担当編集者は知っている。


『いわいさんちのリベットくん
 (キットつき)』

編訳:岩井俊雄
価格:1,890円(キットなしは1,365円)(税込)
発行:紀伊國屋書店
ISBN-13: 978-4314010283
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メディアアーティストの岩井俊雄さんが、
愛娘ロカちゃんのために作った
手作りおもちゃ「リベットくん」が
キットつきの本になりました。
ロカちゃんが2歳だった頃、
父として娘にどう向かいあうべきか迷い、
また、ひとりの親として小さな娘に
いきなりハイテクは与えたくないと考えて
生まれたのがこの「リベットくん」。
この本を担当された紀伊國屋書店の
藤崎さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
紀伊國屋書店 出版部 藤崎寛之



いわいさんちのおもちゃといえば、これ

「リベットくん」は、
“いわいさんちオリジナルのおもちゃ”です。
厚紙に人や動物のパーツを描いて切り抜き、
リベット(割ピン)でつなげば出来上がり。
動かしながら遊ぶと、
不思議とお話がふくらんでいきます。


▲リベットくんを作る道具や作り方も掲載。


▲お話を作ったり、デジカメでアニメーションを
 作る方法も紹介されています。


岩井さんは、愛娘ロカちゃんと一緒に
これを作って遊んできた経験から
絶対の自信をお持ちで、
最初に本づくりの相談を始めたときからずっと、
「リベットくんつきの本が作りたい!」と
おっしゃっていました。

しかし、当時の僕には、
おもちゃつきの本なんて気の遠くなるような話で、
コストのことも気になりましたし、
岩井さんの「野望」はおあずけにしてしまったのです。

それでも、岩井さんとの最初の本
『いわいさんちへようこそ!』
少し大きく紹介したところ、
これが大反響を呼んだんですね。
「リベットくん、うちでも作ってみました!」と。

その後、「ほぼ日」さんのこのコーナーでも
紹介させていただいた
『いわいさんちのどっちが?絵本』
出したこともあって、
岩井さんのアイデアに寄り添うことが
編集者としての僕のよりどころのひとつとなりまして、
また、岩井さんがNHK教育の
幼児番組『いないいないばぁっ!』
オープニングアニメーションを
リベットくんを使って(!)製作されるに及んで、
児童書素人の僕もついに決断しました。
「これはもう、やるしかない!」


▲『いわいさんちのリベットくん』は
 すぐに作れるキットがついてます。


こだわりの人、岩井俊雄

やることになったからにはちゃんとしたものを、
と思うわけですが、
リベットなどのキットを付録につけて、
しかもリーズナブルな価格に収めるのは、
なかなか難しいものでした。

さまざまなパターンで見積をとって、
電卓をたたき、数字をにらむ毎日
(中央精版印刷の浜野さん、
 嫌な顔ひとつせず何度も見積もってくださり、
 ありがとうございました!)
――まあ、そんなミもフタもない話は割愛しますが、
岩井さんがこだわったのは大きく2点あります。

ひとつは紙です。
キットには、岩井さんによる
パーツのイラストを刷ったカード4枚を入れて、
読者のみなさんに切り抜いてもらうことにしました
(自分で描くための無地カードも1枚入れました)。
そのカードの紙をどのようなものにするか。

いわいさんちでは、一度リベットくんを作ったら、
繰り返し繰り返し遊びます。
ボロボロになったら
修理してあげるほど大切にするのです。
だから、あんまり薄い耐久性のない紙だと、
せっかく作っても趣旨が違う感じになってしまいます。
かといって、厚すぎると端的に切り抜きにくい。
印刷も特別なものになってしまい、コストがかさみます。
ただ、切り抜きやすさを追求しすぎると、
今度は作る甲斐がなくなっちゃうんですね。

コストが見合い、印刷がきれいで、
ある程度切りやすいが、
ほどよい厚さが作った読者に達成感をもたらす
‥‥そんな紙、あるのか!?

