担当編集者は知っている。



『明日もまた生きていこう
 十八歳でがん宣告を受けた私』

著者:横山友美佳
価格:¥ 1,365 (税込)
発行:マガジンハウス
ISBN-13:978-4838718719
【Amazon.co.jpはこちら】


著者の横山さんは、
先日、北京オリンピックへの出場が決まった
バレーボールの元日本代表選手でした。
過去形なのは、「がん」が彼女を襲ったからです。
そのとき彼女は、まだ18歳でした。
突然降りかかってきた、理不尽としか言いようのない大病。
彼女はオリンピックという大きな夢を諦めるだけでなく、
さまざまなことを諦めざるをえません。
しかし現状にめげず、何度でも立ち上がり、
そのときにできるかもしれないことを追いかける横山さん。
発病から始まるこの手記の中に綴られた、
彼女の力強い「生」への声には揺るぎないものがあります。
喜びも悲しみも、いいこともわるいことも、
生きているからこそなのだと、
改めて彼女に教えてもらいました。
この本を担当されたマガジンハウスの
柳楽さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)


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担当編集者 /
   マガジンハウス 書籍編集部 柳楽祥



3月に偶然この原稿がまいこんできてからほぼ2ヶ月。
末期がんを患っていた横山友美佳さんとすごした日々は、
私の人生にかけがえのない絆を生んでくれました。

そもそも、友美佳さんの夢をかなえたいと思った看護師が、
ある店で弊社の雑誌編集者と出会ったことから、
この原稿が私のところにやってきました。

ご自宅ではじめてあった友美佳さんは、すっかり痩せて、
抗がん剤で髪も抜けていました。
しかし、その笑顔はきらきらと輝き、
キティちゃんのタオルを頭に巻いて
キャラクター入りの手帳を広げる様子は
若さ全開の21歳でした。
“この本をつくるのが最後の夢”と
彼女は本の中でも言っています。
その喜びに彼女は輝いていました。
一方、こちらは、雑誌から書籍編集に移って
わずか1ヶ月でしたので、
相当緊張しておりましたが‥‥。

彼女とのやりとりは、はじめはメールが主でした。
絵文字を使いこなす友美佳さん。なれぬ絵文字を使う私。
ちぐはぐで、とんちんかんなやり取りだったでしょうが、
いつもガンバッテ! と書いてくれるメールに
心ときめいた!?日々でした。

4月に入り、彼女の病状が変化し
入院することになりました。
時間のない著者でした。急がねばなりません。
仕事として急がねば、というだけではなく、
繊細な心と頭の良さ、
そして、情熱をもった彼女の人間性に触れるたび
「彼女の思いに応えなければ!」という
使命のようなものが芽生えていたのかもしれません。
短い時間の中でも、
この人の信頼を得られるように、誠実に向き合いたい。
そう願っていたのです。

入院をしてからは、毎日のように
「これを見せるため」、「これを確認するため」
と病室に通っていました。
彼女は全力で起き上がり、原稿をチェックしたり、
写真を選んだり、本当にひたむきにがんばってくれました。
そして、たくさんの話をしてくれました。
バレーのこと、友達のこと、なにより本のこと。
出会ってまだひと月ほどだった私に対して、
彼女が屈託なく話してくれる会話はとても楽しかった。
ネイルの差し入れをしたときは、どの色が好み!?なんて
女子トークをしたこともありました。

会わない時間は携帯メールで連絡をしていました。
これは便利だけれど、面倒なものでもあります。
お互いの本音が伝わらないこともままあります。
(何でわかってくれないんだ!?)
と、彼女からのメールに泣きたくなったり、
逆に彼女を不安にもさせたりしたでしょう。
しかし、翌日お見舞いに行って会うと、
いつもにこにこして迎えてくれました。
「昨日はごめんなさい!」
「ううん、私も言葉が足りなかったし! 」
そんなことをいいながら、こうしたほうがいい、
あぁしたほうがいいと本の制作を進めてきました。
いつしか、友美佳さんも
「今日は何時くらいにきますか!?」
とメールをくれるようになりました。

こんな楽しかった時間も、一週間ほどで
また状況が変わりました。
次第に彼女が昏睡する時間が増えてきたのです。
いつか、その日が来ると承知の出会いだったのに、
“いつか”が来なければいいと、
ただ、ただ願っていました。

『明日もまた生きていこう』このタイトルを決めた翌日、
彼女はこの世を去りました。
明日へ夢を残してくれた彼女の思いを受け止めて、
やっと本の完成を見届けました。
彼女と過ごしたのは35日間です。
幸せや友情は時間で測れるのでしょうか?
私は一生分の思い出をもらいました。
それはまさしく彼女の生き方そのものです。
21年という短い生涯でしたが、
濃く充実した時間をすごした横山さん。
彼女のメッセージに耳を傾けてほしいと、
1ヶ月で永遠となった友人兼担当編集者は願っております。

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『明日もまた生きていこう
 十八歳でがん宣告を受けた私』

著者:横山友美佳
価格:¥ 1,365 (税込)
発行:マガジンハウス
ISBN-13:978-4838718719
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2008-06-03-TUE

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