担当編集者は知っている。


『イナカノコ』
著者:おおたうに
価格:1,680円(税込)
発行:牧野出版
ISBN-13:978-4895001199
【Amazon.co.jpはこちら】

「ほぼ日」の「留守番番長」などで
おなじみのイラストレーターおおたうにさん
いままでも『うにっき』など
イラストエッセイ集を多数書かれてますが、
このご本は、うにさんの初めての小説です!
せつなくなったり、悩んだり、傷ついたりと、
ゆれうごく女の子の気持ちを
繊細な文章で綴ります。
このご本を担当された牧野出版の
小田部さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
牧野出版 小田部信英

『イナカノコ』は、
イラストレーターおおたうにさんの初めての小説です。
もちろん渾身の書き下ろし、
お声がけしてから4年の月日を経て本になりました。
まずは、内容をざっくりと‥‥。

海と山に近い田舎町に住む短大生・佐和。
彼女の恋人・草は勉強にまったく身の入らない2浪生。
ゆるくてぬるい日々。
佐和はこの町と家族の中でひとり、
孤独を噛み締めている。
その日常を突き破るように、
従姉の海里が休暇で帰ってくる知らせが入った。
美しい面立ちと獰猛な性格の“問題児”、
3歳年上の海里。彼女はこの町を嫌って
大学進学とともに東京へ出、東京で就職し、
長い間帰ることはなかった。
彼女の突然の帰郷に胸を波立たせる、
佐和、佐和の家族、そして草。
帰ってきた海里は大人らしくなっていたが、
その麗しい振る舞いと鋭利な言葉で、
よどんだイナカノコたちの気持ちに爪を立てた。
海里が東京に戻った後、佐和は草の変化に気付く。
そして、寒い冬の朝、不安は的中する‥‥。

と、ここまでにしておきます。
筋だけお話しするだけだと、
「あー、ありがちなハナシだよねー」
くらいにしか思われなさそうで。
実際私も「ありがちなハナシではある」と、
あらすじを書きながら、あらためて思いました。
でも、だからこそ、誰にとっても切ないハナシなのです。
その誰にも切ないハナシを、
誰にもできるものではない表現で書いた作品、
それがこの『イナカノコ』です。

「小説を書きませんか?」
4年あまり前、そうお伝えした時、
おおたさんは「正直ヒいた(笑)」そうです。
そりゃそうでしょう、三十路も半ばを超えたオヤジが、
彼女のサイト画面のコピーと『チェリーコーク』と
『うにっき』をもってきて、
あなたは書けますいや書けます書いてください
と迫るわけですから。

ヒキつつも彼女が私に手渡してくださったのは、
小説原稿の束。
ワープロ打ちで感熱紙にプリント、
パンチで穴を開けて黒い綴じ紐で綴じてあります。
当時すでに懐かしいものだったこの原稿は、
彼女の部屋の奥に眠っていた
大学卒業前後の習作的数編でした。
そのうちのひとつが、『イナカノコ』でした。

冒頭の呼びかけの数枚を読んで、
おおたさんの力を確信して読み進めました。
切れ味豊かな表現、いるいると思わず首肯する人物造型、
これらがストーリーとうまく絡み、
読む者を切なくさせます。
佐和や草、海里、佐和の母や兄、その他登場人物全員が、
自分がどこかで落としたピースのような気がしてきて、
全員、自分のようにいとおしかったり
憎らしかったりします。
イナカというのは誰の中にもある、
大人になることへの希望と絶望の象徴。
そう思えました。

おお、それで思い出した。

この本の企画を最初に提出したのは、
現在所属する会社の前の会社でありました。
その会社の営業の方にある日、言われました。
「『イナカノコ』、タイトル変えたほうが
 いいんじゃない?」
聞けば、書店さんに企画会議用に
事前リサーチしてくださったところ、
「イナカ」と言うと本当の「イナカ」の人が嫌がる、
という意見があったとか。
なるほど、そういう見方があったかと思いましたが、
すみません、そのままにしました。

会社を変わったこともあり、
実は4年の月日のうちに繁閑はありました。
仕上がりつつある原稿を見ながら、さあ装丁は、という時、
私の心中には名久井直子さんがありました。
写真ナシ文字ナシでかわいらしく。
だったら絶対、名久井さん‥‥
案を胸に秘めて某月某日、
渋谷の某書店でおおたさんと
「店頭デザイン会議」を開催しました。
あんな感じこんな感じ、うーん、あ、そう、これこれ、
こんなふう‥‥と、おおたさんが手にされたのは、
名久井さん装丁の作品でした。

校正を読んでくださった名久井さんは、
作品内に吹く風を4つの色のラインの重なりで
表現してくださいました。
繊細なカバー・帯から透ける表紙のライン。
実はもうちょっとだけ仕掛けがあります。
『イナカノコ』を書店店頭で手にされた方は、
是非カバー・帯を脱がしてあげてください。
あ、でも非常に繊細なので、
脱がした場合は、できればそのままレジへ‥‥
けっしてご損はさせません。

イナカをすてる者、イナカを選ぶ者、イナカに還る者。
優劣などないその人の選択にまつわる悲喜の細部。
その選択同士の響きあい。
『イナカノコ』をお読みいただきますと、
そういう気持ちを味わっていただけると思います。
日本全国どこで生まれようがどこに住もうが、
みんなイナカノコですから。

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『イナカノコ』
著者:おおたうに
価格:1,680円(税込)
発行:牧野出版
ISBN-13:978-4895001199
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postman@1101.comに送ってください。

2007-03-16-FRI

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