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| 担当編集者は知っている。 |
とても面白い小説です。 私なんかは、これを読むと現実をひしひしと感じます‥‥。 主人公が怒ってるところが妙にリアルです。 子供を持つ母、家族を持つ母、働く母の現実がここに。 そんなに子供は天使じゃないし、 旦那はダーリン(ハート)って感じじゃないし、 余裕なんてない。 小さな日常の積み重ねなのです。 こういう小説を読むとふと、 自分の子供時代の家族を思い出します。 (うちの母親は専業主婦だったから もう少し暇していたと思いますが) 等身大の家族ってこうだよね、と。 そんな小説。 是非ご一読ください。 (ツルミ) ****************************************** 担当編集者 /筑摩書房 喜入冬子 夏石鈴子さんの待望の小説新刊『夏の力道山』が 発売になりました。 「Webちくま」で隔週連載をしていたのが、 昨年9月から今年2月まで。 ちょうど1年かけて、無事、本になったわけです。 夏石鈴子さんにはじめて会ったのは、 たしか98年の夏、銀座線田原町の駅のホームでした。 田原町に住んでいた私は、 ホームを改札に向かって歩いていたら、 知り合いのK書房の編集者がいて、びっくり。 なんでこんなところに? と聞くと、 外骨忌だったという。へー、田原町でそんなイベントが? とは思ったものの、 宮武外骨について語りあえるほどの知識もなく 会話はその先へ続かない。 一瞬の間を恐れるように、 彼が、そうそう、と後ろを振りむいて 紹介してくれたのが、夏石鈴子さんでした。 もっともそのとき夏石さんは「夏石さん」ではなく、 「『新解さん』の鈴木マキコさん」、でした。 『新解さんの読み方』は、 その春に出版されてとても評判になっていました。 その前史としては赤瀬川原平さんのヒット作 『新解さんの謎』があり、 この2冊の関係も面白くて、私も読んだばかりでした。 だから、こんなところでお会いできるなんて、 とすごく嬉しかったのですが、 タイミングはまさに、 次の電車の扉が開かんとするところ。 「M社(そのころ)の喜入です。ご本、読みました、 あわわわ‥‥」みたいな、 情けない挨拶しかできなかった。 いっぽう夏石さんは、すこしも慌てず騒がず、 こんにちは、鈴木マキコです、 としっかりとこちらを見てご挨拶いただいたこと、 よく覚えています。 そのままスッと電車に乗って、 K氏ともども渋谷方面に消えてしまいました。 その「鈴木マキコ」さんが、数ヶ月後、 『バイブを買いに』の夏石鈴子さんとして衝撃デビュー。 タイトルも装幀も刺激的なその本を読んでみて、 きわめて真っ当だからこそ周りと衝突し、 でも決してごまかさずに生きていく 主人公の潔さに感動し、 仕事をさせてくださいとお願いをしに、 夏石さんに会いに行きました。 本を読んだときは、夏石さんが、 あの「鈴木マキコ」さんであるとは知りませんでしたが、 会いに行ったときには知っていました。 一度会ったことがあるぞ、だからきっと大丈夫だ、 という私の思いは、 指定された喫茶店で向かい合ったときに もろくも崩れ去りました。 どんなに感動したかを縷々述べたのに、 子どもが生まれたばかりで忙しいから小説は書けません、 とひと言。 話をするうちに接点を探りたいと思っているのに、 だから今もあまり時間がない、という。 これはマズイ、もうダメかも、と思ったときに、 「夏石鈴子のエッセイは読みたくない?」 追いつめられていた私は、もう反射的に、 もちろんです、よろしくお願いします、 と答えていました。 それから8年。エッセイ(「きっと、大丈夫」)も 小説(『家内安全』『愛情日誌』)も 本にすることができ、長い前置きになりましたが、 今回もまた、「真っ当で潔い」主人公が活躍する 小説の本を作ることが出来ました。 じつはこの小説は、夏石さんの前作『愛情日誌』の、 いわば続編です。メインの登場人物が同じです (もちろん、前作を読んでいなくても、 なにも問題はありません)。 収入のない映画監督の夫と、 まだ保育園児の子ども二人をかかえる、 働く主婦の豊ちゃんが主人公。 朝起きて夫と口げんかをし、 夜ちょっと「その気」になって寝るまでの1日が、 手触りが感じられるまで丁寧に、 実感をもって描かれています。 働くって、生活するって、こういうことなんだ、 愛って、こういうところから育てていくものなんだ、 ということが、面白くかつ切なく感じられます。 ぜひ読んでください。 手前味噌ではございますが、 霜田あゆ美さんのイラストも、 野澤享子さんのデザインも、すごくいい! 自信作です。 1,365円はお買い得だと(勝手に)思います。 ******************************************
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2006-10-10-TUE
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