担当編集者は知っている。


『この本が、世界に存在することに』
著者:角田光代
価格:1,470円(税込)
発行:メディアファクトリー
ISBN-13:978-4840112598
【Amazon.co.jpはこちら】

「1回本の世界にひっぱりこまれる
 興奮を感じてしまった人間は、
 一生本を読み続けていると思う。」
「そう、本は人を呼ぶのだ。」
‥‥偶然出会った本にいざなわれ、
不思議な縁や出来事に遭遇する人々の
せつなくてやさしい9つの物語。
本が好きなかたに、
ぜひ読んでいただきたい1冊です!
このご本を担当された
ダ・ヴィンチ編集部の波多野さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者/
ダ・ヴィンチ編集部 波多野公美

作家・角田光代さんが
まさに直木賞をお取りになった前後に
「WEBダ・ヴィンチ」で連載されていた
短編をまとめたのが、
『この本が、世界に存在することに』
という単行本です。

タイトルから、たまに間違われるのですが、
エッセイではありません。
書評でもありません。
本にまつわる素敵な物語の短編集です。

ところで、「ほぼ日」には、
たくさんの素敵なメニューがありますが、そのなかで、
このコーナーを読みにいらっしゃるのは、
きっと、本が大好きな人たちだと思います。
(ですよね?)
職業が何だとしても、年齢がいくつだとしても、
「本が大好き」な人なら、
『この本が、世界に存在することに』
を、とても楽しんでいただけるのではないかと思います。

この本が生まれた最初のきっかけは
作家の北尾トロさんたちが企画された本のイベントに、
角田さんがゲストとして参加され、
朗読をされたことからはじまっています。
イベントで角田さんが朗読された
「本にまつわる」書き下ろし短編3作品を
「ダ・ヴィンチ」の編集長・副編集長・私の
3人で聞きに出かけたところ、
あまりに素晴らしく、感動的だったので、
「ぜひ、『ダ・ヴィンチ』で本にさせてください!」
とお願いしたのです。
(余談ですが、このときの朗読のうち1作品を
 「ダ・ヴィンチ」2004年5月号付録の朗読CDに
 収録しています。バックナンバーがあるあいだは
 「WEBダ・ヴィンチ」で入手可能です。
 角田さんの朗読は、なめらかに耳に入ってくる
 気取らない心地よさがとても素敵なんですよ)

角田さんにご快諾いただき、本にすることを前提に、
「WEBダ・ヴィンチ」で、半年間
同じく「本にまつわる物語」ということで
6回分書き下ろし短編を連載していただきました。
その合計9つの物語と
角田さんご自身の本との関わりを書いていただいた
“まるで上質のエッセイのような長めのあとがき”
が、この本には収録されています。

さきほども書きましたが、
エッセイでもなく、書評でもない、
舞台も登場人物もまったくリンクしていない
「本にまつわる」内容だけが共通している短編集。
こういう贅沢な本好き仕様の本は
実はかなり貴重なのではないかと思います。
読書家としても知られる角田さんが
「本への愛情」を込めて綴られた物語は、
どれも「本が好き」な人は、
たまらなく共感してしまう内容です。

ブックデザインをお願いしたのは、
デザイナーの帆足英里子さんです。
本を手にしたら、まずはカバーをめくってみてください。
そう、カバーで空に飛んでいる本は‥‥。
帆足さんがブックデザインに込めた
「この本が、必要とされている人のところに、
 飛んでいくように」
という、思いを感じてもらえたらと思います。
それぞれの短編のあいだにも、
違う写真がはさみこまれています。
これも、
「この本が、必要とされている人のところへ飛んでいく」
イメージです。
さらに、
すべての短編の文字組みが違います。
ゲラを読んで「すごく良かった!」
とおっしゃった帆足さんが
心を込めて、それぞれのお話に
もっともぴったりとくる文字組みを
考えてくださった結果です。

そんなふうに、さまざまな思いを工夫して
ブックデザインで表現してくださった
帆足さんをはじめとして、
この本は、作っているときから、
多くのスタッフに愛された一冊でした。

それぞれの立場で出版にかかわっている人たちの中にある
「本が大好き」という気持ちに
やさしく寄り添った内容だったからだと思います。

“まるで書店のように本がいっぱい”という部屋で暮らす
営業の女性が、この本に惚れ込んで
「とにかく書店員さんたちに、本好きな人たちに、
 この中の一編でもいいから、まず読んでほしい!」
‥‥と、ちいさな本屋さんで働く女性の物語
「さがしもの」をコピーして、表紙をつけて
かわいい小冊子を手作りしてくれたのは
とりわけ印象的なできごとでした。
書店員さんたちに配ったその小冊子は、
ときどきこっそり
彼女の手で増刷されていました。
心のこもった応援が、とてもうれしかったです。

もちろん私も、この本に惚れ抜いた一人です。
角田さんから原稿をいただくたびに、
毎回のように泣いていました。
悲しいお話だからではなく、
本を愛している作家が綴った、
本を愛している人たちの物語の愛おしさに
思わず涙があふれてきてしまうのです。
角田さんが「本を愛する気持ち」を
すばらしい物語にして届けてくださったことが
毎回毎回、涙が出るほどうれしかったのです。

この本は、私がはじめて手がけた単行本で
先輩編集者に教わりながら、
必死で作った本でもありました。
なんでも「はじめて」は鮮烈だと思いますが
小さいころから本が大好きだったので
最初に作ることができたのがこの本で、
本当にしあわせだったと思っています。

作っているあいだは、ただただ、
できるだけたくさんの本を愛している人たちに、
この本が届きますようにと、
そんな気持ちだけが、ずっと心にありました。

あなたのまわりの本が大好きな人へ
プレゼントしていただくのも
とても素敵だと思います。
でもなにより、
本を愛するあなたがこの本を読んで、
しあわせなひとときを過ごしてくださったら
こんなうれしいことはありません。

できるだけ遠くまで、
本を愛している人がいる場所へこの本が届くことを、
これからもずっとずっと願っています。

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『この本が、世界に存在することに』
著者:角田光代
価格:1,470円(税込)
発行:メディアファクトリー
ISBN-13:978-4840112598
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2007-03-09-FRI

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