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| 担当編集者は知っている。 |
あの、水木しげる先生の 次女・悦子さんが書かれた本書には、 水木家の日常が描かれており、 予想を裏切らないおかしなエピソードが盛りだくさんです。 しかしそこには、お父さんとしての水木先生の愛情、 また、ちょっと変わった家だなぁと自覚しつつも、 とてもお父さんを愛し、支えている悦子さん、 並びにご家族の愛情があふれていました。 とても素直で、やさしい文章。 それはきっと、悦子さんのお人柄でもあり、 水木家の姿でもあるんだと思います。 水木先生のお描きになるものが、 妖怪という、ちょっと怖いものでも、 なんだか愛おしく思える理由が少しわかった気がしました。 この本を担当されたやのまんの 関さんにお話をうかがいました。 (「ほぼ日」小川) ************************************** 担当編集者 / (株)やのまん やのまんブックス 関 由香 『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な妖怪漫画家「水木しげる」が、 ある日突然「妖怪なんてもんは本当はいないんだ」と言った! そんな衝撃の事実をはじめとする、 世にもゲゲゲな水木しげるの日常を綴った エッセイ集『お父ちゃんと私』。 著者は水木しげる先生の、次女である水木悦子さんです。 著者の悦子さん、 水木漫画を愛する方なら、ピンとくる方も多いのでは? 「エツコ」というキャラクターで、 水木先生の作品に頻繁に登場するのです。 あるときは、妖怪に襲われる吊りスカートの刈り上げ少女、 またあるときは、悪魔くんの妹、 またあるときは、先生の自伝に愛娘として‥‥ 設定は違えど、トレードマークのメガネをかけて フハッと息をもらす、その少女は全て悦子さんなのです。 ![]() 水木漫画に登場する「エツコ」さん。 なかには、妖怪に殺されてしまうお話も! フハッ! ©水木プロ(すべて) その、水木DNAをしっかりと受け継いだ 悦子さんが描くエッセイは、相当オモチロイ! (注:誤植ではありません。水木用語です) なにが、オモチロイのかというと、 水木先生の不思議な日常生活と、 それを受け入れる(時々、受け流したりします) 家族とのやりとりが、最高にオモチロイ! 放っておくと箱入りのアイスを一気に食べてしまう、 海外旅行先で、大量の民芸品を買いあさる、 「クソ」「屁」などのキタナイ話が大好きで、 食事どきであろうがその話題で盛り上がる、 など先生のオモチロ行動が、盛りだくさん。 そんな「お父ちゃん」を、著者は、 「もうっ!」と、あきれながらも、 ついつい「カワイイな」と許してしまうと綴ります。 本の内容を読むと、そのあまりの奇想天外ぶりに 「本当なの?」という質問をいただくこともあるのですが、 この場をおかりして、断言します! これは、すべて本当なのです。 ![]() 水木家は、父、母、姉、悦子さんの4人家族。 家族のやり取りは、 温かくどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。 ある日、本の打ち合わせで水木プロさんを訪れたときのこと。 普段は、奥の作業部屋にいらっしゃる水木先生ですが、 なにやら探し物があると、 ひょっこり打ち合わせスペースにいらっしゃったのです。 先生は、ニコッと笑顔を浮かべて、ひと言。 「エツコの本ですか?」 「はい!」とお返事をしようと思った瞬間、 悦子さんが、 「もうー! お父ちゃんってば!」 と、あわてて先生のもとへ駆け寄りました。 そして、ズリズリっと下がったズボンを、 (先生曰く、渋谷の若者が流行らせる前から、腰ズボン) 慣れた手つきで、グイッとあげたんです。 そのとき、先生はおどけて白目をむきながら、 首を左右にフリフリと振っておられました。 まさに、エッセイどおり! そして、 「いつ発売ですか?」 「いくらで売るんですか?」 と、いろいろお聞きになります。 さらに1週間後、 今度は「お父ちゃん、トイレ行こ」と つぶやきながら先生が部屋に入ってこられ、 また「エツコの本ですか?」と、質問されるのです。 打ち合わせのたびに、先生は現れて、 同じ質問をくり返します。 「ああ、そうか。先生は、悦子さんのことが心配なんだな」 とわかった瞬間、悦子さんが描く、 「うちのお父ちゃんは、カワイイ」という意味が、 わかったような気がしました。 発売日は、先生のお誕生日である3月8日に設定。 スタート時から考えると、その日程はとても、タイトでした。 しかし、悦子さんは 「お父ちゃんの誕生日プレゼントに!」を、 スローガンに、黙々と執筆していきました。 こうなったら絶対に間に合わせてみせる! と、こちらも必死です。 悦子さんの原稿をもとに、膨大な水木作品のなかから そのシーンにあった挿絵を探していきます。 小さいときから水木漫画に慣れ親しんだ悦子さんの文章には、 「タハッ」や「ビビビン」など、 漫画のなかに登場する擬音語や、 独特の台詞まわしがたくさん登場します。 文章のイメージに合った先生のイラストを‥‥ という作業には時間がかかりました。 どうしても、みつからないシーンもありました。 そんなときは、悦子さんに電話をします。 「悦子さーん、ケセラセラが、ないんです」 「ねずみ男が言ってませんでした?」 「それがどこにも、ないんです。貸本時代ですかね?」 そんな、会話を何度もしました。会社の人間は、 「いったい何を、話しているんだ?」と思っていたのでは? ![]() 「ケセラセラ」は、 結局「悪魔くん」のセリフでみつけました(笑)。 そして、できあがった「お父ちゃん」へのプレゼント。 「水木先生は、読んでくださいましたか?」 と悦子さんに質問すると、 「それが‥‥、読んではいるみたいなんですけど、 誰かが父の前を通ると、 パタンッと本を閉じてしまうんです。 きっと、恥ずかしくて、 読んでいるところを見られたくないんです」 と、またまたかわいらしい一面を見せてくださった、 先生でありました。 さて冒頭で「妖怪なんて、いないんだ!」と、 おっしゃっていた水木先生。 このお話の結末は、どうなったのでしょうか? それは、本書を見てのお楽しみとさせてくださいませ。 **************************************
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2008-05-06-TUE
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