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| 担当編集者は知っている。 |
「火曜日はなぞなぞの日 金曜日はなぞなぞの答えの日」 や「絵はがき交換プロジェクト」で 「ほぼ日」でおなじみのフジモトマサルさん。 そのフジモトさんの生み出したペンギンのスコットくんが 大人のための絵本「てのひら絵本」として 文庫化されました。 『スコットくん』は本好きの書店員さんの間でも 大人気で、書店の枠を越えた ファンクラブ活動も広がっているそうです。 担当の中央公論新社の香西さんに お話をうかがいました。 (「ほぼ日」渡辺) **************************************** 担当編集者 /中央公論新社 香西章子 「ほぼ日」読者のみなさんはよくご存知かとおもいますが、 フジモトマサルさんはいろいろな顔を持った作家さんです。 漫画家であり、イラストレーターであり、回文作家であり、 なぞなぞ研究家でもあり、 まだまだ秘密の顔が他にもありそうな多才な方です。 中公文庫では昨年の5月に、はじめて フジモトマサルさんの絵本『長めのいい部屋』を 文庫化させていただきました。 この本は、シロクマやヒツジ、ライオンやネコなどの 動物たちが、ヒトと同じように話し、働き、 マンションに住んだり、タクシーに乗ったりしている 不思議な世界のお話です。 フジモト作品がすごいのは、 ヒトと動物が一緒に暮らす空間が、 いかにも普通に見えてくるところ。 ペンギン一家と友達になりたくて、 植え込みの陰からこっそり見つめているシロクマ夫婦や、 「とうふは蒸すのがいちばんおいしいよ」と話す シャム猫なんて、ちょっと他ではありえないでしょう。 でも、もの思う動物たちが暮らすのんびりした空間が、 あたかも自然に思えてくる、不思議なゆるゆる感が フジモトさんの世界にはいつも漂っています。 『長めのいい部屋』は読者の方々からとても人気があって、 次の作品を求める声も強く、 今年の4月にフジモトさんの中公文庫第2弾として 登場したのが、『スコットくん』です。 ![]() 本書は南極に住むペンギンのお話です。 主人公のスコットくんは、 読書とインターネットを趣味とするクールなペンギン。 ひそかに「明日のペンギン界を背負って立つ逸材」だと 自負しているので、 のんきに行列して水浴びする群れからはなれて 地球環境を考えたり、 小説を書こうとはりきってみたりするのですが、 結構あっさり頓挫します(笑) でっかいことを考えるわりに、 かっこつかないこともチラホラ。 世間話は気にしなくても自分の噂は気になったり、 ゴミの分別をしていないことを指摘されて こっそり反省したり、 本当は孤高の存在になりたいのに 「意外とかわいいとこあるね」と うっかり愛されキャラになっちゃいそうな、 自意識過剰、思いこみ先行型の 人間くさいペンギンなのです。 ガールフレンドのマゼランちゃんや、 頭のキレるライバル(?)しらせくんなど、 個性的なキャラクターも続々登場し、 こんなに楽しいスローな南極なら 思わず本気で住んでみたくなります。 ![]() ![]() 動物が主人公のマンガと聞くと、 一瞬、子供向け?と思いがちですが、 フジモトさんの絵本は子供だけに読ませておくのは もったいない、大人のためのくつろぎ絵本です。 「こういう人、いるいる!」と 思わず言いたくなるキャラクター満載で、 大人の心に残っているわくわくする 子供みたいな気持ちに火をつけて、 ほんのちょっと意地悪な味付けもしながら、 ゆったりとしたユーモアで包み込んでいます。 フジモトさんご自身は口数がそれほど多くない方ですが、 考えて話す言葉のひとつひとつが的を射て、 鋭く面白いのです。 そのフジモトさんが吟味したセリフと、 細かな仕草や目つきで表現された ニュアンスたっぷりの動物イラストは、 絶妙なコンビネーション。 おなかの底からクスリ、クスリと笑いがこぼれ、 ときどきニヤリとさせられます。 他に類をみないフジモトワールドを まだ体験していない方も、 ぜひ書店で手にとってみてください。 いま、『スコットくん』のユニークさは、 本のなかから書店のスペースへと広がりつつあります。 実は『スコットくん』に魅せられた書店員さんたちが、 お店の枠を越えて『スコットくん』の面白さを伝えるため、 キャンペーンを始めているのです! 