![]() |
| 担当編集者は知っている。 |
主婦の視点から、 家族が楽しく気持ちよく暮らせるキッチンのあり方や、 使いやすい道具についてのコラムを 新聞・雑誌に連載されている石黒智子さん。 家事は楽しく簡単に、ちょっとした工夫で、 毎日楽しく気持ちよく暮らす‥‥ このご本には、石黒さんならではの シンプルで気持ちよい暮らしのコツや、 道具選びの吟味のしかた、 アイディアあふれる家事のやり方が たっぷり紹介されています。 ご担当されたソフトバンククリエイティブの 八木さんにお話をうかがいました。 (「ほぼ日」渡辺) ******************************** 担当編集者/ ソフトバンク クリエイティブ 第二書籍編集部 八木麻里 はじめて石黒智子さんのことを知ったのは、 石黒さんの1冊目のエッセイ 『大人のための素敵な良品生活のすすめ 最小限のもので、贅沢する技術』 (PHP研究所 2000年10月刊)が 書店に並んで間もなくのことでした。 当時、わたしはIT系雑誌の編集者をしており、 「素敵な生活」とは かけ離れた暮らしをしていたのですが、 何気なく手に取ったこの本を パラパラとめくるうちにどんどんひきこまれて、 持ち帰らずにはおれなくなっていました。 自分にとっての「いいもの」を見極める目の鋭さ、 そして、おだやかな文章の奥に見える芯の強さに、 ガツンと頭をはたかれたような気がしました。 筆者は、そのときすでに、カリスマ主婦として 雑誌などでご活躍されていた石黒智子さんでした。 この本は、家で線を引きながら読んでいたら、 線だらけ、付箋紙だらけになりました。 それからというもの、 石黒さんがわたしの頭の中から離れなくなり、 数年の時がたち、このたび念願かなって、 2冊目のエッセイの編集を 担当することとなりました。 ![]() ▲道具を選ぶ基準は、第一に使いやすいこと。 次がデザイン。両方を満たさないと 石黒家の一員にはなれません。 「どうしたら石黒さんのような“目”を 持つことができるのだろう」 それを解き明かすような本にしたいと考えていました。 石黒さんとはじめてお会いして話をしているうちに、 「この本はすごいものになるぞ」という思いは、 確信に近いものとなっていきました。 石黒さんのご自宅で、 キャンドルウォーマーで温められた 紅茶を飲みながらお話をするのですが、 道具の話になると、 石黒さんはすぐに台所に立って、 なぜこのフライパンを使っているのか、 なぜシンクの中に水切りかごが置いてあるのか、 なぜ同じ形のガラスのふたがたくさんあるのか、 なぜスプーンはこの形のものがいいのか、 なぜ23年間このトースターを使っているのか、 といったことを手で示しながら説明してくれます。 すべてのものに選んだ理由があり、 使う理由があり、そこに置くべき理由があり、 25年かけて現在の台所ができあがっているのです。 なくてもいいものはひとつもありません。 本当に必要とされているものだけが集まった台所は、 とても居心地のいい おだやかな空気が流れていました。 ![]() ▲25年前に設計したという台所。 訪れる人すべてを受け入れてくれる、 とてもオープンな気持ちのよい空間です。 神奈川県にある石黒さんのお宅に伺うと、 まず驚くのが、いわゆる玄関がないということです。 ガラスの扉をあけると、 いきなり目の前に登場するのが、 キッチンと、 キャスター付きの大きなダイニングテーブル。 家のいちばんいい位置、目立つ場所に キッチンがあります。 ダイニングテーブルの位置は、 いつもお宅に伺うたびに違います。 季節と時間帯に応じて、 いちばん気持ちのよい場所に、 テーブルと椅子を動かしているのです。 冬は日当たりのいい暖かい場所に、 夏は風通しのいい窓際に。 エアコンはなく、明かりはなるべく自然の光で。 そしてこのダイニングテーブルは、 料理の作業台になったり、アイロン台になったり、 食事スペースになったり‥‥ あらゆる場面で活躍します。 台所の引き出しのひとつが救急箱になっていたり、 カップボードに手作りの浅い棚板が足してあったり、 包丁やキッチンばさみが まとめてマグネットの板にはりつけてあったり、 「なるほど!」と 膝をたたきたくなるようなアイデアが、 いたるところにちりばめられています。 ![]() ▲道具は、使いたいときすぐに手の届く場所に。 ![]() ▲スプーンやフォークは、 必要な本数しか持たないこと、 目当ての種類をすぐに取り出せることが大事。 ![]() ▲たまご焼き器は、トースターに入るように ハンドルを金鋸で切り離し、着脱式に加工。 石黒さんは、ご自分のことを研究家や評論家ではなく、 あくまで「主婦です」と言います。 主婦として「家族が居心地のいい家とは?」 「みんなが集まる台所とは?」ということを考え続け、 実践してきた経験が、 ものを選ぶ目と暮らしの哲学を形作っています。 本書は、そんな石黒さんが、 どんなふうに考えて台所をつくってきたか、 道具を選んで使ってきたかを綴った1冊です。 自分の中にしっかりした軸を持つということ。 そして、その軸は変化や新しいことを どんどん吸収するとても柔軟な軸であること。 いただいた原稿を読みながら、 そんなことを強く思いました。 「自分もこうありたい」と、 一行一行に深くうなずきながら編集をしました。 収録している写真とイラストはすべて、 石黒さんの手によるものです。 写真は、作り込みの一切ない日常の目線で、 ありのままの暮らしを撮影していただきました。 1000枚を超える中から、 100点ほどに絞り込んで掲載しています。 石黒さんが選び抜いてきた道具の数々と、 たくさんの知恵と工夫が詰まったこの本を、 みなさんに読んでいただけたら、 とてもうれしいです。 ※ ほぼ毎日更新される石黒さんの ホームページ内の「White Board」では、 暮らしの中での発見や道具の紹介を 見ることができます。 過去ログは一切なく、 その日の記事が見られるのはその日限りなので (そこがまた石黒さんらしいのですが)、 どうぞお見逃しなく! ********************************
|
担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。
2007-04-03-TUE
![]() 戻る |