担当編集者は知っている。



『地球の食卓 
 世界24か国の家族のごはん』
著者:ピーター・メンツェル
   フェイス・ダルージオ
訳 :みつじまちこ
価格:2,940円(税込)
発行:TOTO出版
ISBN:4887062699
【Amazon.co.jpはこちら】

科学、環境の分野で国際的に活躍している
報道写真家ピーター・メンツェル氏と、
ジャーナリストのフェイス・ダルージオ夫妻が、
世界24か国30家族の「食」を取材した
ドキュメント写真集です。
各国の家族と1週間分の食材を
1枚の写真におさめたポートレートや、
1週間分の食品リスト、
各家庭のご自慢レシピを見ると、
各国の生活や文化の違いが
はっきりわかって興味深いです。
このご本をご担当されたTOTO出版の筏さんに
お話をうかがいました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/TOTO出版 筏久美子

ピーターとフェイスが
この本のプロジェクトを始めたのは、
パプア・ニューギニアで出会った
ある光景がきっかけだったそうです。
彼らが訪ねた山村は世界の果てのような所で、
電気や水道がないどころか、
道すらない原生林の中。
原住民の食料といえば、もっぱら山に群生している
野生のヤシの実をもいだり、
川魚を獲ってまかなっていた。
彼らはその頃
『Man Eating Bugs(虫を喰う人々)』という本を
作っていて、その取材のために行ったわけですが、
そこでは虫や幼虫なども
貴重な蛋白源だったわけですね。


▲チャドのスイカ売りの子ども

そんな原始的な村だったんですが、
なんと子どもたちが、
インスタントラーメンを食べていた! 
しかも幼い兄弟が、兄は乾麺を生のままかじっており、
弟はスープの素の袋を破いて
サラサラ口に流し込んでいたんだそうです。
おそらく、村民が民芸品を売って
わずかな現金収入を得ている、
町から来る商売相手が持ち込んだんでしょう。
栄養という概念も知識もなく、
子どもたちが栄養失調で失明までしかかっている
こんな僻地の村にも、
インスタント食品が浸透している‥‥。


▲本について語るフェイス&ピーター
 (photo:小松潤)


一方で、ピーターたちは取材旅行から帰国するたびに、
アメリカ人がどんどん肥満化していることに
気づいたんだそうです。
それで調べてみたら、
なんといまや米国民の70%もが
“太りすぎ”になっているらしい。

「今、地球の“食”はどうなっちゃっているんだろう?」
という素朴な疑問が、この本のスタート地点なんです。
だから、どの国でも、
ふつうの家族が毎日ふつうに食べているものを
ただ写しただけ。
だけど、一週間分をまとめてみたら、
いろんなことが見えてきた。
たとえば、ほとんどの欧米家庭で見られる、
ハインツ、ネスレ、ケロッグ、コカコーラといった
ブランドのラベル。
日本でもお馴染みのブランドですが、
30家族分並べてみると、
いかに食品流通のグローバル化が進んでいるかが
一目瞭然にわかりますね。
スーパーマーケットが世界各地に進出しているおかげで、
地球上の食卓が少しずつ均一化しています。


▲アメリカの典型的な家族の一週間分の食卓

その一方で、そうした流れから置き去りにされている
途上国や貧しい国々がある。
たとえばこの本に出ているスーダン難民の一家や、
アフリカ・チャドの家族、グアテマラの一家などは、
水やわずかな穀類を確保するにも必死で、
肉なんてめったに口にしたことがない。
「持つ者」と「持たざる者」の格差が、
どんどん広がっているんです。


▲スーダン難民一家の一週間分の配給食糧

でも、ピーターとフェイスはこう言っています。
「私たちは、誰かを責めたり
 傷つけたいとは思っていません。
 ただ、この本を読んでくれた人たちには、
 地球の“今”に気づいてほしい。
 そして、自分の国以外の世界があることについて、
 そこで暮らしている人々について、
 話し合うきっかけになればいい」。

彼ら自身は、とってもオーガニックな食生活を
送っている自然主義者なんです。
自宅の農園で有機野菜を育て、
地下数百メートルの井戸から
岩山の源水を汲んで飲んでいる。
彼らに「“LOHAS”って知ってる?」って聞いたら、
びっくりしてましたよ。
日本で今すごいブームなんだと説明したら、
「“LOHAS”って
 “TEHAS(スペイン語でテキサスのこと)”
 みたいなやつ? 
 私たちにとっては当たり前のことすぎて、
 ムーブメントなんて関心なかった。
 私たちってブーマーなのね!」って。
私も、グローバルな視点を持ってローカルに生きる、
彼らみたいな生き方に共感しています。


▲ブータンの大家族の一週間分の食料

彼らの次のプロジェクトが、
いくつかもう始まっています。
そのうちのひとつが、
世界の「死の儀式」を取材するというもの。
『地球の食卓』では人間の「生」に密着したので、
こんどはもうひとつの側面の「死」を捉えてみたい、と。
今、チベットの奥地に鳥葬を取材しに
行っているところです。
帰ってきたら、きっとまた刺激的な写真を
見せてくれるんじゃないかと、楽しみにしているんです。


▲フェイス&ピーター
 (photo:小松潤)


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『地球の食卓 
 世界24か国の家族のごはん』
著者:ピーター・メンツェル
   フェイス・ダルージオ
訳 :みつじまちこ
価格:2,940円(税込)
発行:TOTO出版
ISBN:4887062699
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2006-06-20-TUE

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