳者:殿村 直子
価格:¥ 1,680 (税込)
発行:日本放送出版協会
ISBN-13: 978-4140812976
【Amazon.co.jpはこちら】


本書は、『運のいい人、悪い人』 などが、
世界30か国でベストセラーとなったイギリスの心理学者、
ワイズマン博士の最新刊です。
「占いはなんで当たるのだろう?」などの
ささいな疑問からはじまり、
一見なんてことなくとっている行動に
どのような心理が働いているかを
大小さまざまな実験や、
長年の研究とともに解き明かしてくれます。
たとえばこれは本書の帯や巻頭にある、「Q」テスト。
利き手の人さし指で、自分の額に
アルファベットの「Q」を書いてみてください。



本書帯より。


「Q」のしっぽは左右どちらになりましたか?
きっと、ほほうとうなずく結果が待っていますよ。
この本を担当されたNHK出版の
猪狩さんにお話をうかがいました。


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担当編集者 /
    NHK出版 学芸図書編集部 猪狩暢子


まずは、以下のURLにアクセスしてみていただきたい。
本書の著者ワイズマン博士が
トランプ・マジックを披露している。
注目点は、トランプの色。よ〜く注意していてほしい。

こちらからどうぞ

さて、最後まで見た方の感想はいかに?

ワイズマン博士は、もともとプロのマジシャンだった。
マジックの技を磨く意欲もさることながら、
マジックにだまされる人々の
心の内面を知りたいという欲求が高じて、
とうとう心理学者になってしまったという変り種だ。
日常生活における私たちの意思決定のメカニズムを、
ばかばかしいと思われるほど
ユニークな方法で研究する心理学者である。
一般の人々の心理学に対する理解を深める活動に対して
功績を称える賞が与えられている。
最近ではイギリスBBC
「心理学者によるどっきりカメラ」のような番組
 “People Watchers”にホストとして出演中である
(これも彼の実験の一環なのだ)。

例えば、こんなシーンを想像してみてほしい。
ジャージ姿の男が道端に立っている。
前を通り過ぎようとしたあなたを呼び止めて男が言う。
「すみません、そのごみを拾って
 このくずかごに入れていただけますか?」
くずかごは(もちろんごみも)、
その男のすぐ目の前にある。
さて、あなたはどうするだろうか?
この実験では多くの人が胡散臭そうな顔をして無視、
あるいは「自分で拾えば?」などと
言い捨てて通り過ぎるか、せいぜい、首をかしげながらも、 
とりあえずは拾ってくずかごに捨て、
触らぬ神にたたりなしとでもいうように、
そそくさと立ち去るかだった。
さて、このジャージの男が
ジャージ姿のまま警備員風の制帽を被って
同じことをしたら、人々はどうしただろうか?
なんと、多くの人がこの不審なジャージ男のために
ごみを拾ってわざわざくずかごに捨てに行ったのである。
さらに、この男は
ジャージを警備員風の制服制帽に着替えて同じことをした。
このときはほとんどすべての人が
なんの疑問ももたずに(笑顔まで見せて)
ごみを拾ってくずかごに入れてくれたばかりか、
この男の別のリクエストに応えることまでした。
それは「あ、それ、そのあなたの足元にあるものを
ジャンプして飛び越してください!」という、
まるでばかばかしいものだった。
彼が歩行者によけてもらったのは、なんと、
誰かが食べ捨てたりんごの芯だったのだ。
この制服男の言うとおりにした人々は、
なぜ言われるままのことをしたのかという質問に対して、
「ただ、なんとなくそうしたほうがよさそうだったから」
とか、
「ちゃんとした人の言うことだから
 間違いないだろうと思った」などと答えている。

ワイズマン博士は、この実験から、
私たちがいかに見た目で他人を判断し、
自分の行動を決定しているかということを証明して見せた。
それにしても、こんな実験を延々とするからには
相当の時間と労力がいることだろう。
過去にも学者仲間から白い目で見られながらも
地道に人々の心と行動の関連を
研究してきた研究者たちはいた。
ワイズマン博士は、
そうした研究者たちの足跡も紹介しつつ、
自らの実験結果を面白おかしく描き出し、
理性の塊だと自負する私たちの自信を
ガラガラと崩してくれる。気持ちよいほどに。
なぜ、迷信を信じてしまうのか?
なぜ運のいい人と悪い人がいるのか? 
初対面の異性に好かれる人と
そうでない人がいるのはなぜか?
なるほど私たちは「自分」などというものを
もっているようでもっていないのかもしれない。
自分の中のもうひとりの自分に操られているかのようだ。

大真面目なのに、はたから見るとばかばかしく思える、
このような研究を扱っている心理学の本であることを
なんとか装丁でわからせねばと思っていたが、
それに応じてくれたのが、ブックデザイナーの永松氏
彼がサジェスチョンしてくれた
100%ORANGE氏のイラストである。


カバーの表(左)と裏(右)です。


原書タイトルは“Quirkology (クウヮコロジー)”
「奇妙な」という意味の Quirk と
「〜学」を表す ology をくっつけた造語であるが、
本書の中でワイズマン博士は、
人が面白みを感じる音は
アヒルの鳴き声の「クワッ、クワッ」というような
Qのつく言葉や音だということを実験で得ている。
日本語で言えば「ケロケロ」とか「クルクル」とか
カ行の音のつく話は
笑いを取れるということになるだろうか? 
つまり、タイトルを聞いただけで
面白そうだと思われるような本を狙ったのではないか
と想像した私たちも、
それに負けないタイトルをつけなければならない
と奮起した。結果生まれたのが本書のタイトル
『Qのしっぽはどっち向き?
 3秒で人を見抜く心理学』である。
果たしてみなさまに伝わったかどうか‥‥。

最初にも紹介した博士のサイトでは、
インターネットを使って
世界中から多くの被験者を募り、
彼独自の心理学実験を精力的に行っている。
興味のある向きはぜひ、参加してみてはいかがだろう?


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『Qのしっぽはどっち向き?
 3秒で人を見抜く心理学』

著者:リチャード・ワイズマン
翻訳者:殿村 直子
価格:¥ 1,680 (税込)
発行:日本放送出版協会
ISBN-13: 978-4140812976
【Amazon.co.jpはこちら】

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2008-08-15-FRI

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