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| 担当編集者は知っている。 |
奇才・榎本俊二による、 父、母、小学生の息子の3人家族の 明るくシュールな日々を綴るギャグ漫画。 第1巻には1回4ページで完結する ショートストーリーが35回分おさめられています。 算数の宿題で「+(たす)」と「×(かける)」の 形を見て、新しい計算を編み出す息子。 「しりとり」ならぬ「しりとらず」という 遊びを発案し、禅問答する親子‥‥。 日々の生活によくある ごく当たり前のささいな出来事を 理詰めでとことん突き詰めて考えていくと、 本当にへんてこで不思議なことになるんです! たった4ページの中で展開される 作者の思考の跳躍の大きさにびっくりです! このご本を担当された講談社の藤沢さんに お話をうかがいました。 (「ほぼ日」渡辺) ****************************************** 担当編集者 /講談社モーニング編集部 藤沢学 ![]() ![]() 『えの素トリビュート』(小社刊)を読んだ方は すでにご存じかと思いますが、 榎本俊二の作品は読者投票で常に最下位。 デビュー作『GOLDEN LUCKY』に始まり、 『えの素』そして本作『ムーたち』と 栄誉ある孤立‥‥を敢然と保持。 選挙報道における「独自の戦い」というヤツを 毎回くりひろげております。 したがいまして榎本担当という仕事は、 自由を希求する解放運動さながら、 もはや被害妄想に近いものがあります。 「モーニングで一番大好き!」 『ムーたち』1巻の帯の惹句はまさに心の叫びです。 ホントは「まだわからんのか!? 」と 読者にケンカを売る気まんまん‥‥でした。 そういう手もなくはなかったんですが 「客を怒らせるヤツはプロじゃないですよ」と ほかならぬ榎本にキツく戒められ、 愛ある文言に落ち着いた次第です。 北欧人的男女同権論者‥‥である榎本は、 前作『えの素』終了後、育児休暇に入りました。 この間の苦闘ぶりは同じく発売中の 『榎本俊二のカリスマ育児』(秋田書店)に 詳しく記されています。 ギャグ漫画家とて人の子にして人の親。 赤ん坊のウ×コで指を汚しながら、 小学校や保育園でお遊戯に加わりながら、 人並みにあれこれ思い悩み、 人並み以上にワケのわからんコトを妄想。 汗と涙の集大成が『ムーたち』です。 その意味では体験的エッセイ漫画にも等しく、 榎本自身のさまざまな感慨が、 最も表面にあらわれた作品と言えるでしょう。 「ハッピーでなければ漫画は描けない」 それが彼の信条でありまして、 家庭人としての健全な精神と肉体を、 うかがい知るコトができるかと思います。 ![]() 順列組み合わせ、誕生日、パンク、国語辞典、 健忘症、アナグラム、しりとり、験かつぎ、 迷信、痛み、名簿、夢、好き嫌い、阿吽(あうん)、 ゴミ屋敷、旅行、名前、記憶、幽霊、 芋掘り、偉人伝、五感、万歩計 etc. 日常生活に転がるきわめて卑近な題材を、 親子の語らいによって脚色する。 これほど単純でほがらかな漫画も近年珍しく、 少なくとも子を持つ親であれば あるあるある‥‥の宝庫にちがいない。 そう思うのは担当者だけでしょうか。 ネーム、下絵、原稿、校了紙、誌面、ゲラと、 一本につき最低6回は目を通し、 時として不覚にも涙腺がゆるむってな、 ヒーリング感を日々味わっているワケです。 我と我が身をふりかえれば、 怒り、憤り、諍いの連続という一日もある。 あの時、不平不満を胸に収めておけば、 オレはいいひとでいられたのに‥‥。 そんな時『ムーたち』を読めば勇気凛々。 あながちウソではありません。 実はこの漫画、「危機管理」の方策が満載。 法律的実効力は望むべくもありませんが、 かくなる発想と行動こそ「大人」の態度だと、 そっと教えてくれるいいクスリです。 一部に「哲学的」と評する向きもあります。 強いて言うなら「実践哲学的」ってな感じでしょうか。 シュールな妄想にふける瞬間が、 誰にも必ずあろうかと思われます。 一見非生産的な「遊び」の時間こそ、 人間の精神を解放しているのであり、 よりよく生きるハッピーな処方箋として、 お読みいただけたら幸いと言いますか、 たとえばそういう前提で読んでくだされば、 より多くの方にお楽しみいただけるかと。 ![]() 「センセーションを巻き起こしたい」 これまた作者の冗談半分の口癖なのです。 意味不明、つまらん、ページのムダ etc. 毎回悲鳴にも似たおハガキをいただきながら、 その向こう側に熱烈な読者もいる。 おかげで単行本がそこそこ売れる。 デビュー以来すでに20年近く、 まさに独自の戦いを重ねてきた榎本に、 そろそろビッグウェーブを招来したいところです。 ところが仕事より家庭が大事と思いたい主義者は、 口癖に反してバリバリ描かない。 おまけに病弱と来てはアタマが痛い。 セールスはボチボチでいいから、 せめて留守電だけはマメにチェックしてくれ。 担当者としての切なる願いです。 そもそも「笑い」とはなにか。 最大多数の最大幸福的「笑い」などあるのか。 榎本俊二の漫画を語るとき、 決して避けては通れない‥‥根源的問題ですが。 月並みながらあいにく紙幅が尽きました。 下ネタは一切抜いてありますので、 ご家族揃ってお読みいただけます。 これぞ少子化時代のファミリー漫画(の決定版)。 『ムーたち』をどうか座右に一冊。 家庭不和もたちどころに解決するコトでしょう。 ゴッド・ブレス・ユー ******************************************
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2007-02-06-TUE
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