担当編集者は知っている。


『ほのエロ記』
著者:酒井 順子
価格:1,470円(税込)
発行:角川書店
ISBN-13:978-4048839976
【Amazon.co.jpはこちら】


著者の酒井順子さんは、『負け犬の遠吠え』
婦人公論文芸賞、講談社エッセイスト賞を受賞。
その他に『甘党流れ旅』『女子と鉄道』
『その人、独身?』 などなど、
幅広いジャンルについてのエッセイを発表しています。
「本の旅人」での連載をまとめた本書の
テーマは、ずばり「エロ」。
春画やストリップ、混浴、さまざまなエロについて
思い出や、体験記とともに語っています。
奥深くもどこかほのぼのとしたエロを
テンポのいい文章で、どうぞお楽しみください。
この本を担当された角川書店の
津々見さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)

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担当編集者 /
    角川書店 第一編集部 津々見潤子


みんな興味はあるけれど、
あまりおおっぴらに語れないもの。
普通の人が普通に知りたいと思っているもの。
そして、酒井順子さんならではの切り口が映えるもの。
酒井さんと一緒に、次の作品のための
そんなテーマを探していたある日のことです。
最近はネットを覗けばすぐにエロ画像にたどりつくから、
昔みたいに、ドキドキしながらエロ本を買いに行ったり、
成人映画のポスターを見て
想像を膨らませたりしなくていいですよね、
という話になりました。
苦労せず、世界中のどんなに過激なエロにも
簡単にアクセスできてしまう。
でも、それって、本当に嬉しいことなのだろうか?
最近のエロってすごく変わっているのではないだろうか。
そもそも、日本人の感じるエロって何だろう‥‥?

そんな疑問から、『ほのエロ記』は始まりました。
ほのエロの「ほの」は、仄かで、ほのぼのの「ほの」。
連載の当初から、きっと日本のエロは、
あからさまでどぎついものではあるまい、
という予感がありました。

酒井さんのアンテナには、
ありとあらゆるエロの現場が、ひっかかります。
ポルノ映画館では平日の午後に混雑している様子に驚き、
ストリップ劇場では、踊り子さんだけではなく、
応援するファンの方々の熱気に圧倒され、
性関連産業の展示会で最新のエログッズに魅入る‥‥。
女二人のエロ取材は、まさに珍道中。
なかには、丁寧に見学を断られた男の聖域もありました。
快く取材を受けてくださった関係者の方々には、
本当に感謝しております。



「ポルノ映画館」
しみじみとした昭和のいい雰囲気が漂っています。
※写真は取材中のスナップで、本書には収録されていません。
 (以下同)

様々なエロの現場に潜入していくと、
次第にその源流のようなものが
見え隠れするようになりました。
そこで、エロ奇祭として有名な「つぶろさし」や、
男性器像がある田縣(たがた)神社、
女性器像がある大縣(おおあがた)神社、
そして、最後にはエロ心のバックボーン、
日本神話の故郷といわれる、宮崎は高千穂へと
エロ史をさかのぼる旅が続いたのです。



「つぶろさし」
佐渡の奇祭と呼ばれているもので、
男根を象徴する棍棒をもって男性が踊っています。


子孫繁栄を願う昔の人の祈りがこもった、
高千穂神楽のおおらかなエロの力は、見る人を
温かく優しい気持ちにさせる力強さに満ちていました。



「高千穂峡」
2年間のエロ取材の最後にたどりついた、
神々しいまでのすがすがしさが印象的でした。


連載時には、エロを求めて
あちらこちらを巡る旅というニュアンスの
「ほのエロ流浪」というタイトルだった本書。
旅を終えた時に、酒井さんは
『古事記』や『日本書紀』をイメージして、
『ほのエロ記』と改題されました。
それは、こんなに過激に先鋭化してしまい、
少し歪んで見えるエロの本当の姿を垣間見た、
確かな手応えのあらわれだったのかもしれません。

寝ても覚めても、ひたすらエロ漬けだった2年間。
それでも、もうお腹いっぱい! とならないところが、
エロの奥深さなのでしょうか。
ぜひ、本書で日本の正しいエロをお楽しみください。

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『ほのエロ記』
著者:酒井 順子
価格:1,470円(税込)
発行:角川書店
ISBN-13:978-4048839976
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2008-07-15-TUE

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