担当編集者は知っている。



『家族のゆくえ』
著者:吉本隆明
価格:1,470円(税込)
発行:光文社
ISBN:4334974953
【Amazon.co.jpはこちら】

3月7日付けの「今日のダーリン」で
「編集者の方の、ていねいな手元が見えるような仕事で、
 読みやすくて読みごたえのあるものになっています。
 書いた文章と、しゃべった言葉と、
 両方をミックスした本だと思うのですが、
 ときどき、詩を読むときのように、
 ふわっとどこか遠くに連れていかれます。
 泣くという感じでなく、涙がでそうになるところが
 あるんですよね。
 たくさんの人に、読んでもらえたらいいな。」
と、darlingがご紹介していた
吉本隆明さんの『家族のゆくえ』。
このご本をご担当された
光文社の新海さんにお話をおうかがいしました。

(「ほぼ日」渡辺)


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担当編集者
/光文社学芸編集部 新海均


太宰治のせりふ「家族の幸福は諸悪のもと」に
違和感を覚えつつ、
ずっと引っかかっていたといいます。
“家庭の幸福”が
「親子、夫婦、兄弟姉妹の利害をめぐる争い、
 いいかえれば社会的階層・階級の発生の元であり、
 法的にいえば
 あらゆる現在の血縁、交友、精神障害をめぐる
 凶悪犯罪の基をなしている」からです。

吉本さんは、昨年秋口から目を相当に酷使してまで、
一気に集中して書き下ろしてくれました。
別の本で吉本さんは
「戦後最大の事件は自分の結婚である」
と吐露しているのを読み驚いたことがあります。
しかしよく考えてみると家族を作るということは
生涯の大事件であることに違いありません。
「家族問題に比べれば政治問題や社会経済問題
 あるいは社会生活問題なんて、
 それ自体としてはもっとずっと単純ではないか」
と書きつつ、この難問にわかりやすく
実感的考察をされています。

わかりやすさの典型的な部分は、
たとえば「子育ての勘どころは二か所のみ」
といったところにも見えます。
「いちばん重要な時期は胎児期をふくめた「乳幼児期」で、
 二番目の勘どころはこの「少年少女期」から
 「前思春期」に至る時期」である、と。
第一の時期には母親ないし母親代理が
心のそこからかわいがって接触すること。
また、第二の時期には「生活がすべて遊び」なので
思う存分遊ばせること、
ここが出来ていれば大きな問題は起こさない、
と断言しています。
この大切な時期に辛いことがあっても耐えられる
「壁」が築かれるのだ、と。
昨今、深刻な少年少女事件があとをたたないが
それらはすべて両親の責任であるとも。
そして「少年A」の事件にも触れ
独自の視点が注がれています。

思春期になると「性」が完全に生活の中に入ってくる。
この厄介な時期にどのように暮らすべきなのか?
成人期に結婚をし、
肉体への関心が深まっていく老年期と
人は移行していきますが、
それぞれどのように家族を抱え生きていくのか?
吉本さんの考察は鋭い。
こうしてこの書は人間の一生の物語にもなっています。

「構想力」「想像力」「人間力」それをもって
歴史の傍流をつくり出すほかはないという。
脆くてしかし大切な“人生最大のドラマ”家族を
どのように維持し日々を楽しむか、
その一助になることは間違いないと確信しています。

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『家族のゆくえ』
著者:吉本隆明
価格:1,470円(税込)
発行:光文社
ISBN:4334974953
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2006-03-14-TUE

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