担当編集者は知っている。


『SAMURAI 佐藤可士和のつくり方』
著者:佐藤悦子
価格:1,890円(税込)
発行:誠文堂新光社
ISBN-13: 978-4416607244
【Amazon.co.jpはこちら】

著者は「ほぼ日」の「デザイン論!」
「T-1」でもおなじみのアートディレクター
佐藤可士和さんのパートナーであり、
マネージャーでもある悦子さん。
本書は、クリエイティブスタジオSAMURAIの
仕事の進め方や職場環境の作り方、
そして「アートディレクター、佐藤可士和」という
一人のクリエイターのブランディングについて
語った本です。
「クリエイターのブランディング」
「クリエイティブをマネージメントする」という
考え方も大変興味深い1冊です。
この本を担当された誠文堂新光社の大庭さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
   誠文堂新光社 大庭久実



NTT DoCoMo「FOMA N703iD」のプロダクトデザイン、
「平成20年デザイン年賀」デザイン、
幼稚園や病院の空間プロデュース、
国立新美術館のシンボルマークなど、
幅広い仕事を手がける
アートディレクター佐藤可士和さん。
可士和さんのデザインも名前も、
いま、日々の暮らしのあちこちで目にします。

アートディレクターといえば、
どんなに作品がよく知られていて、
業界では有名であっても、
一般の人の間では、その人となりは、
あまり知られていない裏方的な存在です。
ところが、可士和さんの場合、
特集が組まれた雑誌はあっという間に売り切れになり、
今秋出版した著書『佐藤可士和の超整理術』
(日本経済新聞出版社)も発売2週間で10万部を突破。
まさに時代の寵児と呼ばれるに相応しい活躍です。

本書『SAMURAI 佐藤可士和のつくり方』は、
可士和さんのマネージャーであり、
SAMURAIが手掛ける数々のプロジェクトの
プロデュースを行う佐藤悦子さんが、
いかにアートディレクター「佐藤可士和」を
世に広めてきたかを綴ったものです。

可士和さんは、もともと広告代理店で
アートディレクターを務め、
2000年に独立されSAMURAIを設立したのちは、
企業のCI、空間プロデュース、ウェブ‥‥と、
瞬く間に仕事のフィールドを広げていきました。
従来の「アートディレクション」と呼ばれる
仕事の幅そのものを広げ、新しい領域に挑戦し、
成功していく可士和さんの様子は、
デザイン同様、見ていて気持ちが良いほど
実に鮮やかでした。
私は、この可士和さんの活躍のウラには、
悦子さんの存在があるのかもしれない、と感じ、
そこをぜひ、悦子さんに聞いてみたいと思ったわけです。

クリエイターによる書籍は多々ありますが、
クリエイターをマネージメントする側に
語ってもらう書籍は、ちょっと変化球です。
仕事上の機密事項も多々あるでしょうし、
おふたりが、ご夫婦であることなどから、
話しづらいところもあるだろうと、
断られて当然くらいの気持ちでお願いしました。
ところが、悦子さんは、
「SAMURAIとしてのビジョンや
 クリエイティブスタイルについて話す機会は
 これまでも、そしてこれからもあまりないだろう」
と、引き受けてくださったのでした。

悦子さんは、可士和さんと同じ代理店に
営業職で勤めた後、結婚を機に転職し、
外資系化粧品会社で広報のマネージャーとして、
活躍された経験をお持ちです。
可士和さんの作品集・展覧会のパブリシティ等を
手伝うようになり、
「ここに自分がやるべきことがあるかもしれない」
と思うようになったそうです。
そのあたりのことを、
本書のあとがきで次のように語っています。

「佐藤の周りを見てみると“うーん‥‥”と
 思うことが山のようにあったのです。
 環境が整ったら、
 もっと爆発的な力を発揮できるのに。
 なんてもったいない‥‥と。
 デザインの力で世の中をより良くしていくことの
 一端を担いたい、というビジョンを実現するには、
 やはり自分が最高のパフォーマンスができる
 ステージが必要。
 そしてそのステージには、
 待っているだけでは上がれないと思いました」。

業界はもとより、業界以外の一般の人たちにも
「SAMURAI 佐藤可士和」の存在を知ってもらう、
というのが悦子さんの描いたビジョンでした。
そしてこのビジョンをもとに、
マネージメントとプロデュースしたことが、
可士和さんが活躍の場を
飛躍的に広げた要因であったのです。

悦子さんが考える
「SAMURAI 佐藤可士和」の
ブランディングプロジェクトは、実に細やか。
「SAMURAIの仕事として引き受ける仕事を吟味する。
 引き受けるべきかどうかを判断するため、
 事前にクライアントと何度も会って、見極める」
「佐藤可士和のデザインを知ってもらうために、
 一見デザインとは関係のない
 雑誌やテレビなどのメディアにも必要な限り出る」
「体調管理を仕事の一環としておこなう」‥‥などなど。
悦子さんも言っているのですが、
特別なことは見当たらず、言われてみれば当たり前、
と思われることが多いのが特徴。
けれど、実際それを日々の忙しさのなかで
実行していく意識と根気は
並大抵のものではないに違いなく、
担当編集者として悦子さんと接していて
たびたび感じたのが、何よりも「根性」でした。
(「根性」という言葉は、
 悦子さんのエレガントな外見とは
 かけ離れているかもしれませんが)。



どんな状況でも素早い対応をしてくださり、
常に周囲への気遣いを忘れずに、
楽しく仕事に取り組まれる姿勢‥‥、
この本の編集中にお子さんが生まれたのですが、
疲れた顔など見たことは一切ありませんでした。

それは、可士和さんが本書で言っているように
まさしく「パーフェクト」な仕事ぶりで、
「佐藤悦子のつくり方」を知りたくなり、
「なぜそんなにデキるんですか!?」と
思わず何度も尋ねてしまいました。
そのたびに悦子さんは
「ずっと仕事をしてきてますから」とひと言。

SAMURAIに参加された悦子さんは、
今までのご自身の経験をいかし、
1日1日の小さな積み重ねから核心を掴み、
可士和さんとおふたりで力を合わせながら
進んできたのだと思います。
「SAMURAI 佐藤可士和」は一日にしてならず、です。
私自身、一社会人として気づかされることが
とても多く、忘れられない日々となりました。

可士和さんのような存在を目指す方はもちろん、
マネージメントやプロデュースに関わる方、
ブランドを作ることに興味のある方にも、
ぜひ読んでいただきたい1冊です。



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『SAMURAI 佐藤可士和のつくり方』
著者:佐藤悦子
価格:1,890円(税込)
発行:誠文堂新光社
ISBN-13: 978-4416607244
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
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2007-10-30-TUE

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