担当編集者は知っている。



『霊魂だけが知っている』
著者:メアリー・ローチ
訳者:殿村直子
価格:2,100円(税込)
発行:日本放送出版協会
ISBN:414081117X
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「ニューヨーク・タイムズ・ベスト100冊」
に選ばれたこのご本は、
「死んだらどうなるか? 魂は存在するのか?」を
科学的に徹底探求したノンフィクション。
霊魂を信じる人は根拠がなくても信じるし、
信じていない人は最初から相手にしないという
あいまいなこのテーマについて、
著者のサイエンス・ライター、メアリー・ローチは、
輪廻転生や臨死体験を研究する学者に突撃取材したり、
霊媒学校に体験入学したり‥‥と体当たりで挑みます。
このご本を担当された
日本放送出版協会の
松島さんにお話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/日本放送出版協会 図書編集部 松島倫明

今年もお盆がやってきました。
都会育ちで田舎のない僕には、
宗派、習俗、地域で違えど、
家族で墓参りをしてお供えものをして盆踊り、
というこの古くからの日本の行事を
昔からとても羨ましく思っていたものです。

例えばキュウリやナスに割り箸を刺して
馬や牛にたとえて飾る風習なんて素敵ですよね。
初めて見たときには「何? これ」と思いましたが、
あれは先祖の霊の乗り物だと知って感心しきり。

もともとはサンスクリット語の
「ウランバナ」から盂蘭盆となって、
一般に「お盆」と
言われることになった日本のお盆。
一説では同じくサンスクリット起源のイラン語で
「霊魂」を意味するウルヴァンが語源との説も。
いずれにせよ、日本人は古くから
こうしたスピリチュアルな世界を
身近に感じながら暮らしていたのですね。

本書のテーマはひとことで言えば、
この「スピリチュアルな世界」を
「科学的」に探求しようというもの。
先祖の霊を家にお迎えするお盆をはじめ、
霊魂の存在をごく当たり前に捉えるいっぽうで、
近代合理主義の申し子としては
科学的にそれが証明できるとは思っていない、
そんな現代日本人の「スピリチュアル」観に
まさに一石を投じる一冊なのです。

著者の言葉を借りれば、

魂が存在し、死後もそれが続くと心から信じたいが、
信仰によってそれを受け入れるのには抵抗がある、
という人のためのもの‥‥
(本書より)


僕自身は、幽霊を見たこともなく、
『オーラの泉』を観たこともない霊音痴。
でも、宗教や信仰に頼らずに、
実証的に霊魂を証明できたら、それはすごいことなのでは。
おまけに著者のメアリー・ローチが、
前作『死体はみんな生きている』において繰り広げた
抱腹絶倒・縦横無尽の大活躍を見れば、
おのずと本書への期待は高まるというものです。

みなさんは、死体の驚くべき活躍の数々を
ご存じでしょうか?

美容整形手術の研修の実験台になる。
車の衝突実験の実験台になる。
犯罪捜査のための死体の腐敗の研究材料になる。
聖骸布研究のために磔の実験台になる。
「環境にやさしい」コンポストになる‥‥
(『死体はみんな生きている』より)


前著には、死体だからこそ成し遂げられる
すばらしい業績の数々が生き生きと描かれています。

「死体」というタブーに偏見なく切り込み、
その類い希な行動力とユーモアを
「マイケル・ムーアのようだ」とも評された彼女が、
「死後の体」の次に取り組んだのが、「死後の魂」。
ニューヨークタイムズで活躍する
サイエンス・ジャーナリストのメアリー・ローチが
「霊魂」を扱う。もう、それだけで事件なのです。

『霊魂だけが知っている』においても
著者はやりたい放題、八面六臂の大活躍をしています。

生まれ変わりの子どもを調査しにインドの田舎へ。
霊媒実験を見学しにアリゾナ大学の研究室へ。
それでも分からなかったので自ら霊媒学校へ体験入学。
死者の声を録音しにカリフォルニアのドナー湖へ。
電磁場による幽霊体験を確かめにカナダへ。
超低周波による幽霊体験をしにイギリスへ。
心臓手術の際の臨死体験を確かめにカリフォルニアへ‥‥

扱う話題が科学的プロジェクトだからといって、
本書はただの暴露本ではありません。
信じる人は最初から疑わず、
信じない人はそもそも受けつけない、
でも、誰もがお盆にはお墓参りをしてしまう、
そんな「スピリチュアルな世界」において、
著者はできるだけ、仮説も計画目標も立てずに
「霊魂が存在する」あるいは「しない」証拠を
見つけようと世界中を駆け回っています。

合間には、魂の在処やその重さ、色を確かめようと
古今東西繰り広げられた珍妙な実験の数々や、
(果たして精子の中に魂はいるのか?)
今となってはもう呆れて笑うしかない、
歴史的な交霊会のドタバタ劇といった、
(胃や膣の中に隠されたエクトプラズム!)
蔵出しエピソードも随所で紹介され飽きさせません。

で、肝心の「証拠」は見つかったのでしょうか?
つまり、霊魂は存在するのか、しないのか‥‥。
それは本書を読んでいただくとして、
本当のところは、
「霊魂だけが知っている」のかもしれません。
間違っても、担当編集者は知らないことなのです‥‥。

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『霊魂だけが知っている』
著者:メアリー・ローチ
訳者:殿村直子
価格:2,100円(税込)
発行:日本放送出版協会
ISBN:414081117X
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2006-08-15-TUE

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