担当編集者は知っている。


『ANIMALS+(PLUS)』
著者:三沢厚彦
価格:2,730円(税込)
発行:求龍堂
ISBN-13: 978-4763007063
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著者は彫刻家の三沢厚彦さん。
本を開くとシロクマや犬、猫、うさぎ、キリンなど
たくさんの動物たちの迫力ある彫刻作品がいっぱい!
がっちりして、ごついようでいて、とても繊細。
ユーモラスで、ドキッとする、木でできた動物たちです。
この本は三沢さんの作品集でもあり、
今年、各地で開催されている展覧会、
三沢厚彦展「ANIMALS+」
カタログでもあります。
担当された求龍堂の佐藤さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
求龍堂 編集部 佐藤佳子


展覧会カタログの代わりに作品集を


今回の本は2002年に求龍堂から刊行した、
彫刻家三沢厚彦さんの作品集
『ANIMALS』の第2弾となり、
2002年以降から新作までの主要作品を掲載しています。

三沢氏は動物をテーマに創作活動を続けている作家で、
今は初の全国巡回展の真っ最中です。
通常では展覧会カタログは会場で販売されるのみですが、
今回は書店でも買える作品集を刊行し、
それを展覧会会場でも販売するという形をとっています。

展覧会が終わってしまうと、
たいてい展覧会のカタログは
その後、手に入らなくなってしまいます。
ですが、せっかく作るのであれば
たくさんの読者に見て欲しいと思い、
後々でも手に入るような作品集にしました。
ですからこの本は、
三沢作品を世に送り出した西村画廊や、
平塚市美術館、旭川美術館、伊丹市立美術館などの
たくさんの方が関わって作った作品集なんです。


▲本の表紙にもなったシロクマ。
 背景に材木があるのはこの場所が製材所だから。
 大きいものはここで作るそうです。


撮影から立ち会い

編集作業は、まず、近作の作品の撮影から始まりました。
展覧会最初の会場となる
平塚市美術館に続々と作品が運びこまれ、
開梱されていきます。
絵画と違って立体の彫刻は
移動するのにも手がかかります。
ほぼ等身大の象やユニコーン
(ユニコーンの実物は想像でしかありませんけれど)は
数百キロの重量があるため、動かすだけでも大変です。
それらの動物の群れを1つ1つ撮影するのには
セッティングから撮影まで約1日がかりという
大変な作業でした。
彫刻は全方向から見ることができるため、
角度が違えば印象も変わって見えます。
そのためライティングから置き位置などの指示も
三沢氏自身が全て出していました。

展覧会会場自体も三沢氏のプロデュースで行われました。
この後の本の編集制作にも三沢氏は細かいところまで
目を光らせていくのです。

ところで、その時、初めてわかったことがあります。
三沢氏の彫刻は素材が木でできているため、
できたばかりの彫刻には、
見えない場所に割れ目をいれています。
湿気が抜けて、彫刻が安定してから
そこを埋めるそうです。
また、彫刻の素材にはくすのきを使っているので
独特のいい香りがします。
展覧会に行かれた方は気が付いたかもしれませんが、
会場自体に、ほのかに木の良い香りがします。


▲三沢氏の彫刻は目に特徴あり。
 向き合うと見つめられている気がします。



彫刻家の粘り腰

作品集を制作するにあたって、
三沢氏には何度も打ち合わせに来ていただきました。
そのときに思ったことは
「彫刻家とはこういうものか!」
と思えるほどに、粘り強い、ということ。

ざっくり全体を決めて細かいところを煮詰めていく
という方法ではなく、
三沢氏は最初の1ページから、
きっちり内容を詰めてレイアウトを決めていく
という方法をとり、
いつ終わりが来るのかと思うほど
気の遠くなるような作業を
繰り返し、繰り返し行うのです。

それも、掲載図版が変更になると
その度にまた一からスタートという調子です。
普段から1本の丸太を、ノミで削って削って、
形を作っていくという作業をやっている人でないと
こんなやり方はできないだろうなぁと思って
感心するばかりでした。

刊行までのスケジュールは非常にタイトでしたが、
作品集の中扉に使う文字や
作品集の裏表紙のユニコーンの
ドローイングもお願いすると
「いい本ができるなら」
と快く本のために描いてくださいました。


▲「かわいい」ワケではないけれど
 心ひかれる不思議なポーズ。



作品集なのに対談3本

三沢氏はもともと大学時代に
ラグビーをやっていたスポーツマンで
「兄貴!」と呼びたくなるような風貌なのですが、
実際は大変繊細な人です。

今回の本には美術評論家の酒井忠康氏、
『ぐりとぐら』の中川李枝子さん、
写真家の森山大道氏との対談が3本収録されています。
なかでも三沢氏が大ファンであった
森山氏との対談は、今回の一番の肝でした。

対談は、森山氏の行きつけの
新宿ゴールデン街のとあるバーで夜に収録しました。
緊張のせいか三沢さんの語りも
最初のうちはあまり進まず、
時間が流れて行くばかり。
森山氏も饒舌な方ではないので、ハラハラしていました。
しかしお二方とも
メイプルソープやウォーホルが大好きだとわかり、
その共通点をきっかけに、話が弾みはじめました。
お酒もまわって夜も更けた頃には、
今度はレコーダーのバッテリーの残量を
心配しながらの収録となりました。


▲三沢自筆メモ。
 打ち合わせ中でも紙があれば絵をかいてしまう。



実物もすごいが作品集もすごい!
と言ってもらえるために


三沢氏の作る動物は、写実的な動物ではなく、
三沢氏の目を通した三沢氏独自の動物ですが、
今にも動き出しそうな躍動感を感じる作品です。
実際に作品を見ると、彫刻刀の削り跡一つ一つが
生きている動物のように呼吸している気さえします。
その立体作品を作品集という平面に落しこむ際には、
とにかくその躍動感を失くさないようにしようと、
気を付けました。

撮影の段階から、置く場所やライティングに
細心の注意を払い、
写真になった段階でも、
動物たちの呼吸が感じられるようにしました。
さらにどういった並びで動物を配置すれば
読む人が気持ち良く動物たちを好きになってくれるか、
図版の大きさも、小さくしたり、大きくしたり、
横にずらしたり、バックの色を変えたりと、
細やかに細やかに作業しました。

実際に展覧会をご覧になれなかった方たちでも
三沢氏の世界を感じてもらえる
作品集になったのではないかと自負しています(笑)。


本を見てくださる読者の方に

三沢氏のアトリエに行くと、
まるでおもちゃ箱をひっくりかえしたような状態です。
制作中の作品やドローイング、大好きな音楽のCDや本。
見ているだけで、知らない世界に
踏み込んでしまったような気分になります。
この本をきっかけに、そんな三沢氏の独特の世界を
読者のみなさまに想像して、
楽しんでいただければ幸いです。


▲三沢氏のアトリエ。
 いろいろな作品がここから生まれました。



■お知らせ■

三沢厚彦展「ANIMALS+」の
今後の巡回会場・会期は以下のとおりです。

北海道立旭川美術館
6月16日〜8月23日

高崎市美術館
9月8日〜10月28日

伊丹市立美術館
11月3日〜12月16日

ふくやま美術館
12月22日〜2008年3月9日

くわしくは各美術館にお問い合わせください。

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『ANIMALS+(PLUS)』
著者:三沢厚彦
価格:2,730円(税込)
発行:求龍堂
ISBN-13: 978-4763007063
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2007-06-22-FRI

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