ありました! 
見つけてくださったのは、竹尾の井上さんです。
さすが、紙のプロ。


▲4枚のカードからこんなにたくさん作れます。


ねじ屋さんとの遭遇

もうひとつのこだわりは、リベットそのものです。
「リベットくん」を作ってもらうのですから、
リベット自体が入っていないと話になりません。
しかし、どこに話を持っていけばいいのか‥‥。

岩井さんはふだん、市販のアルミ製のリベットを使用。
ただ、これはリベットくん作りには脚が長すぎるので、
毎回切っているといいます。
せっかく作るのだったら、
脚の長さをちょうどよいものにしたいし、
パッケージもオリジナルなものにしたい
――そんな要望を受けて、
とにかく上記市販のリベットの製造元・八幡ねじさんに、
思い切って問い合わせてみたのです。
本の付録に入れるリベットを特注したい。
そんな話、滅多にあるもんじゃないでしょうから、
たぶん最初は驚いたと思うんですね。
でも、何度かやりとりしているうちに、
理解してくださいまして、
コストの相談にも快く応じてくださいました。
こうして、「いわいさんちのリベットくん専用リベット」
(40個入)が誕生したのです。

書籍編集者になって、
まさかねじ屋さんと交渉するとは
思ってもみませんでした。
また岩井さんに巻き込まれましたね
(嫌いじゃないんです、巻き込まれるの)。

ちなみに、この専用リベットは
単品でもご購入いただけます。
こちらをご参照ください。


▲専用リベットはパッケージもオリジナル。


そこまでこだわるか!

付録のキットの話ばかりしてしまいましたが、
本のほうも密度満点。
ページをめくるたびに
いろんなバリエーションのリベットくんが
カラフルに登場します。


▲たとえばカラフルな「カメさん親子」。


▲子どもが好きなガチャポンまで
 リベットくんになります。


岩井さんはこれらほとんどを新規に製作。
書き下ろしというより、「作り下ろし」です。

先ほど、こだわったのは2点と書きましたが、
実は密かにこだわったところが
本の中身でもう1点ありました。
それは、本の中に絵本が挟まれていること。

昨年のクリスマスに向けて、
岩井さんがロカちゃんのために毎日作り続けた、
クリスマス・バージョンのリベットくんが
ひとつのお話になって入っているのです。
しかも、ここだけ紙が違います!

こんなこだわりだらけの本を、
手際よくデザインしてくださったのは、
いつものとおり、VOLTAGEの内田雅之さんです。
岩井さんと内田さんと僕と、
パパ3人でテンション高く楽しく作りました。

あっ、さらにリベットくん遊びのバリエーション
ということでいえば、
本の中でリベットくんを使った
簡単アニメーションの作り方が紹介されているのですが、
岩井さんはこれをご自分で実践。
こんなプロモーションビデオを作ってくれました。
岩井さんのブログで見ることができます。

この印象的なBGM、一度聞いたら頭から離れなくて、
病みつきの方続出中なのですが、
これは岩井さんの新しい作品
「TENORI-ON(テノリオン)」
で作られたものです。
岩井さんは歌詞も考えていらっしゃるようなので、
いつか発表されるかも(?)。


リベットくんは増殖する

本を発売後、岩井さんは
親子でリベットくんを作るワークショップも
やられたのですが、これがとっても盛り上がりました。

上記のキットをいちど組み立てて、
「リベットくん」のなんたるかがわかると、
子どもたちは次々と
オリジナルの発想で作っていきますね
(それにつられて、親たちも頑張っちゃうんです)。

このワークショップの様子や、
参加してくれたみなさんの作品も
岩井さんのブログで見ることができます。
たとえば、こちら

子どもたちのいきいきとした表情から、
彼らが潜在的にもっているクリエイティブな力が
引き出されるのが如実にわかって、
この本を出してよかったと
いっそう確信を深めた僕でした。

ともかく、このかわいくて、
あったかい「リベットくん」というおもちゃが
どんどん広まっていくことを願ってやみません!

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『いわいさんちのリベットくん
 (キットつき)』

編訳:岩井俊雄
価格:1,890円(本のみは1,365円)(税込)
発行:紀伊國屋書店
ISBN-13: 978-4314010283
【Amazon.co.jpはこちら】

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2007-08-24-FRI

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