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| 担当編集者は知っている。 |
2005年に「ほぼ日」でも「旭山動物園写真館」で ご紹介した日本最北端の動物園、旭山動物園。 動物がのびのびと能力、習性、行動を発揮し、 その様子を見学できる動物園づくりで注目を集め、 年間入場者数は、2004年〜の3年間で、 145万、206万、266万と今なお増加中です。 このご本は、なぜ、市営の小さな動物園で オリジナリティあふれる計画が可能になったのか、 どんなことを考えて、どうものを作ってきたのか、 旭山動物園の活動を支えている基本計画や ものづくりのしくみ、 舞台裏について詳しく紹介しています。 旭山動物園で働く人たちの思いが ぎゅっとつまったこのご本を 担当されたブルースインターアクションズの 朝枝さんにお話をうかがいました。 (「ほぼ日」渡辺) ****************************************** 担当編集者 /ブルース・インターアクションズ 朝枝加容子 ■本作りのスタート! 私がこの本づくりをはじめたきっかけは、 4年ほど前のテレビ放映でした。 日曜の昼下がりに何気なく見ていたテレビでは、 最北端の動物園で「ほっきょくぐま館」が オープンするまでのドキュメントをしていました。 背広を着た精悍な顔つきのおじさんが、 大きな水槽をのぞきこんでは 駆け回っている姿にドキドキして、 「これはすごい、面白そう」と思ったのです。 翌日ホームページを見てみると、 自分達みずから考えて 動物園をつくっている感じがプンプンしていて、 旭山動物園がどんなところかを良く伝えていました。 テレビでは勘として感じていた面白さも、 思っていた以上に深さがありそうで、 とにかく、テレビで「精悍な顔つきをしていたおじさん」 小菅正夫(こすげ・まさお)園長に 手紙を書いてみることにしたのです。 そして幾度か北への往復を繰返し、 本を作りはじめました。 ![]() ■旭山動物園の動物園づくりの構想を まるごと伝えたい 大雑把な言い方ですが、 新しくつくられてきた旭山動物園は 小菅園長が考えた動物園づくりの構想 「旭山動物園基本計画」を職員みんなが理解し、 それぞれの立場で何をすれば良いかを考え、 実行動につなげている結果が 日々かたちになっている動物園です。 (この基本計画との出会いも衝撃的だったのですが、 それはまたのちほど‥‥) その内のひとりとして、1997年にはじまる 新獣舎の設計・監督をつとめてきたのが 坂東元(ばんどう・げん)副園長です。 「設計段階でいろいろな人が 意見をだしあってつくっていくと、 当たり障りのないものになってしまうことが多い」 と考え、新獣舎についてはすべて獣医でもある 坂東副園長が構造をゼロから考え、 設計や建築のプロの人たちと 相談しながらかたちにしてきました。 ![]() この新獣舎づくりにはひとつひとつきっかけがあって、 経緯があって、結果があります。 それをシンプルに本の中であらわすことができたら、 旭山動物園が何をしていきたいと考えているかが 総合的につかめる本になるはず! そんなふうに私は北方でひとり盛り上がり 1997年〜2005年の 9つの獣舎づくりについてのインタビュー、 その成果と言える獣舎や動物達・観客のうごきの見学を 繰返しました。 ![]() ▲8つの新獣舎全てに描下し構造設計図入り。 寒風の中、延々スケッチをする はまのゆかさんの姿が忘れられません。 ![]() ▲餌を求めて移動していくのは オランウータン本来の生活スタイルです。 そういった背景を知ると、獣舎がどうして こんな仕組みなのかが良くわかります。 ■まんべんなく知って欲しい シンプルに加え、 この本をつくる上で気をつかったところは、 なるべく片寄らずスムーズに 旭山動物園そのままを知ってもらうという点でした。 同じ話をきいても、受け取る人によって 感激したりひらめく内容に差があって、 それがいろいろな可能性を生むのだと思うのですが、 そのポイントの多さがこの動物園の大きな特長だと、 動物園に向かってつづく雪の坂道を踏みしめながら つよく思ったことを覚えています。 そのポイントを読者に拾ってもらうには、 私と同じ立場で、 情報を平たく知ってもらう方法がいちばん有効で楽しい と思ったのです。 ![]() ▲約80点が掲載されている写真は、若木信吾さん。 生き物の放つ本当の温度と 時間を伝える名手だと思います。 ■基本計画書との出会い この本では獣舎づくりの章が終わると、 冒頭の現在の動物園地図とは違った地図が掲載された、 こんなページが始まります。 「これは旭山動物園の地図です。 と言ったら、1回でも訪れたことのある人は (昨日行ったばかりだという人も)、 あれ? と思うはずです。 あるものと一緒に、なかったはずのものが‥‥ 実は、これは過去につくられた 今より先の未来の地図です。」 “未来へつづく基本計画書”と、目次に記したこの章は、 小菅現園長が係長として働いていた 1986年頃につくりはじめ、 1999年に「旭川市旭山動物園基本計画書」として 正式に議会に提出した、 旭山動物園の理想の姿についての基本計画を 全面紹介したページです。 予算の当てなどない寂れた廃園寸前の動物園で、 小菅さんは、今ある新獣舎のすべても、 職員のユニフォームも、園内に植える木も、 同居する遊園地の方向も、 何百年先の野生種保護対策も‥‥ぜんぶ含めた 計画書をまとめていたのです。 (実は今では良く知られている「14枚のスケッチ」も、 この計画書をもとに飼育員たちが イメージをふくらませて作成したものでした。) この計画書への感激が本作りを支えてくれていたと、 今、あらためて思います。 一見地味で、 すぐにピンと来るものではないかもしれませんが‥‥ ものづくりの息の長さにこめられた夢が見える、 優れたビジネス計画書は、 入場者数とはちがった迫力を 旭山動物園に見せてくれます。 ![]() 真冬は、ほっきょくぐまが雪の上を転がる音も聴ける 絶好の季節です。 小さくとも仕組みを知るほど深い旭山動物園へ どうぞでかけてみてください! ●旭山動物園のホームページはこちら ******************************************
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2007-02-13-TUE
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