担当編集者は知っている。



『見ないでっ!』
著者:VOCE編集部
イラスト:五月女ケイ子
価格:1,470円(税込)
発行:講談社
ISBN:4063537048
【Amazon.co.jpはこちら】

女性誌『VOCE(ヴォーチェ)』の大人気連載
「1000人net調査」が単行本になりました。
72,000件の恥ずかしい投稿から生まれた
強烈なご本です。
笑える! ‥‥だけど「自分もやってるかも!」と、
ドキッとしてしまう赤裸々な告白が満載。
リアルなのにシュールで独創的なイラストは、
テレビや雑誌で活躍するイラストレーター
五月女ケイ子(そおとめけいこ)さん。
このご本を担当された講談社の山口さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/講談社 VOCE編集部 山口志門

『見ないでっ!』は
ビューティ誌『VOCE(ヴォーチェ)』の
人気連載から厳選、再構成したものです。
スタートは2000年3月号、
タイトルは「1000人net調査」。
『VOCE』の創刊が1998年5月号だから、
本誌でも何番目かの長寿連載になりました(続行中)。

当初はデータ重視の“白書”っぽいものをイメージ。
連載らしい決め事もあまりなくて、
「必ず1,000人からコメントをとる!」ことくらい。
現在に比べるとずっとおとなしく、生真面目なつくりで、
やっぱり女性誌なんで、美容やファッションをやる、
星座や有名人ランキングをやる──とまあ、普通でした。
読者の評判も悪くなかったのですが、
なんかこう、燃えるものがなかったんですねえ──。


▲ごく少数の書店には巨大なポップがありますよ。

転機は連載5回目、2000年7月号。
テーマ「女の悩み」の中に、こんな投稿がありました。
「私は嫌なことがあると、
 畳のへりのゴミをほじったり、
 すみっこでうずくまったりします。」
なぜか、やられたんです。びびーんと。
この投稿者はなかなか面白い言い回しをする人で、
ライターとして雇おうかと思ったほど。ここにきて、
「こういう妙な雰囲気のを集めれば楽しいじゃん!」
と盛り上がってきたわけです。

これ以降、ひたすら「面白いこと」を目指します。
打ち合わせのポイントもひとつに絞られていて、
いかにして、アンケート回答者にくだらないエピソードや
レアな体験を思い出させるか?
そればかり考えるようになりました。


▲『VOCE』2006年8月号「変愛白書」は
 ちょっと自信作です。


手法として有効だったのは、初めに選択肢を作ること。
2006年8月号「変愛白書」では「珍しい出会い」を
聞いていますが、こんな回答が並んでいます。
◎電車の車掌と 11人
◎友達の父と 4人
◎葬式で知り合った坊主と 2人
◎マンションの工事の人と 2人
◎ビルの窓掃除の人と 2人

恐るべし。出会いはどこにでもあるのね(ハート)、
なんて済ませてしまえばそれまでだが、
これらは皆、編集部で選択肢を作っているのです。
貴重な体験を思い出してもらうために!

さらに続けると、こうなる。
◎NHKの集金の人と 1人
◎銀行入口の誘導係のおじさんと 1人
◎校長先生と 1人

「1人」が出ると嬉しいのである。
某TV番組でゲストが当てるやつと同じように。
レアケースを予測して、回答者の記憶に問いかける。
「こんなのありませんかぁ?」(普通はないよなぁ)
→「おおっ、1人いた!」──これに燃えるのである。
女性が1,000人も集まると、本当に色々あるのだなぁ、と、
毎号毎号改めて感心しております。

もうひとつ同じ号から
「経験したことのある変なデート」編。
◎いつも食べ放題 35人
◎病院デート 32人
◎デート中は目を合わせない 7人
◎ずっと暗闇ですごす 5人
◎待ち合わせはいつも謎解きで 5人

わけわかりませんねえ。
でも、こっちで考えている以上に
該当者がいるからやめられないんですよねえ。

さらに、「彼に本気でもらった変なプレゼント」。
◎ワキの臭い消し 5人
◎カブトムシ 3人
◎つけ乳首 2人
◎鼻付きめがね 2人
◎牛 1人

牛は欲しがったからくれたのか?
どこから買ったのか?
ワキは臭かったのか、そりゃあそうだろうねえ。
不憫だねえ。
なんて言いながら、
ライターと回答を読むのは至福のとき。
「いるじゃん、やっぱり」
(←“牛”の選択肢を作った人間)
「いたねえ、つけ乳首も」というわけで、
大変楽しいのである。
ちなみに「変愛白書」は、
「見ないでっ!」には入っていません。
良い出来なので、これは、
ただいま発売中の『VOCE』本誌のほうでぜひぜひ。


