担当編集者は知っている。



『センネン画報』
著者:今日マチ子
価格:¥ 1,200 (税込)
発行:太田出版
ISBN-13:978-4778320591
【Amazon.co.jpはこちら】


作者の「今日マチ子さん」というお名前に
見覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。
といいますのも、ほぼ日上で2005年に開催いたしました、
「ほぼ日マンガ大賞」に入賞された作家さんなんです!
その後、2006年、2007年と2年連続で
文化庁メディア芸術祭「審査委員推薦作品」を受賞。
今回、はじめての本が発売となりました。
web上で連載されている『センネン画報』の傑作選と
著者初の長編描きおろしマンガ、
「海からの36km」を収録。
独特のあわいブルーがこころに残る、
しずかな魅力にあふれたマンガです。
この本を担当された太田出版の
野口さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)


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担当編集者 /
   太田出版 野口理恵


『センネン画報』にはセリフがほとんどありません。
1作品が1ページのみ、という短いマンガですので、
コマとコマに潜むたくさんのセリフを、
こちらで感じとらなければなりません。
時折見せる、大胆なカット。
それでいてどこか懐かしい、静かな佇まい。
耳を澄ませて読む、そんなマンガです。

今日マチ子さんとの出会いは、2007年の年末。
別の単行本で「制服フェチのマンガ」という、
ショートストーリーを描ける作家さんを見つけていたとき、
知り合いの編集者から紹介されたのがきっかけです。
こんなことをいうと失礼かも知れませんが、
発注した段階では、内容を期待するというよりも、
「難しいお題を出してしまって申し訳ないなあ」
という気持ちでいっぱいでした。

ところが、
上がってきたネームをみて、驚きました。
それはもう度肝を抜かれる内容で、
「何だこの人は!? このマンガは何だ!?」
と一瞬でノックアウトされたのを、
いまでも覚えています。



「歯科医とパティシエ」(『制服男子』より)
歯科医の兄とパティシエの弟、
弟の彼女の三角関係が描かれる。



それ以降は、
もう今日マチ子の魅力の虜です。
webで連載されている『センネン画報』を
食い入るように見て、
「彼女の作品をもっといろんな人に知ってもらいたい」
と、すぐに出版のお話をしました。

作品をまとめる際は彼女の代表作であり、
ライフワークでもある『センネン画報』を。
そして、「長編作品」を
描きおろしてもらえないかとお願いしました。
「今日さんなら絶対に長編も描ける! 
 私はもっと今日さんの作品を読んでみたい!」
と、私が描くわけでもないのに、
妙に自信にあふれた感じで、
いま思えば今日さんも驚かれていたかもしれません‥‥。
何はともあれ、こちらの気持ちを伝え、ご承諾いただき、
企画会議に通し年末年始でバタバタとお話が進みました。

装丁は、
プリグラフィックスの川名潤さんにお願いしました。
作品のテイストが合っているのはもちろんなのですが、
彼を選んだ理由は、
彼自身が『センネン画報』を好きそうだったから。
案の定、おおいにハマってくださりましたので、
スタッフ全員が「今日マチ子ファン」という
最高の布陣で臨めました。

初めての打ち合わせの際は、
今日さんにも同席してもらいました。
高野文子さんの『おともだち』を持ってきて、
「こういう、女の子が宝物にしてくれるような本にしたい」
と今日さんがおっしゃられていたのが印象的です。

今日さんにとって、今回の出版は「処女本」になります。
彼女にとっては一生に一度の、
しかも今後を占う大事な1冊です。
慎重に、でもなるべく彼女の希望も叶えてあげたい、
と思っていました。

制作段階で、『おともだち』のようなBOX入り、
という夢は断念せざるを得なかったのですが、
ハードカバーで、花布(はなぎれ)、スピンをつけた、
「コミックだけどきちんとした装丁」
という目標はなんとか叶えることができました。

カバーの絵は川名さんが、
「僕、これが好きなんです!」
と、1回目のカバーラフから「きみ」という作品の
1コマを切り抜き、
この時点で、ほぼいまの状態まで出来上がっていました。



表紙の描きおろしの作品。
差し色で赤い浮き輪を。




スタッフ全員が大好きな「きみ」。
このブルーが今日マチ子カラー。



『センネン画報』はほぼ毎日更新しているので、
すでに原稿が1200枚程度ありました。
その中から、まず今日さんに春夏秋冬ごとに
掲載したい作品を多めに選んでいただき、
私のほうで、ストーリーが成り立つよう
パズルのように組み合わせて構成しました。

『センネン画報』は、
時間を越えてわざと話を飛ばしたりするところもあるので、
今回の構成のように、
しっかりとリンクがわかるような作りはマズイかな?
と思いましたが、
「本ならではの楽しみ」になってくれればと思い、
この流れになっています。

帯は森見登美彦さんにお願いしました。
川名さん同様、「きっと好きそうだな」という理由と、
森見さんの作品と、今日マチ子さんの作品の空気が
個人的にとてもよく似ているような気がして、
イチかバチかでゲラをお送りしてみました。
結果的に、とても気に入っていただけたようで、
森見さんらしい、
とても素敵な帯文をいただくことができました。
感謝してもし尽くせません。

何よりも一番頑張った今日マチ子さんに、
「処女本らしい」純白の美しい本を
お渡しすることができて、本当によかったです。

きっと、今日マチ子さんは、
今日も新しい作品を『センネン画報』で発表しています。
日々成長する今日マチ子を楽しんでもらえたら嬉しいです。


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『センネン画報』
著者:今日マチ子
価格:¥ 1,200 (税込)
発行:太田出版
ISBN-13:978-4778320591
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2008-06-10-TUE

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