担当編集者は知っている。



『芸術人類学』
著者:中沢 新一
価格:2,940円(税込)
発行:みすず書房
ISBN:4622071894

【ほぼ日刊イトイ新聞
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本日5月26日よりスタートした
「芸術人類学研究所 青山分校!」
6月から毎月1回、中沢新一先生が
青山にある東京糸井重里事務所で
芸術人類学の特別講義なさるのです!
そこで今回は、中沢先生の最新作
『芸術人類学』の編集を担当された
みすず書房の石神さんと安島さんに
ご本を紹介していただきました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/みすず書房 石神純子

この本の生まれるきっかけは、もちろん、
レヴィ=ストロースでした。
日本では名のみ知られる
幻の大著になってしまっていた
『神話論理』4部作を、
フランス語版原書から40年たって
ようやく翻訳出版するというときに、
遊園地の見どころ案内のような
すてきなガイドブックをつくろうと考え、
その有力な執筆候補として
中沢新一先生にお願いに上がったのでした。

執筆依頼のお手紙に快諾の返事をいただいて、
はじめてお目にかかりました。
こちらは打ち合わせ場所さえ不案内で、
中沢先生ご指定の喫茶店に向かいました。
颯爽とあらわれた中沢先生、冬でしたから、
コート姿に真っ赤なマフラーだったのを忘れません。
絵の具のように純粋な赤が似合うかたも
少ないのではないでしょうか。
写真とおんなじ、と思ってしまいました。

その後うっかり連絡をおこたっていると、ある朝、
「もうこの話はなかったことに」
とメールをいただいて、
あわてて電話をかけるとどうやら
全部お見とおし、といったひと波乱があってまもなく、
流暢なエッセイといっしょに、
5章構成の単行本の目次と、
いつもながら魅力的な書名の案が届けられました。
レヴィ=ストロースについての200ページぐらいの、
白い装幀のきれいな本になりそうだと夢みました。
でも中沢先生の頭のなかでは
さらにアイディアが組みかわり、
そこに「芸術人類学」という新しい学問の名を得て、
いまある本のかたちに結実したのです。

そういうわけで、同じくみすず書房刊の
『レヴィ=ストロース『神話論理』の森へ』
(渡辺公三・木村秀雄編)には、
ひと足おくれて出たのに同じ中沢先生のエッセイ
「『神話論理』前夜」が収められていますが、
よろしかったらこちらも、のぞいてみては下さいませんか。
さて、『芸術人類学』にはもうひとり、
共同で担当した編集者がいますので、
続きはそちらへバトンタッチします。
よろしくお願いします。


担当編集者
/安島真一


中沢先生とはじめてお会いしたのは
今から15年以上も前になります。
大学を卒業して就職した出版社で、入社早々無謀にも、
文庫版南方熊楠コレクションという企画を立てました。
その責任編集と解説をお願いしたのが
最初のきっかけです。
熊楠の生家やその書庫、さらには
ゆかりの土地などをご一緒しました。
文庫版の解説は、毎回大変力のこもったもので、
本作りの楽しさを実感しました。

そしてこの『芸術人類学』が、
私の編集者としての最後の仕事となりました。
私は文字通り中沢先生とともに編集者の仕事を始め、
中沢先生の本を作ることで編集者の仕事を終えました。
この間、常に身近にいたというわけではありませんが、
いつも中沢先生の思考が
自分の考えの指針になっていたように思います。

『芸術人類学』全体の骨格となる書き下ろしの部分は、
昨年末から今年初めにかけて
一気に形にしていただけました。
その核心を一言でまとめてしまえば、
人間の「心」の構造に、実践的・科学的に、
どこまで迫ることができるか、
ということになるのだと思います。

この「心」の問題こそ、中沢先生が、
南方熊楠のマンダラとして、
また田辺元の種の論理として、
さらにはいまだ書籍には収録されていない、
最も初期の南島のフィールドワークを通して
たどり着きたかった地点だと思います。

『芸術人類学』では、その人間の「心」の発生と
芸術の誕生を、同じ地平で捉えようとしています。
つまり『カイエ・ソバージュ』全五巻で描き出された
「対称性の知性」と
『アースダイバー』で目指された「場所の力」が
一つに結び合わされようとしているのです。
おそらくここから中沢先生の
新たな探求が始まっていくのだと思います。
多摩美術大学には、
まさにこの書物に描かれた理念を体現する
「芸術人類学研究所」が創設され、
中沢先生が初代の所長に就任されました。
今後その場を起点として、
どのような報告がなされていくのか、
心ときめかせながら待ちたいと思っています。

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『芸術人類学』
著者:中沢 新一
価格:2,940円(税込)
発行:みすず書房
ISBN:4622071894

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2006-05-26-FRI

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