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| 担当編集者は知っている。 |
科学、環境の分野で国際的に活躍している 報道写真家ピーター・メンツェル氏と、 ジャーナリストのフェイス・ダルージオ夫妻が、 世界24か国30家族の「食」を取材した ドキュメント写真集です。 各国の家族と1週間分の食材を 1枚の写真におさめたポートレートや、 1週間分の食品リスト、 各家庭のご自慢レシピを見ると、 各国の生活や文化の違いが はっきりわかって興味深いです。 このご本をご担当されたTOTO出版の筏さんに お話をうかがいました。 (「ほぼ日」渡辺) ******************************** 担当編集者 /TOTO出版 筏久美子 ピーターとフェイスが この本のプロジェクトを始めたのは、 パプア・ニューギニアで出会った ある光景がきっかけだったそうです。 彼らが訪ねた山村は世界の果てのような所で、 電気や水道がないどころか、 道すらない原生林の中。 原住民の食料といえば、もっぱら山に群生している 野生のヤシの実をもいだり、 川魚を獲ってまかなっていた。 彼らはその頃 『Man Eating Bugs(虫を喰う人々)』という本を 作っていて、その取材のために行ったわけですが、 そこでは虫や幼虫なども 貴重な蛋白源だったわけですね。 ![]() ▲チャドのスイカ売りの子ども そんな原始的な村だったんですが、 なんと子どもたちが、 インスタントラーメンを食べていた! しかも幼い兄弟が、兄は乾麺を生のままかじっており、 弟はスープの素の袋を破いて サラサラ口に流し込んでいたんだそうです。 おそらく、村民が民芸品を売って わずかな現金収入を得ている、 町から来る商売相手が持ち込んだんでしょう。 栄養という概念も知識もなく、 子どもたちが栄養失調で失明までしかかっている こんな僻地の村にも、 インスタント食品が浸透している‥‥。 ![]() ▲本について語るフェイス&ピーター (photo:小松潤) 一方で、ピーターたちは取材旅行から帰国するたびに、 アメリカ人がどんどん肥満化していることに 気づいたんだそうです。 それで調べてみたら、 なんといまや米国民の70%もが “太りすぎ”になっているらしい。 「今、地球の“食”はどうなっちゃっているんだろう?」 という素朴な疑問が、この本のスタート地点なんです。 だから、どの国でも、 ふつうの家族が毎日ふつうに食べているものを ただ写しただけ。 だけど、一週間分をまとめてみたら、 いろんなことが見えてきた。 たとえば、ほとんどの欧米家庭で見られる、 ハインツ、ネスレ、ケロッグ、コカコーラといった ブランドのラベル。 日本でもお馴染みのブランドですが、 30家族分並べてみると、 いかに食品流通のグローバル化が進んでいるかが 一目瞭然にわかりますね。 スーパーマーケットが世界各地に進出しているおかげで、 地球上の食卓が少しずつ均一化しています。 ![]() ▲アメリカの典型的な家族の一週間分の食卓 その一方で、そうした流れから置き去りにされている 途上国や貧しい国々がある。 たとえばこの本に出ているスーダン難民の一家や、 アフリカ・チャドの家族、グアテマラの一家などは、 水やわずかな穀類を確保するにも必死で、 肉なんてめったに口にしたことがない。 「持つ者」と「持たざる者」の格差が、 どんどん広がっているんです。 ![]() ▲スーダン難民一家の一週間分の配給食糧 でも、ピーターとフェイスはこう言っています。 「私たちは、誰かを責めたり 傷つけたいとは思っていません。 ただ、この本を読んでくれた人たちには、 地球の“今”に気づいてほしい。 そして、自分の国以外の世界があることについて、 そこで暮らしている人々について、 話し合うきっかけになればいい」。 彼ら自身は、とってもオーガニックな食生活を 送っている自然主義者なんです。 自宅の農園で有機野菜を育て、 地下数百メートルの井戸から 岩山の源水を汲んで飲んでいる。 彼らに「“LOHAS”って知ってる?」って聞いたら、 びっくりしてましたよ。 日本で今すごいブームなんだと説明したら、 「“LOHAS”って “TEHAS(スペイン語でテキサスのこと)” みたいなやつ? 私たちにとっては当たり前のことすぎて、 ムーブメントなんて関心なかった。 私たちってブーマーなのね!」って。 私も、グローバルな視点を持ってローカルに生きる、 彼らみたいな生き方に共感しています。 ![]() ▲ブータンの大家族の一週間分の食料 彼らの次のプロジェクトが、 いくつかもう始まっています。 そのうちのひとつが、 世界の「死の儀式」を取材するというもの。 『地球の食卓』では人間の「生」に密着したので、 こんどはもうひとつの側面の「死」を捉えてみたい、と。 今、チベットの奥地に鳥葬を取材しに 行っているところです。 帰ってきたら、きっとまた刺激的な写真を 見せてくれるんじゃないかと、楽しみにしているんです。 ![]() ▲フェイス&ピーター (photo:小松潤) ********************************
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2006-06-20-TUE
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