担当編集者は知っている。


『カイラス』
価格:1,050円(税込)
発行:アーバンコーポレイション
発売:キョーハンブックス
ISBN-13: 978-4876418114
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3月16日に創刊した季刊雑誌「カイラス」は、
節約やがまんで環境保全をめざすのではなく、
地球やさまざまな人々の暮らし・文化を知り、
地球と人のバランスを考えながら、
上質な暮らしをめざす
ライフ&カルチャー誌です。
創刊号はアマンリゾーツの会長の
エイドリアン・ゼッカさんや、
安藤忠雄さんら、時代の流れをつかみ、
次の時代を見極めながら、
新しい創造を生み出す人々の話が満載です。
この新雑誌について編集長の小西克博さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
   カイラス編集室 編集長 小西克博



■人も地球も有限であるという自覚から

この雑誌はアーバンコーポレイションという
不動産会社の企業文化誌として年4回発行されます。
ただ、全国の主要書店やネットでも販売しますので、
普通の雑誌と基本的には同じです。

わたしは出版社で働いていたのですが、
退社して新しいタイプの雑誌をやりたいと思い、
これを創刊しました。
どうせつくるなら、地球規模で考えたり、
感じたりすることがしたかった。

17、8年前に南極に行きました。
以前海外で仕事をしていたこともあって、
世界中をうろついていましたから、
地球の大きさみたいなものは
若い頃から体感していたんです。
でも唯一行ったことのない大陸が南極でした。
だからずっと行きたいと思っていたんです。
南極に行ってみて、もちろん感動はしましたが、
実は地球って結構やばい状態にあるのではないか
と思いました。
このことは「カイラス」の編集後記にも書きました。

地球の果てまでいって、ようやく気づいたんですね。
あたり前のことですが
地球というのは有限なんだなって。
ただの一個体の有限物。
限られているから、無尽蔵じゃないんだ、と。
人間と同じなんですね。
人間というのは有限だし、
人生というものも限られています。
例えば、健康診断で、
「こんな生活続けていたら、君の人生40歳までだよ」
という話になったら、
ちょっと気をつけて生活改善をしますよね。
食べるものはオーガニックなものを選ぶとか、
なるべく移動を徒歩にするとか。
それと同じで、
地球に対してもそれくらいの感じで
考えていった方がいいと思うんです。
自分の命が有限なのと同じで地球も有限。
この考えは、その時以来、
わたしがものをつくるとき、何か行動するときの
底流に流れている気がします。


■ラクジュアリーとエコノミー

だからって、ただひたすらストイックに
節約を奨励したいわけじゃないんです。
「限りある資源の無駄遣いをやめましょう」とか
「とにかくものを大切にしましょう」とか、
それはもちろん大切なことですが、
人間の「消費したい」という本能的な欲求を
ぎゅうぎゅうに押さえつけられると
みんな窮屈で嫌になる。
人間が持つそこそこの欲望を満たしつつ、
有限である地球での暮らしを、個々のレベルで、
みんなのレベルで考えていくというスタンスでないと
やはり長持ちしない、
サステイナブル(※)じゃないんです。
人間中心の実に都合のいい話なんですけどね。
どうしたら効果的なのかを考えてみると、
有力者や大企業に、つまり、
世の中を大きく動かせる人たちに、
その行動形態をエコシフトしてもらったほうがいい。
富や力をもつ人たちの贅沢の価値規準を
「豪奢なものからエコロジカルなもの」に変えたい。
これは日本に本来ある自然共生の美学です。
「真のラグジュアリーを知る人こそ
 真のエコロジスト」
であって欲しいし、
「21世紀の企業は地球規模で環境を考え
 改善していくものであるべし」みたいなメッセージも
発信するつもりです。

<注釈>
※環境を維持しながら社会発展を目指そうとする理念。


今回は、ブータンのアマンコラ(※)を取材しました。
アマンコラは複数のリゾートから成り立っており、
今回の取材先はティンプーという場所にできた
最新のアマンリゾーツです。
ブータンは自然はきれい、教育水準も高い。
経済力をもっとつけることもできる。
でも、乱開発しない国。
山が多くて移動が不便でも、
トンネルを作ることをしない。
彼らの開発の価値基準になるのは
「人間が幸せになる」ということなんです。
彼らは豊かさが利便性だけにあるわけではない
ということをわかっています。
彼らこそ、この雑誌のキャッチである
「地球と呼吸する」ように
生活している人たちかもしれません。

<注釈>
※アマンコラは今までのアマンリゾートとは
 異なるスタイルの旅を提案しており、
 ブータン内に誕生した複数のリゾートを
 アマンコラと、ひとつの名で呼んでいます。
 興味のある方はぜひ、
 「カイラス」の特集紹介ページもご参照ください。


それにエイドリアン・ゼッカさんという、
アマン会長の独占インタビューを載せました。
この人こそ、世界のハイエンドなニーズを
その最先端でキャッチしてきた人です。
アマンリゾーツが
なぜ究極の「エコ=ラグジュアリー」なのか、
またなぜそれが評価されるのか、
彼はそこで述べています。


■どんな雑誌をめざすのか

今は、色々なツールがあって
興味さえあれば何でも見たり、
知ったりすることができるようになった時代です。
わたしが若いときは、自分で行かないと
見ることができなかったような場所でも事柄でも、
今はワンクリックで見ることができます。
「カイラス」でも地球上で起きている様々なシーンを
読者に見せたいです。
そしてできれば見ることで
「何か」を感じてもらいたい。
見て、感じることで行動が決まる。
だからネガティヴなことも、ポジティヴなことも、
ちゃんと両方見せたいと思っています。
地球をなるべく可視化して、感じてもらいたい。
「カイラス」という一つの価値基準が
できたらいいなと思います。

ところで、この「カイラス」は、
チベットにある未踏峰の山から
名前をもらったんです。
この話は「カイラス」のブログにもアップしました。
我々が挑戦していきたいのも、
雑誌が持つ可能性の未踏峰の領域。
五感をフル活用させた
“地球マガジン”を作っていきたいのです。

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『カイラス』
価格:1,050円(税込)
発行:アーバンコーポレイション
発売:キョーハンブックス
ISBN-13: 978-4876418114
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2008-03-21-FRI

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