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| 担当編集者は知っている。 |
専門家の視点ではなく、 ふつうの人が常識で考えたら こういうことじゃない? という切り口で、 わかりやすく物事のつながりを解き明かし、 新しい気づきを発見させてくれる 内田樹さんの「街場」シリーズ第3弾です。 『街場の現代思想』、『街場のアメリカ論』に続き、 今回のテーマは中国。 この本をご担当されたミシマ社の三島さんは、 糸井重里の『インターネット的』の 担当編集者さんでもあります。 昨年、31歳で出版社を立ち上げた三島さん。 記念すべきこの本について お話をうかがいました。 (「ほぼ日」渡辺) ********************************** 担当編集者/ ミシマ社 三島邦弘 ほぼにちわ! ミシマ社の三島邦弘といいます。 最初にちょっとだけ 自社紹介をさせていただきますと‥‥ 弊社は、昨年の10月に創業した、 できたてほやほやの出版社です。 現在、スタッフ3名 (本作り、営業、仕掛け屋の3チーム)+αで 活動しています。 そんな赤ん坊の出版社が、 日々、もがいたり、笑ったり、 ときに泣いたり、はしゃいだりしております。 今回は、弊社の看板ともいえる 魂の1冊をご紹介いたします。 6月に刊行した『街場の中国論』です。 この本を紹介するために、 一度、話を会社の立ち上げ前に戻します。 さかのぼること、1年ちょっと前。 私は、ある日突然に 「出版社をつくろう」と決意しました。 そう思った瞬間、目の前がぱっと明るくなったのですが、 その話はここでは省きます。 起業を決意した私は、 『街場の現代思想』『街場のアメリカ論』という (プチ)ヒット作を書いていただいていた 内田樹先生に、相談することに。 内田先生との本作りは、編集者としてだけでなく、 一人の生活者としても、 とても勉強になることばかりです。 これまで100冊以上の本を手がけてきましたが、 こういう「師匠」のような方は 実際にはそう多くはいません。 それだけに、並々ならぬ決意と緊張感をもって、 内田先生に向き合うことになりました。 「出版社をつくろうと思います」 そう伝えたときの心境は、もうドキドキものです。 というのも、そのときの私には、 資金的にも、出版社を運営する知識的にも、 まったく揃っていませんでしたから。 「なにを無茶な」 そう言われても仕方がない。 覚悟を決めつつ、勇気をふりしぼっての報告でした。 ところが、内田先生からは 思いがけない言葉をもらいました。 「それがいいと思います」 「思いがけない」と書いたのは、 私が何も説明する前に そう言ってくださったからです。 ――こんな出版社を目指します。 ――このような方針で考えてます。 そうした説明を一切抜きに、 「それがいい」とおっしゃってくださったのです。 そのときの気持ちは、形容のしようがない、 ただただうれしいものでした。 同時に、こんなにプレッシャーのかかる 応援もありません。 ――なんとしても一流の出版社をつくらねば‥‥。 しかも、先の言葉につづけて、 「すぐに原稿を書きます」とまで 言ってくださったのですから。 全てはあの瞬間から始まりました。 それからおよそ半年がたった3月のある日。 内田先生からメールが届きました。 「こういうふうに隣国の歴史や内政外交について 書いた本て、ほんとうに少ないということに 自分の書いたものを読んで思いました。 私が読みたかったのはこういう中国論なんだよ‥‥ と思わずつぶやいてしまいました。 というわけで、少なくとも私はこの本を買いますよ!」 という素敵なメッセージ付きで。 そして、興奮を抑えつつ、その原稿を読んでみると‥‥。 ぶっとびました。 反日デモ、中国の愛国教育、中華思想‥‥ 各トピックがいちいち面白いのはもちろん、 読む前には想像もしてなかった「地点」へと 自分が連れていかれているのです。 本を読む楽しみのひとつに、 何かを「知る」ということがありますが、 この原稿は「知る」だけに留まりません。 思考の枠組みそのものが広がっていく。 その感覚は、とっても気持ちのいいものでもあります。 たとえば、ストレッチ体操をやったあとに 屈伸をすると手の届く距離が3センチも伸びた、 といったときのような感覚です。 ここでは、具体的に述べることはしませんので、 それぞれの受け取り方で、 想像力の幅がぐーんと広がる感じを 味わっていただければと思います。 ともあれ、まさに世界が広がる1冊。 編集の作業も当然、半端じゃない熱を帯びてきました。 ――起業報告から約1年。 単身で立ち上げた出版社も、 今では、営業チーム、仕掛け屋チームという 仲間が加わり、 自社営業ができる状態にまでなりました。 そして『街場の中国論』は完成しました。 著者の内田先生がこれ以上ないくらい気持ちを込め、 頑張って執筆くださった1冊。 編集者である私も全身全霊を傾けてつくった本。 流通から売り方まで、全て自社で考え、整えた 「自社営業」による最初の本。 文字通り「魂」の本となりました。 『街場の中国論』は、いま、おかげさまで とても売れております。 ●番外編 この本の魅力のひとつは、 あふれんばかりの「街場(まちば)」感覚にある と思います。 内容が、「街場」の感覚なのは、読んでいただければ 「たしかに!」とうなずいていただけると思います。 というのもそもそも本書は、 「街場のふつうの人だったら、知っていそうなこと」に 基づいて、 「中国はどうしてこんなふうになったのか?」などを 推論した内容となっているからです。 ただし、この本が「街場」なのは、 内容ばかりではありません。 「売り方」も、街場的です。 たとえば、内田先生の手書き色紙コピー。 これが実に素敵なんです。 ![]() ![]() ![]() 「おお、これはびっくり」 ですよ! これほど、読者の想像力をかき立て、 同時に読者の理解力に 「信頼」をおいた言葉もないのではないでしょうか。 それ以外にも、 「これは愉快な」「読めばしあわせ」「読んでね」 「面白いよ」「話半分」などなど、です。 これぞ、街場の人・内田先生のすばらしきセンス。 ちなみに、すっかり刺激を受けた 弊社の営業&仕掛け屋メンバーは、 こんな書店用パネルをつくってしまいました。 ![]() 「街のみんなも大絶賛」と謳い、 手書きで「目からウロコが落ちました」と 吹き出しがついていたり、 中国人の読者からは、 「好!(ハオ)」の言葉をもらったり。 このように、「街場」感覚で書かれた本書は、 売り方も街場的です (もちろん、弊社では、この本にかぎらずこれからも、 小さな出版社だからこそできる売り方を 追求していきます)。 たった3人+αの出版社でも、 ベストセラーを生むことができる。 そう、とことん信じて、 『街場の中国論』を広めていきたいと思います。 ぜひ「街」の息吹を感じとっていただければ嬉しいです。 脳みそを柔らかくし、世界を感じるアンテナを広げる。 「街場」の空気を大きく吸い込む。 そうすれば、 きっとこれまでと違う世界が待っているはずです。 **********************************
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2007-08-03-FRI
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