担当編集者は知っている。



『お父ちゃんと私
 ーー父・水木しげるとのゲゲゲな日常』

著者:水木悦子
価格:¥ 1,260 (税込)
発行:やのまん
ISBN-13:978-4903548111
【Amazon.co.jpはこちら】


あの、水木しげる先生の
次女・悦子さんが書かれた本書には、
水木家の日常が描かれており、
予想を裏切らないおかしなエピソードが盛りだくさんです。
しかしそこには、お父さんとしての水木先生の愛情、
また、ちょっと変わった家だなぁと自覚しつつも、
とてもお父さんを愛し、支えている悦子さん、
並びにご家族の愛情があふれていました。
とても素直で、やさしい文章。
それはきっと、悦子さんのお人柄でもあり、
水木家の姿でもあるんだと思います。
水木先生のお描きになるものが、
妖怪という、ちょっと怖いものでも、
なんだか愛おしく思える理由が少しわかった気がしました。
この本を担当されたやのまんの
関さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」小川)


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担当編集者 /
   (株)やのまん やのまんブックス 関 由香



『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な妖怪漫画家「水木しげる」が、
ある日突然「妖怪なんてもんは本当はいないんだ」と言った! 

そんな衝撃の事実をはじめとする、
世にもゲゲゲな水木しげるの日常を綴った
エッセイ集『お父ちゃんと私』。
著者は水木しげる先生の、次女である水木悦子さんです。

著者の悦子さん、
水木漫画を愛する方なら、ピンとくる方も多いのでは? 
「エツコ」というキャラクターで、
水木先生の作品に頻繁に登場するのです。
あるときは、妖怪に襲われる吊りスカートの刈り上げ少女、
またあるときは、悪魔くんの妹、
またあるときは、先生の自伝に愛娘として‥‥
設定は違えど、トレードマークのメガネをかけて
フハッと息をもらす、その少女は全て悦子さんなのです。


水木漫画に登場する「エツコ」さん。
なかには、妖怪に殺されてしまうお話も! フハッ!
©水木プロ(すべて)


その、水木DNAをしっかりと受け継いだ
悦子さんが描くエッセイは、相当オモチロイ!
(注:誤植ではありません。水木用語です)
なにが、オモチロイのかというと、
水木先生の不思議な日常生活と、
それを受け入れる(時々、受け流したりします)
家族とのやりとりが、最高にオモチロイ! 
放っておくと箱入りのアイスを一気に食べてしまう、
海外旅行先で、大量の民芸品を買いあさる、
「クソ」「屁」などのキタナイ話が大好きで、
食事どきであろうがその話題で盛り上がる、
など先生のオモチロ行動が、盛りだくさん。
そんな「お父ちゃん」を、著者は、
「もうっ!」と、あきれながらも、
ついつい「カワイイな」と許してしまうと綴ります。
本の内容を読むと、そのあまりの奇想天外ぶりに
「本当なの?」という質問をいただくこともあるのですが、
この場をおかりして、断言します!
これは、すべて本当なのです。


水木家は、父、母、姉、悦子さんの4人家族。
家族のやり取りは、
温かくどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。


ある日、本の打ち合わせで水木プロさんを訪れたときのこと。
普段は、奥の作業部屋にいらっしゃる水木先生ですが、
なにやら探し物があると、
ひょっこり打ち合わせスペースにいらっしゃったのです。
先生は、ニコッと笑顔を浮かべて、ひと言。
「エツコの本ですか?」
「はい!」とお返事をしようと思った瞬間、
悦子さんが、
「もうー! お父ちゃんってば!」
と、あわてて先生のもとへ駆け寄りました。
そして、ズリズリっと下がったズボンを、
(先生曰く、渋谷の若者が流行らせる前から、腰ズボン)
慣れた手つきで、グイッとあげたんです。
そのとき、先生はおどけて白目をむきながら、
首を左右にフリフリと振っておられました。
まさに、エッセイどおり! 
そして、
「いつ発売ですか?」
「いくらで売るんですか?」
と、いろいろお聞きになります。
さらに1週間後、
今度は「お父ちゃん、トイレ行こ」と
つぶやきながら先生が部屋に入ってこられ、
また「エツコの本ですか?」と、質問されるのです。
打ち合わせのたびに、先生は現れて、
同じ質問をくり返します。
「ああ、そうか。先生は、悦子さんのことが心配なんだな」
とわかった瞬間、悦子さんが描く、
「うちのお父ちゃんは、カワイイ」という意味が、
わかったような気がしました。

発売日は、先生のお誕生日である3月8日に設定。
スタート時から考えると、その日程はとても、タイトでした。
しかし、悦子さんは
「お父ちゃんの誕生日プレゼントに!」を、
スローガンに、黙々と執筆していきました。
こうなったら絶対に間に合わせてみせる!
と、こちらも必死です。
悦子さんの原稿をもとに、膨大な水木作品のなかから
そのシーンにあった挿絵を探していきます。
小さいときから水木漫画に慣れ親しんだ悦子さんの文章には、
「タハッ」や「ビビビン」など、
漫画のなかに登場する擬音語や、
独特の台詞まわしがたくさん登場します。
文章のイメージに合った先生のイラストを‥‥
という作業には時間がかかりました。
どうしても、みつからないシーンもありました。
そんなときは、悦子さんに電話をします。
「悦子さーん、ケセラセラが、ないんです」
「ねずみ男が言ってませんでした?」
「それがどこにも、ないんです。貸本時代ですかね?」
そんな、会話を何度もしました。会社の人間は、
「いったい何を、話しているんだ?」と思っていたのでは?


「ケセラセラ」は、
結局「悪魔くん」のセリフでみつけました(笑)。


そして、できあがった「お父ちゃん」へのプレゼント。
「水木先生は、読んでくださいましたか?」 
と悦子さんに質問すると、
「それが‥‥、読んではいるみたいなんですけど、
 誰かが父の前を通ると、
 パタンッと本を閉じてしまうんです。
 きっと、恥ずかしくて、
 読んでいるところを見られたくないんです」
と、またまたかわいらしい一面を見せてくださった、
先生でありました。

さて冒頭で「妖怪なんて、いないんだ!」と、
おっしゃっていた水木先生。
このお話の結末は、どうなったのでしょうか? 
それは、本書を見てのお楽しみとさせてくださいませ。


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『お父ちゃんと私
 ーー父・水木しげるとのゲゲゲな日常』

著者:水木悦子
価格:¥ 1,260 (税込)
発行:やのまん
ISBN-13:978-4903548111
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2008-05-06-TUE

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