担当編集者は知っている。



『玉置浩二
 幸せになるために生まれてきたんだから』

著者:志田歩
価格:1,890円(税込)
発行:雲母書房
ISBN:4876722005
【Amazon.co.jpはこちら】

「僕はもともとインタビューが苦手で‥‥」
という玉置浩二さんが、
「僕が音楽人間だということを
 この人はわかってくれてる」と
著者の志田さんの取材を受けて5年。
玉置さんのこれまでの軌跡をたどりながら、
玉置流作曲術・作詞術や、
音楽を生みだす苦しみと喜びを、
熱く綴った1冊です。
「インタビューする立場のぼくが、
 話を聞くうちに涙で言葉を詰まらせ‥‥」
と著者の志田さんは号泣されながら
原稿を書いたことも多々あったとのこと。
ファンの方はもちろん、音楽を愛する方に
ぜひ、読んでいただきたいご本です。
この本を担当された鈴木さんに
お話をおうかがいしました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/フリーエディター 鈴木茂

学生時代から数えて25年来の友人、
志田歩(あゆみ。男性です)から
「安全地帯はかっこいいぞ」「玉置浩二はすごいぞ」
と会うたびに聞かされるようになったのは、
7〜8年前だったか。
「え〜〜!? だってあの〈ワインレッドの心〉の
 安全地帯だろ?」 
10代をロックにどっぷり漬かって過ごしたぼくは、
ベスト・テン番組に出ているような
スターたちには関心がうすかったので、
いくら薦められても半信半疑のままだった。
ところが、玉置浩二の98年のソロ・アルバム
『スペード』を聴いた時だ。
プリンスにも通じる密やかに官能的なサウンド、
のびやかで力強いヴォーカル、
一語一語はっきりと聞き取れる明快な発声、
深みがあって分かりやすい歌詞、
耳になじむ美しいメロディ、
肉感豊かな心地よいリズム、
濃密なエモーション‥‥完璧な音楽がそこにあった。
なんてとんでもないミュージシャンなんだ! 
彼に対するぼくの認識は100%ひっくり返ってしまった。

「ぴあ」を退社して以来バンド活動を続けながら
音楽ライターをしている志田は、
『スペード』の発売にあたって
本人へのインタヴュー記事を書いている
志田の個人サイトで完全版が読めます)。
これがまた無類におもしろいではないか! 
作詞、作曲、歌に加えて、ギター、パーカッションなど
数多くの楽器を一人で多重録音したことは知っていたが、
まさかあのなんとも魅惑的なリズムが
ダンボールを叩いて作られたものだったとは! 
ミュージシャンの懐に飛び込んで
創作行為の神秘をえぐりだす
志田のインタヴュアーとしての力量はよく知っている。
これは本にしたい! そう思った。
なにしろ玉置浩二の人と音楽を描いたまとまった文章は
これまでひとつも世に出ていないのだ。
こんなにもったいないことはない。

さっそく玉置さん宛てに手紙をしたため、
オーチャードホールの楽屋で直接お渡しした。
「志田さんなら」とご快諾をいただいて
本格的な取材を始めたのは2002年の春。
10年ぶりに安全地帯が活動を再開しようという時だった。
軽井沢のスタジオを訪ねた志田が、
図々しいというか大胆不敵というか、
ご本人の目の前で自作の曲を
2曲もフル・パワーで歌いきってしまったことは、
本書のあとがきや、
玉置さんがこの本のために寄せて下さった
文章に書かれているとおりだ。
ふつうなら無礼でしかない行動は、
志田なりの誠実さの表れだったのだが、
それをしっかり理解し受け止めてくれた
玉置さんはすごい!

バンドのメンバーやご両親をはじめ、
プロデューサー、作詞家、フォトグラファーなど、
彼をよく知る皆さんにもじっくりお話を伺った上で、
玉置浩二のミュージシャンとしての足跡と、
とめどなく音楽が溢れてくる豊かな才能の秘密を、
リアルに描いたノンフィクションとして、
この春ついに上梓できたのが、
『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』だ。
初めて売り場に並んだのは、
新作『PRESENT』の発売と同時にスタートした
全国ツアー6日目のことだった。

執筆開始から脱稿までには約4年という
長い時間を費やすことになったが、
ぼくたちはスターの成功物語を
出したかったわけじゃないし、
芸能リポーターが喜びそうな話題にも興味はなかった。
ただひたすら玉置浩二の音楽に惚れ込み、
そのすばらしさを伝える本を作りたかった。
ご本人も、「僕は音楽人間なんだ」とお書きになっている。
しかも、まだ彼の音楽を聴いたことのない人や
真価を知らない人にも読んでもらいたかった。
本人の肉声をふんだんに盛り込んだ
通り一遍の成功物語ですませるわけにはいかない。
では、なにをもって彼の音楽の普遍性を語るのか、
それをどう納得してもらうのか? 
つまりはこの本のテーマはなんなのか? 
執筆に要した4年間は
それを二人で探し続ける時間でもあった。
そしてテーマが決まったとき
書名も自動的に決まったのだった。

時に志田が号泣しながら書いた(本当なんです!)
この本が、いったいどんな内容になったかは、
ぜひお手にとってご確認いただきたいが、
つまるところ僕たちは「音楽っていったいなんなのか?」
を知りたいのだと思う。
最終的には「これだ!」という手応えを
得られるものはできたつもりだし、
玉置さんにも喜んでいだけた。
発売からひと月ちょっと経って、
多くの読者の方々や友人・知人たち、
あるいは取材にご協力いただいた関係者の皆さんからも、
「一気に読んだ」「感動した」「志田さん、ありがとう!」
「よくぞ出してくれた」「良い本だ」といった
ありがたい言葉をたくさんいただいている。
さらに一人でも多くの人が
この本をきっかけに彼の音楽を深く知り、
その虜になってくれれば、
編集者としてそれ以上嬉しいことはない。

制作期間中には、ぼくも度々コンサート会場に足を運び
(北海道まで追いかけたこともある)、
そのたびに
「こんなとんでもないミュージシャンは日本にはいない」
という確信を深めたのだけど、
ステージでは尋常じゃないエネルギーを放射する
玉置さんだが、じっさいにお目にかかってみて、
まずハッとさせられたのが、澄んだ目の美しさだ。
思わず引き込まれてしまいそうな笑顔もすてきだった。
優れたミュージシャンほどバカがつくほど真っ正直で、
無防備に自分をさらけ出していたりするものだが、
彼もまた柔らかな感受性を持ち続ける
繊細なアーティストの一人なのだ。
そんな玉置さんが一介のライターと編集者を
最後まで信頼してくださったことには
感謝の思いでいっぱいだ。

最後に。
テレビ・ドラマ『あいのうた』が終わると同時に
曲作りに突入、わずか3ヶ月ほどで完成させてしまった
最新アルバム『PRESENT』は、
すでに何十回聴いたか分かりませんが、
聞けば聞くほど掛け値なしに名盤です。
なんとなくしか玉置浩二の音楽を知らないという方にも、
自信を持ってお薦めします。ぜひ聞いてください。
もちろんこの本を片手に、ね。

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『玉置浩二
 幸せになるために生まれてきたんだから』

著者:志田歩
価格:1,890円(税込)
発行:雲母書房
ISBN:4876722005
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2006-05-23-TUE

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