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| 担当編集者は知っている。 |
まず、大竹昭子さんのファンとしては、 表紙のネズミの写真を見てびっくり。 大竹さんが、ペットを!? それもネズミ!!! そして、そのエッセイを??? と「!」だらけ。 「?」と思いつつページをめくると ドンドン引き込まれていくのは、 やはり確かな筆力のなせる業です。 精緻な筆さばきで、 乾いた男性的な文章が多かった大竹さんらしく、 「きみ」に対する愛が溢れていても、 変にベタベタと甘くない素敵なエッセイに仕上がってます。 ネズミってこんなに個性的なの?とびっくり。 あんまり、おしっこをしないから臭くないなんて、 なんていいんだろう‥‥。 部屋で飼うならスナネズミかな? なんて。 本の紹介は、文藝春秋の藤田さんです。 (ツルミ) ******************************** 担当編集者 /文藝春秋第二出版局 藤田淑子 大竹昭子さんから 「今、スナネズミを飼っているんだけど」 とお聞きしたのは、かれこれ七年くらい前。 食事をしながらの雑談だったのですが、 そのネズミ話があまりに面白くて涙が出るほどでした。 当時は『とっとこハム太郎』のおかげで ハムスターブームではあったのですが、 スナネズミなんて聞いたこともありません。 なんと生まれはモンゴルの大草原。 草原の砂地をせっせと掘り続け、 精緻な地下都市をつくりあげてしまうネズミだそうです。 ほとんど水分を採らないので、 おしっこも臭くなく飼いやすい、顔もリスに似て愛らしく、 しぐさがニンゲンのようである等々、 ネズミ自慢を聞かされましたが、 なんといってもおかしかったのは、 ネズミを連れて旅行に行った話と、 つがいで飼ったらネズミ算式に増えるため、 男子寮の「独身寮」と女子寮の「マリア荘」に 分けて飼っているという話でした。 衝撃的だったのは、男子寮に隔離された 父と息子が禁断の愛にめざめてしまったというエピソード。 「ネズミって男同士で擬似性行為をするとき、 目をつぶるのよねー。うっとりした顔で抱き合うの」 という大竹さんのコメントに大笑いしたものです。 なんと七年後、そのスナネズミたちとの生活を描いた本 『きみのいる生活』をつくることになるとは!! くだんの「禁断愛」写真を掲載したカラーページまで 編集することになるとは!! 大竹昭子さんといえば、『眼の狩人』や『図鑑少年』 『須賀敦子のミラノ』など、 理知的な文章と硬質で静かな写真、 確かな批評眼で知られる、 一つの肩書きに収まらない文筆家です。 クールで都会的な、という形容詞が似合う方です。 それがスナネズミとは‥‥? と大竹ファンは思うでしょうが、 そこは凡庸なペット礼賛本とは全く違います。 都会に住む大人の生活に、ある日突然、 一匹のスナネズミがやってくる。 犬や猫と違うのは、 それが「野生」を秘めた動物であること。 相手が人間との共生に慣れていないとすれば、 人間のほうでも「ペット」として扱うことに慣れていない。 そういった対象を日々観察し、 「ただのネズミ」が「きみ」と呼べる存在になるまで‥‥。 そこには想像を超えたドラマがあります。 ネズミを飼うことで写しだされる「ニンゲン」の姿も あますところなく描かれます。 スナネズミを通して知る「都市と自然」という 壮大なテーマを秘めつつ、 次々に代替わりする個性ゆたかなネズミたちに魅了される、 なんとも不思議な一冊に仕上がりました。 大竹さんが現在飼っていらっしゃるミミちゃんに 初めて会い、 スナネズミの可愛さに目覚めた担当編集者としては、 ぜひハムスターに続くスナネズミブームを 起こしたいものと、妄想しております。 ※「禁断愛」の写真をほぼ実物大でご覧になりたい方は、 ぜひ7月20日〜8月20日、クレヨンハウス東京店 (03-3406-6465)で開催される 「スナネズミ写真展」にお運びくださいませ。 ********************************
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2006-07-18-TUE
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