『スコットくん』発売直後、編集部では販売促進のために 「スコットくん型ぬきしおり」を製作して書店に配ったり、 フジモトさんと一緒に都内の書店まわりをしました。 そのとき、書店員さんの間にも フジモトさんの作品のファンが たくさんいることがわかりました。 フジモトさんは本の宣伝にもよく協力してくださいます。 PRグッズを作るためにイラストを書き下ろしたり、 原稿データを用意してくださるので、 毎回とても気持ちのこもった 手作りPRグッズが完成します。 こうしたグッズが書店で本の売り場作りにも役立てられ、 フジモトさんの本を気に入って読み、 もっと買ってくれるはずだ と確信を持っている書店員さんたちから 喜ばれていました。 そして6月中旬、 フジモトさんファンの書店員さん同士が連絡をとりあって、 終業後に自主的に集まってくださったのです。 そしてその場で、書店の枠を超えて 『スコットくん』の販売促進活動を展開することを決め、 「チーム・スコット」を結成しました。 この会議にはフジモトさんと私も参加したのですが、 「もっと店頭で『スコットくん』を目立たせたい。 そのために、こういうものがほしい!」 というリクエストを直接聞かせていただいて、 すごく有意義な情報交換の機会になりました。 また、チームの応募条件も以下のように決まりました。 1.書店員であること。 2.「スコットくん」およびフジモトマサルさんの ファンであること。 3.「スコットくん」を自分の店で一番目立つ場所に 平積みし、それぞれ知恵をしぼってPRに努めること。 会議が開かれたとき、 発売日からひと月半近く経っていたので、 普通の文庫本なら棚に入っていたり、 売れ行きが悪ければ返品されていてもおかしくないのです。 それを承知で「この本を売るぞ!」という決意をこめて 3つめの難しい条件をおりこんだ書店員さんたちの熱意に、 私はとても驚き、本当に感激しました。 販促活動は通常、版元の営業部や取次が主体になって すすめていくことが多く、 書店員さんが自主的に集まって 一人の作家さんを囲んで販売活動の案を 語り合うことなど前代未聞です。 もちろん私は担当編集者なので、 『スコットくん』はとても面白いし、 もっと読まれて欲しいと思っているのですが、 同じくらい強く、もしかしたら私よりももっと深く そう思って、 「より目立つところに本を並べたら絶対に売れる」 と確信して行動を始めている書店員さんたちの姿に とても胸が熱くなりました。 その日の貴重な意見をもとに、編集部では フジモトさんにイラストを描きおろしていただいた 缶バッジを作り、会員証として書店員さんに配ったり、 読者の方に店頭で謹呈するブックカバーを 書店にお届けしています。 また、7月1日に小社HP内でサイトを立ち上げ、 チーム・スコットに参加してくださる 日本全国の書店員さんにむけて募集告知を始めました。 活動の内容や申し込みについては、 以下のURLからご覧になれます。 http://www.chuko.co.jp/bunko/scott/ うれしいことに、フジモトさんや小社のHP、 新聞・雑誌・WEBの記事を見て、 興味を持って下さった書店員さんから 参加申し込みが日々届いています。 もちろん今も、新しい仲間になってくださる書店員さんの お申し込みを心からお待ちしています。 ![]() ▲「チーム・スコット」の缶バッジ フジモトマサルさんという多彩な才能をもった 作家さんのもとでユニークな作品が誕生し、 その面白さにはまった書店員さんのおかげで 書店がさらに面白い場所になり、 読者がどんどんひろがって行く手応えを感じるのは、 担当編集者としても本当に貴重な体験です。 これからもHPを通じて、 書店を楽しく盛り上げようとする書店員さんがいる お店の情報を伝えていこうと思っているので、 よろしければ読者のみなさんもご覧になって、 『スコットくん』と、本屋さんという空間との 双方を楽しんでもらえたら、願っています。 ****************************************
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2006-08-29-TUE
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