担当編集者は知っている。



『異化力!
 〜「英語でしゃべらナイト」の
 発想術』
著者:丸山俊一/水高満
イラスト:スソアキコ
装丁:木庭貴信(OCTAVE)
価格:1,575円(税込)
発行:日本放送出版協会(NHK出版)
ISBN:4140811137
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「異」質なものを取り入れて
思いもよらないような
新しいものを生み出す
‥‥そんな、企画・制作の発想法を
テレビ番組の作り方を具体例に、
ていねいに伝授してくれるご本です。
モノを作ることや、
異文化に興味のある方は必見です!
このご本を担当されたNHK出版の
高井さんにお話をうかがいました。
本に掲載されているスソアキコさんのイラストと
いっしょにご紹介します。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/日本放送出版協会(NHK出版)
 図書編集部 高井健太郎

NHK総合テレビの
毎週金曜日(この3月までは月曜日)の夜11時から
放送されている『英語でしゃべらナイト』。
「国際化時代の異文化コミュニケーション」を
コンセプトに、レギュラーの釈由美子さん、
パックン、松本和也アナと
毎回のゲストが織りなす軽妙なトークや
インタビューコーナー、
パックン英検などなど、
ご存知のかたも多いかと思いますが、
放送4年目に入った、
この番組のプロデューサーである
丸山俊一さんとデスクの水高満さんに
書き下ろしていただいたのが本書であります。



そもそも、基本的な英語力もなければ
英語学習意欲も低い私が
『英語でしゃべらナイト』という番組に
なぜ惹かれたかと言えば、
釈さんの美しさや、ゲストのチョイスの
意外性などももちろんありますが、
番組を通して見たあとに残る開放感と言いますか、
多幸感といいますか、
何かこう番組を見る前より、
自分のものの考え方が少し広がって
豊かになった気がするところです。
それを端的に感じさせてくれるのは、
例えばレギュラー陣やゲストの表情や
喋りの全開ぶりです。
みながみなこの番組に出ていることを
心底楽しんでいて、
ほかのどんな番組でも見せたことのない
生き生きとした表情や喋りを見せてくれている。
そしてその出演者の生きのよさを
作り込み過ぎることによって損なうことなく、
かつ番組のコンセプトや統一感を
あくまで失うことのない絶妙な番組の作り‥‥
もうこれは、演出がうまいとか、編集がうまいとか、
音楽やナレーションの付けかたがうまいとか、
そういう瑣末なレベルのことではないなと。
番組の根本を支える発想とかものの考えかた、
おおげさに言えば「思想」が違うのではないかと
気になっていました。
そして、それは私だけの錯覚や思い込みではなく、
私の周りにいる
『英語でしゃべらナイト』ファンから
同じような意見を結構聞くことができました。
そして、あるきっかけで、
『英語でしゃべらナイト』という番組を開発し、
現在は番組のチーフ・プロデューサーである
丸山俊一さんとお話をする機会を
持つことができました。



丸山さんは想像していたとおり、
押し出しの強いテレビマンというよりは、
物腰の柔らかい学者という雰囲気。
しかし、どんな場においても
柔軟に自分の発想やスタイルを
反映させられるという芯の強さを
感じさせてくれるかたでした。
そんな丸山さんとお喋りをしているうちに、
丸山さんが近頃、
大学の公開講座や講演など、
番組作りについての話をする機会が多く、
その場で聴いている人たちの、
反応がよいということを聞きました。
海外のテレビ番組制作者から、中高年シニア、
現役学生に至る幅広い層のそれぞれに、
丸山さんの話しが響いている。
それは単なるテレビ番組制作論という枠にとどまらない、
何かものを作って世に出そうということ、
一般に通じる何かがあるのではないか、
それを煮詰めることによって、
一冊の本になるのではないか、
今までドラマやドキュメンタリー系の、
番組制作者の声に比して、
教養バラエティ系の制作者の声は、
世に発せられてこなかったのではないか‥‥
そんなこんなで、丸山さんに、
『英語でしゃべらナイト』という番組を素材に、
もの作りの根本を支える考えかたや、
発想法について書いてもらうことになりました。
さらには、番組作りは決して
プロデューサー一人でやれるものではない、
ということで番組制作の現場を取り仕切る、
デスクの水高 満さんにも加わっていただき、
最終的には二人の共著という形で
書いてもらうことになったのです。



本の構成については、
企画〜構成・ロケ〜編集〜ナレーションという
番組作りの各段階で、
思わぬものを生み出すためのものの考えかたや
発想法について、
現役学生や若手社会人に語りかけるように
次のような全5講立てとしました。