▲「うっかり」には八兵衛です。評判の良かった絵。

さて、1冊にまとめるにあたって苦労したのは、
77回以上もやってきたものから、どれを選ぶか、でした。
いずれ劣らぬ大切な娘たち!
当初は3部作!などと大きな話から始まって、
「愛」と「変」の2冊案、
辞書のように超分厚い1冊案‥‥と、
縮小傾向に推移して、この形におさまったのでした。
ライターと僕とで泣きながら厳選した13本はこちら。
蔵にそっと安置したのは64本
(現在もどんどん増えている)。
だから、売れたら第2弾を作りたいです。

色々あって、選ばれた娘たちはこちらです(目次より)。
[01]焦る(-_-;)
[02]毛・ミゼラブル 
[03]どすこい、お見合い。
[04]まかりならん!「御法度」
[05]「もう……ウソつき。」
[06]ヲタ・ガール博覧会
[07]こんな英語に誰がした。
[08]究極の結婚式
[09]「見ないでっ!」
[10]うっかり。
[11]ありえなーい通勤
[12]ああ、なんというペット。
[13]世界まるだし非常識
[コラム]発掘! 小ネタの現場から。


▲タイトルが特に気に入っている「毛・ミゼラブル」。


▲お見合いは、真の経験者から聞いた濃密な世界。


▲世界の珍事件を集めたコラムも。
 これは「うっかり事件簿」。


今や超売れまくりの五月女ケイ子画伯。
彼女のイラストをメインに据えたのは
2003年4月号からです。
「見ないでっ!」の表紙は、絵をどう活かすのがベストかで
悩みましたが、欲張ってたくさん見せる方向を選び、
中に登場する奇妙な人々を
カタログ的に描いてもらいました。
◎ウソをつくと七三に分ける女
◎マイケル女子高生
◎「便所」とタトゥを入れたイギリス人
◎牛で通学する女子高生
◎チャッカマンで鼻毛を燃やす女
◎耳からキノコが生えた女
◎台風を予知する女

などです。
「冷蔵庫の猫」なんてのもまじっています。

また、本誌の連載はすべてモノクロページなのですが、
画伯パワーを表紙以外にも注入したいと思い、
カラー描きおろしを追加しました
(こんな英語に誰がした)。


▲外国人には日本語は難しいので、
 楽しいことが起こります。



▲一つ上の「便所」キャラ(ジミー)が活躍する傑作漫画。


▲外国に行くと、ボディランゲージの才能が見つかる、
 という話。


その英語編には、無邪気な日本語シリーズがあります。
◎「キムタク・タクサンイマス」と
 堂々と書くバリ島のクラブ。
◎「ラメおにぎり」はグアム島の梅おにぎり。
◎「フナック」は、台湾のたぶんスナック。
◎「じぬんをぐろぐろ」は、中国製花火の注意書き。
 地面をぐるぐる、ですな。

それと、「小ネタの現場から」は、
担当お気に入りでもあります。
少しだけ蔵から救ってきて、
「太った瞬間、痩せた瞬間」や
「正しい風邪の作り方」、
「方言かるた」など収録しました。


▲捨てられそうになった娘への愛情がこめられています。

最後に、セールストークを少し。
本書は、毎月毎月女性読者1,000人の告白・投稿ネタから
秀逸なものを拾い続けて、足かけ7年。
話を大げさにするならば、
720,000件からの傑作選でもある。
雑誌自体はヴィジュアル系美容誌にもかかわらず、
このばかばかしい企画は安定した支持を受けてきました。
化粧品会社のPR担当にも隠れファンが多いと聞きます。
女性たちの白書的なデータもかなり収容しておりますので、
生態研究にも役立ちます、マーケティングとか──たぶん。
TVでも毎月のように取り上げられていますし(本当)。
そして、「トイレに置いてある本 第1位!」を
目指しています。
ぜひ置いてください、会社の、自宅の、学校の、
トイレに1冊。
便利で楽しいですよ、たぶん。
僕も家のトイレに置いてみました。

最後の最後に、某書店様。
“自分を見直す本”のコーナーに置くのはやめてください。
『見ないでっ!』でセルフプロデュースしたら、
確実に変な人間ができますから。ヤバイですから。
見てみたいですけど。

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『見ないでっ!』
著者:VOCE編集部
イラスト:五月女ケイ子
価格:1,470円(税込)
発行:講談社
ISBN:4063537048
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2006-07-04-TUE

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