担当編集者は知っている。


『軍師の死にざま』
著者:末國善己
価格:1,890円(税込)
発行:作品社
ISBN:4861821010
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池波正太郎が描く山中鹿之介、
司馬遼太郎が描く真田幸村と後藤又兵衛、
新田次郎が描く山本勘助など、
11人の作家がえがいた
戦国時代の名参謀たちの生きざまを
集めた短篇アンソロジーです。
この11人の作家のラインナップが豪華!
上記以外に、山本周五郎、柴田錬三郎、
松本清張、坂口安吾などの作品がおさめられていて、
各作家の文章を読み比べるのも面白いです。
このコーナーではいままでも何回か
ご本のご紹介をいただいている
担当の作品社の青木さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)


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担当編集者
/作品社 編集部 青木誠也


前略
ご無沙汰しています。いかがお過ごしでしょうか。
めっきり寒くなってきましたが、
お風邪など召されていないでしょうか。
もうあと10日ほどで、12月に入ってしまいます。
早いものですね。

12月といえば、NHK大河ドラマが終わる月です。
『功名が辻』、最後はどうなるんでしょうね。
以前、文芸評論家の末國善己さんが、
このドラマを、夫婦二人のサクセスストーリーとして
終わらせてしまうのか、それとも、土佐の領主として、
農民一揆を苛烈に弾圧する晩年の山内一豊までを描くのか、
とても興味があるとおっしゃっていました。
私も、その点に注目しながら観ようと思っています。

そして年が明けて2007年になれば、新たな大河ドラマ、
井上靖氏原作による、『風林火山』が始まります。
楽しみですね。
テレビドラマ初出演の市川亀次郎さんの武田信玄や、
ストーリー展開上重要な人物となる由布姫役の
柴本幸さんも注目ですが、私としては、なんといっても、
あのGacktさんがいったいどんな上杉謙信を演じるのか、
とても興味をもっています。
そういえば、18年前の大河ドラマ『武田信玄』のときには、
柴田恭兵さんが上杉謙信役でした。覚えていますか?

いや、話がそれてしまいました。
実は、去年の10月、『功名が辻』開始を前に、
一豊の妻である千代と同じように、
戦国時代を強く生き抜いた女性たちを描く
短篇小説を11本集めたアンソロジー『戦国女人十一話』
末國さんの編で出したのですが、
今年も、去年同様、末國さんにセレクションをお願いして、
大河ドラマにあわせて本を作ったのです。
『風林火山』の主役の山本勘助といえば、川中島の戦いで
「啄木鳥の戦法」を考案した軍師として有名です。
ですから、今回の本のテーマは、「軍師」。
それも、その軍師の「死にざま」という点に
フォーカスして、昨年同様、11本の短篇を選びました。
『短篇小説集 軍師の死にざま』というタイトルです。

収録作品の著者は、収録順に、
池波正太郎、安西篤子、山本周五郎、新田次郎、
柴田錬三郎、南條範夫、坂口安吾、山田風太郎、
司馬遼太郎、滝口康彦、松本清張の各氏。
どうですか、すごいでしょう。
この名前を観ただけで、思わず衝動買いをしてしまいそうな
ラインナップではないでしょうか。

主人公になっている武将は、やはり収録順に、
山中鹿之介、太原雪斎、千坂対馬、山本勘助、竹中半兵衛、
松永久秀、黒田如水(官兵衛)、直江兼続、
真田幸村・後藤又兵衛、鍋島直茂、本多正純。
司馬遼太郎さんの「軍師二人」という作品を
収録していますので、11篇で12人の“軍師の死にざま”が
読めるというわけです。

一部、軍師という言葉のイメージから少し離れる武将や、
内容的に“死にざま”というテーマから少し離れる作品も、
ないことはないのですが、まあそこは大目に見てください。
決して、作品の質が低いわけではなく、
テーマからちょっと逸脱していても、
どうしても入れたかった作品たちなのですから。

作戦参謀である軍師は、必然的に、自らの命のみならず、
己の立てる作戦いかんによって、一軍の兵士たちの命も、
自分が仕える主君の命も左右することになります。
そうした軍師たちの死生観、そして実際の死にざまには
凄まじいものがあります。
ですから、名手たちが描き出した、彼らの死にざま、
そして生きざまが、凄味をもって迫ってくるのも
当然のことといえるでしょう。
じつは、収録されている作品のなかには、
彼らの生死を、史実どおりに描いている作品もあれば、
それとは異なる「偽史」を描いている作品もあるのですが、
その違いにかかわらず、いずれの作品も、
読み手であるわれわれをひきつけてやみません。

ひとつひとつの作品の内容に触れ始めると、
きりがないので、ここにはあえて記しません。
実際にお読みになって、味わってください。

そういえば、この「担当編集者は知っている」の
担当である「ほぼ日」の渡辺さんは、
『戦国BASARA2』というゲームをやっていて、
そのなかに竹中半兵衛や真田幸村が出てくるらしく、
おかげで、この本を興味深く読むことができた
と言っていました。そんな楽しみかたもあるんですね。

また話がそれかかってしまいましたが、
本の装丁に使った山本勘助(勘介)の絵は、
明治・大正期に活躍した松本楓湖という人の作品です。
山梨県の恵林寺にある、信玄公宝物館というところに
原画が所蔵されているのですが、実はこの人、
いわゆる「武田二十四将」全員を、
作品としてそれぞれ描いているのです。
信玄公宝物館には、そのすべてが所蔵されています。
巻物を読んで青筋を立てている勘助、迫力あるでしょう。
この夏、私的に長野に遊びに行きまして、
小諸城の紹介のパンフレットで、この絵を見つけたのです。
見た瞬間、装丁はこれしかないと思いました。

さて、その勘助の絵の迫力に劣らないインパクトのある
題字を書いてくださったのは、本間吉郎さんです。
こうしたタイトルロゴのほか、孔版画の作品も、
数多く制作されている方です。
印刷・製本まですべてご自分の手作りで、
ごく小部数の美しい詩集を作られたりもしています。

さて、すっかり長くなってしまいましたが、
『短篇小説集 軍師の死にざま』刊行の旨お知らせしたく、
ご連絡いたしました。ぜひ、ご一読ください。
それから、もし『戦国女人十一話』のほうも、
もしまだ読まれていないようでしたら、この師走に、
炬燵で、日曜の夜に大河ドラマの余韻にひたりながらでも
読んでいただければ幸いです。
それでは、また。
草々

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『軍師の死にざま』
著者:末國善己
価格:1,890円(税込)
発行:作品社
ISBN:4861821010
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2006-11-21-TUE

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