第1講 企画は、すべて自分の中に眠っている〜企画
第2講 壊すために作る〜構成、ロケ
第3講 あえて「無節操主義」のすすめ〜編集
第4講 差異を笑え!ことばの往復運動〜ナレーション
第5講 イカに異化するか〜テレビから遠く離れて
 
さらにそこに、ともに番組の出演経験者であり、
ひと方は、番組に共鳴して新コーナー
「史上最強!? 英語学習法」プロジェクトにも
参画している脳科学者の茂木健一郎さん、
もうひと方は、丸山さんとは番組を通しての
10年来の付き合いで、
『英語でしゃべらナイト』の番組作りにも
少なからぬ影響を与えている
アート・プロデューサーの伊東順二さん、
それぞれお二人と丸山さんとの
対談を入れ込むことにしました。

本の装丁は、
番組の持つポップな雰囲気やバラエティ感を、
雑誌的な本作りで出せたらということで、
雑誌『QJ(クイック・ジャパン)』のデザインや
しりあがり寿さんの本の装丁で
以前から気になっていた木庭貴信さんに、
そして、その木庭さんの推薦で、
全面イラストをスソアキコさんに、
お願いすることになりました。
木庭さんは『QJ』の特集ページや、
最近では『時効警察』の本なので
テレビものはお手のもの。
スソさんも『英語でしゃべらナイト』は
よく見ているということで、
ノリにノって描いていただきました。
木庭さんの
「二人のキャラクターを立てるというのはどうですか」
という提案には、
スソさんも最初は
「自分の描く人間のキャラクターは、
 たまにコワイって言われることもあるんですよね」
と言われてましたが、それはそれ、
この本のために「異化力」を発揮して
二人のナイスなキャラクターを立てもらい、
その二人が、
本の所々で「異化力」あふれる
様々な動きを見せてくれています。



ちなみに、このお坊ちゃんは丸山さんでありません。
私は「イカ夫」と呼んでいます。



このかた(人間か?)も水高さんではありません。
私は「イカ助」と読んでいます。

そして、カバー全面を飾るイラストパノラマ! 
このイラスト群を見せていただいた時、
スソさんの「愛」を感じ、
木庭さんとともにうなりました。


▲クリックすると大きなカバーを見ることができます。

というわけで、出来上がった本書でありますが、
そもそも本のタイトルとなっている
「異化力」とは何なのか。
詳しくは本書を是非読んでいただきたいのですが、
一言で言えば
「出会うはずのない異質なもの同士をぶつけ合わせ、
 思いもよらぬものを生み出す力」
であります。
本書の中では、その「異化力」を、
番組プロデューサーである、
丸山さんがどのように身につけ
番組作りの根本原理としてきたか、
その丸山さんの「異化力」を番組デスクである
水高さんがどう受け止め、
さらにそれに自分の「異化力」を加えて
どう実践しているのか、
そしてそれが最終的に
『英語でしゃべらナイト』という番組に、
どう結実しているのかが、
お互いの立場からそれぞれの記述スタイルで
具体的かつダイナミックに書かれていて
番組ファンならずとも読み応え充分です。



ところで、自分で編集をして言うのも何なのですが、
この本はいったいどのジャンルに入るのでしょうか。
現代テレビ論? 一般ビジネス書? 
発売されたばかりのこの本が、
書店のどのコーナーに置かれているかを見ても、
あるところではサブカルチャーコーナー、
あるところでは語学書コーナー、
あるところではビジネス書コーナー
という具合でバラバラです。
しかし、そもそもが『英語でしゃべらナイト』自体が、
丸山さんが本書の中でさかんに言われているように
「ジャンルを拒む」番組なのです。
そういったジャンルを超えた番組の本にふさわしく、
ビジネスマン、留学希望者、
マスコミ就職志望者など様々な人が
様々に読むことができる
「開かれた」本になっていればと思っています。
ちなみに、本書の見本を丸山さんらに届けにいった時、
丸山さんはこう言われました。
「むかし読んだ、糸井重里さんと
 栗本慎一郎さんの『俺たちはノイズだ』
 みたいな本ですね」



と。
なんだか世代を限定する言われかたですが、
とてもうれしく思いました。
丸山さんと水高さんのコンビは、
先頃(7月8日)に完全版が放送された
『爆笑問題VS東大 東大の教養』など、
『英語でしゃべらナイト』以外でも、
さらに「異化力」を発揮した番組作りを進めています。
私もそれにならって、
本書をあらためて読み直し、
編集という仕事の現場で「異化力」を
イカに発揮するかを考え直している最中であります。
みなさまにも一読をおすすめします。

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『異化力!
 〜「英語でしゃべらナイト」の
 発想術』
著者:丸山俊一/水高満
イラスト:スソアキコ
装丁:木庭貴信(OCTAVE)
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発行:日本放送出版協会(NHK出版)
ISBN:4140811137
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2006-08-01-TUE

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