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「ほぼ日」でも以前、 「チェブラーシカを連れて。」で ご登場いただいた、 よしくみさんこと吉田久美子さんが、 「かっこいい着物姿」をテーマに ご本と映画の特集を企画をされました。 粋な着物の着こなし方や立ちふるまいのお手本は、 日常に着物があった時代の銀幕のヒロインたちにあり! 本書『着物女のソコヂカラ』は 着物が好きな方はもちろん、 映画に興味がある方にもオススメです。 (「ほぼ日」渡辺) ****************************************** 企画担当者 /チェブカフェ 吉田久美子 ■着物で見ると、映画が変わる ある日のことでした。 着物にハマっていた私は、 「着物を着て、古い日本映画を観に行く」 という憧れのシチュエーションを実現するために、 着物姿で六本木の映画館に向かいました。 映画は、もうすでに何回も観ている、 成瀬巳喜男監督の『流れる』という作品。 今から、50年も前に製作されたものです。 ![]() 『流れる』 監督・成瀬巳喜男 主演・田中絹代、山田五十鈴 東宝 1956年 ところが観終えた後、思わず叫びました。 「Oh! No! 今までこの映画の何を観ていたんだろう?」 着物を自分で着られるようになってから観た『流れる』は 今まで観ていた『流れる』とは まったく違っていたのです。 着物という視点から見た、 映画の中の女たちの、なんと粋なこと! お茶を飲むときの手つき、帯を少し直す仕草、 襟を抜いたうなじの後れ毛をかきあげる後ろ姿、 女優たちの魅力が100倍になっただけでなく、 台詞のひとつひとつが、まったく違って聞こえ、 スクリーンの中の1シーン1シーンすべてから 目が離せなくなったのです。 ![]() 『刺青』 監督・増村保造 主演・若尾文子 角川ヘラルド映画 1966年 ■とある大きな決意 成瀬監督の映画は深い、 いや、この時代の映画は深い、 というか、着物って深い‥‥。 ふらふらと六本木を後にした私は ある決意を固めました。 日本映画の秀作を、着物のお手本として提案しよう、と。 日本の財産である、成瀬巳喜男や増村保造。 それらの監督作品を、 今の女子たちは意外に観ていません。 でもヨーロッパのアート系映画が好きなら、 ぜったいに、こういう映画の良さもわかるはず。 そこで映画の企画をすることにしました! 空前の着物ブームの今だからこそできる、 着物くくりの日本映画特集! タイトルは『日本女子のソコヂカラ』。 渋谷の映画館ユーロスペースの支配人の北條さんは、 口をあけて私の説明を聞いていましたが、 横にいた、おしゃれ女子の岡崎さんは、 「イケそう‥‥」とつぶやいていました。 ![]() ■半泣き状態で、先生の元に 映画の企画が通り、一緒に本も出すことになりました。 ただ、出版は私の専門外。 自費出版で『チェブラーシカ配給日記』を 出したことがあるだけのド素人です。 そこで、ご縁のあったブルース・インターアクションズの 朝枝さんに相談してみました。 とはいえ、そこからすぐに本が出せるほど、 世の中は甘くありません。 出版社を口説き、資料を集め、マーケティングを行い、 若尾文子さんの事務所に通いつめ 取材の可能性を探り‥‥。 冬が過ぎ、春が来て、夏になり、涼しくなってきた頃、 最終的に出された条件は、 「着物スタイリストの石田節子さんと豆千代さんが 協力してくれるならやりましょう」というものでした。 返事がNoなら、これまでの努力がすべて無駄に? 気が遠くなりながら、今まで本でしか見たことがなかった 憧れの先生方のもとに、半泣き状態でうかがいました。 豆千代さんは当時を振りかえり、こうおっしゃいました。 「ただならぬ湯気のようなものが、 吉田さんの全身から出ていて、 気がついたら了解していました(笑)」 ![]() ■今までにない、斬新な本を こうして危機一髪のところで企画が通ったのは、 そろそろコートがいる季節でした。 この本の目標は、着物のお手本となるだけでなく、 着物への想像力をかき立てること。 だから、スタイリングもデザインも、 「わー、こんなの見たことないけど素敵!」 というような、 今までにない、斬新なものにしたいと思っていました。 それを実現してくれるアートディレクターとして Bang! Designの坂哲二さんが、 モデルには、ダメもとでお願いしたKIKIさんが 引き受けて下さることになりました。 また、着物好きの映画ライター細谷美香さんをはじめ 夢のようなスタッフ陣が参加してくれることに。 思わずふんどしをしめ直したのは言うまでもありません。 予算が恐ろしく厳しい上に、ほとんどの方が初顔合わせ。 荒波の中での出航でした。 だから撮影初日、スタジオでKIKIさんがお竜さんの姿で 現れたときは、感動して涙が出てしまいました。 ![]() 本書「きもの今鏡『緋牡丹博徒』」の章より。 仇討ちの旅に出るお竜さん。 その心意気と女っぷりに惚れ込み、 頼まれもしないのに台詞を暗誦する女子スタッフ続出。 styling by Mamechiyo ■着物と、女の生き方の手本です この本を作るために、何度も映画を観て、 ああ、これは着物のお手本だけじゃないな、 と思いました。 着物が日常にあった時代の、銀幕の中の女たち。 そこには女の情、意気、粋、そして美しさがあります。 その心を、お手本にしてほしい。 おしゃれも仕事も恋愛も、 ひと通りがんばった日本女子に、 <女の生き方>の手本を、 半世紀前の日本女子にさぐってほしい。 私たちにも、その血が流れているのだから。 今こそ日本女子が、ソコヂカラを出すときです! もしかしたらこの本は 誰もが「いい」という本ではないかもしれません。 でも、見てくれた人が身震いするような、 そんな本を目指してつくりました。 各ジャンルの第一線で活躍する方々と仕事をして、 ずっと開かなかった扉が開く瞬間の 鳥肌が立つような気持ちを味わいました。 この本には、 関わった人それぞれのソコヂカラも集まっています。 着物と、映画と、現代の作り手たちの ソコヂカラがつまったこの1冊。 とくとご覧あれ! ![]() 本書「きもの今鏡『女系家族』」の章より。 愛人宅に乗り込む女姉妹の 豪華な訪問着のイメージでスタイリング。 作品ごとにがらりと変るKIKIさんに 毎回どよめきが起こりました。 styling by Setsuko Ishida Photography : Kazuhiro Kitahara hair&make up : Noboru Tomizawa / Jun Hayatsu
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2007-02-27-TUE
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