担当編集者は知っている。



『ジュルのしっぽ』
著者:山崎 花奈
価格:¥ 1,470 (税込)
発行:ジュリアン
ISBN-13:978-4902584714
【Amazon.co.jpはこちら】


ネコエイズを抱えた、元ノラネコ「ジュル」と
ネコアレルギーを抱えた、動物を飼ったことのない著者。
著者は、失う悲しみを恐れるのではなく、
それをも乗り越えられるほどの思い出をつくろうと
心に決めてこのネコと暮らしていきます。
そのさまを綴ったブログ「ジュルのしっぽ」をもとに、
この本ができました。
近づきすぎず、離れすぎず、
寄り添うように暮らす「ジュル」と著者。
穏やかな表情の「ジュル」を見ていると、
ほんとうによかったなぁと心があたたまります。
ブログはまだ続いていますので、
ふたりの様子は、引き続きご覧いただけますよ。
この本を担当されたジュリアンの
川股さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)


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担当編集者 /
    ジュリアン 川股理絵


「ジュルのしっぽ」は、ブログを書籍化したものです。
今、ネコのブログは大人気で、
ぬいぐるみのように愛くるしいネコやぶすネコなど
個性的でかわいいネコたちがウェブ上にはあふれています。
ですが、この本の主人公である「ジュル」は、
いつも鼻水をたらしてやせ細り、
「病気持ち」と呼ばれるようなノラネコでした。

そして、著者である山崎さんは、
これまで動物と暮らしたことがなく、
しかもネコアレルギーの持ち主でした。

が、ある台風の夜、それまでは見守るだけだったジュルを
とうとう家に連れ帰ってしまいます。
最初は飼うつもりではなく、
せめて鼻水だけでもどうにかしてやりたいと
病院へ連れて行ったところ、
ジュルはネコエイズのキャリアということが判明します。
それを機に、いつネコエイズが発症するかわからない不安を
抱えながらも、生活をともにすることを決意します。
生まれて初めてヒトと暮らすネコと
生まれて初めてネコと暮らすことになったヒト。
ふたりは、不慣れなことだらけの毎日の中、
少しずつ、けれど確実に距離を近づけていいきます。



拾われた直後と、八ヵ月後では、まるで別ネコ!
ふくふくと幸せそうになりました。


本になる企画をさがしていろいろなネコブログを見た中で、
「ジュルのしっぽ」に心惹かれたのは、
ビジュアルのかわいさやキャラクターの面白さを
アピールするネコブログが多い中で、
「ネコはネコ、ヒトはヒト」という
とてもフラットなネコに対する視線と、
シンプルでいて愛情あふれる文章と
雰囲気のある写真がとても印象に残ったからです。
単にブログの内容をまとめるのではなく、
文章を書き下ろしてもらい、
ジュルとの出会いからこれまでをひとつの物語として
読み進められるようにしたいと思いました。



おっとりほげほげした性格のジュル。
鼻の横の鼻水模様がトレードマークです。


実際に山崎さんにお会いしてみると、
これまでにもいくつかブログの書籍化の話はあったものの、
「ネコエイズやノラネコの問題など暗い話題にはふれない」
など出版社側の提示する条件が山崎さんの思うところと
折り合わず、実現していないということでした。
私は、かわいいだけではない
メッセージ性のある本にしたいという考えをお話しし、
本のビジュアルイメージも山崎さんの望むものと
近かったことから、ご快諾をいただきました。

また、ご自宅の半径50m以内に住むノラネコの
去勢・避妊手術をほどこすなど、ノラネコを取り巻く環境を
改善する活動にご尽力されている山崎さんには、
本の内容だけでなく、書籍化にあたって
もうひとつ強いご希望がありました。
印税分を全額動物愛護団体へ寄付するというものです。
そこには、かつてのジュルのような不幸な子をなくしたい
という思いが込められていました。
そこで、最終的には、売上げの一部とあわせて
「ジュルのしっぽ」一冊につき100円が
身寄りのないネコ・イヌたちを救済する
「ライフボート友の会」へ寄付されることとなりました。



肌が弱く、傷口をなめるとすぐ悪化してしまうため、
傷ができたときはなめ防止のため洋服を着ています。


この本では、文章や写真のセレクトはもとより、
構成、デザインから用紙にいたるすべてにおいて
山崎さんのこだわりが反映されています。
その分コンセプトがぶれず、読んでくださる方に
メッセージが届きやすい形になっていると思います。

山崎さんと出会ったことで、
天涯孤独のノラネコだったジュルは幸せなイエネコになり、
多くの人に支持されるブログの人気者になりました。
また、山崎さんは「言葉が交わせなくても、心は交わせる」
ということをジュルから教えてもらったと書かれています。
相手のことをわかりたいという
真摯な気持ちをもって関わり合う中で、互いに学び、
成長していくということは
相手が人であっても動物であっても同じなのだと
本を作りながら気づかされました。
単なるブログ本の域を超えた、
意義のある一冊になったと思います。



ジュルはきちんとリードをつける練習をし、散歩もします。
ときには旅行にも参加!


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『ジュルのしっぽ』
著者:山崎 花奈
価格:¥ 1,470 (税込)
発行:ジュリアン
ISBN-13:978-4902584714
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メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2008-06-27-FRI

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