担当編集者は知っている。



『京都迎賓館
 継承される日本文化と技能』

(新建築2005年9月臨時増刊)
価格:3,800円(税込)
発行:新建築社
【ご注文はこちら】

京都迎賓館といえば国賓をおもてなしする施設。
昨年の一般公開の申し込みには、
定員5,500人のところ
約16万人から応募があったとか。
見たくてもなかなか機会がありません。

1,000年以上も前から
日本に脈々と受け継がれてきた美の意識と
優れた伝統技能が結集した京都迎賓館。
本書では、建築、作庭、伝統工芸の数々を
美しい写真と伝統工芸の作家さんや職人さんの
お話とともに紹介しています。

今回は、写真もいくつかご紹介いたします。
「ちょっとのぞいてみる」ボタンを、
ぜひクリックしてくださいませ!

(「ほぼ日」渡辺)

*********************************

担当編集者
/新建築社 豊田栄三


ブッシュ大統領を迎えた昨年11月の日米首脳会談。
大統領夫妻は今回の宿泊先にいたく感激したそうです。
その宿泊先であり共同会見を行った場所でもあるのが、
昨年4月に開館した「京都迎賓館」。

ブッシュ大統領以外にも、
パラグアイ大統領や皇太子殿下ら国内外のVIPが訪れ、
絶賛されたというこの建物は、一体どういうものか?
これは、建築に特別な興味がなくても見たくなりますよね。
しかも、ニュースなどで伝え聞くところでは、
1200年の歴史をもつ日本の伝統技能・匠の技を
この建物に集結させたというではありませんか。
ですが、重要施設の常として、特別な公開日以外は、
一般には公開されていません。むぅ、残念……。

「でも、ご安心ください!
 本書があればヴァーチャルに見学することができます!」

と、いささか怪しげな謳い文句になってしまいましたが、
本書は京都迎賓館を詳しく紹介したものなのです。

私どもの出版社は、
新建築社という創業80年の建築専門出版社で、
『新建築』や『住宅特集』ら月刊誌をメインとしつつも、
過去には「桂離宮」の本なども出版しています。
桂離宮を出版しているのだから、現代の桂離宮と目される
京都迎賓館を本にしない手はない、
と、いうわけでもありませんが、
この素晴らしい建築をより多くの方々に知ってもらいたいと
企画が進みました。
そして、この建物の設計者である日建設計も、
伝統を伝える意味でもこの建築を広く知ってもらいたいと
お考えで、本書を実現することができたのでした。
当の京都迎賓館側のご好意により発刊が可能となった
ことはもちろんです。

さて、京都迎賓館は、東京・赤坂にある迎賓館に続く、
日本でふたつ目の迎賓館施設です。
そもそも迎賓館とは、
外国の王族、大統領や首相などの国賓を迎え入れたときに、
宿泊や食事等の接遇を行う国の施設であり、
設宴に天皇、皇族などが参加する
晩餐会が行われることもある、本物のVIP施設。
赤坂の迎賓館が洋風であるのに対して、
今回は、賓客が迎賓館に滞在する中で、
日本固有の文化を体験し、
その理解を深めてもらうことを目的に、
日本的な佇まいの「現代和風」のつくりになっています。
そのために、最新の材料・技術を用いることはもちろん、
数寄屋大工、左官、作庭などの伝統技能を活用し、
しつらえなどの調度品においても、
截金(きりかね)、蒔絵・螺鈿(まきえ・らでん)、
織り物など伝統技能がふんだんに活用されています。

建物を設計したのは先にも触れた、日建設計。
日本最大の建築設計事務所です。
面白いのが、社長自らが先頭に立って設計し、
数人の設計チームでつくられていることです。
こうした仕事では守秘義務も生じますから
建物ができるまでは、
「社長は、何を楽しげに、
 週末毎に京都に通っているのだろう?」
と、本社の方々から不審がられたとか。
大会社ともなると、つくり手の顔が見えずらいものですが
ここではものづくりの姿勢が一貫していました。

本書は、設計者による建物解説、写真集、図面集、
何名かの伝統技能者へのインタビューを含む
伝統技能紹介から構成されています。
概して、写真を大きく扱っていますから、
専門家のみならず、この魅力をお伝えできるかと思います。

写真撮影は、新建築社写真部の鈴木研一が行いました。
私も撮影に同行しましたが、何といっても気を遣います。
それもそのはず、
「これは人間国宝の誰それさんの作品です」という物が
いたるところに“日用品”として置かれているのですから。
普通は、美術館のショーケースに厳重に納められている物が
ここではむき出しなのです。
障子にしろ、壁にしろ傷つけられるものではありません。
当然、上履き・白手袋着用なのですが、
撮影にはやる気持ちや気の緩みを抑えるのは大変でした。

でも、幸いなのは、この機会に建物を見て回れたこと。
どこもかしこも日本的な気品に溢れています。
畳敷きの室内と庭が一体になった眺め。
優雅で豊かな水庭や庭園の散策。
どうやってつくったのか一見分からない細工など、
日本の文化や風土に根差して培われた
「あぁ、いいな」と思える感覚や好奇心が、
いたるところで呼び起こされます。

また、全体が調和しているので、気づきにくいのですが、
よくよく見ると、「ありえない!」ことがあるんです。
この天井、よく見れば1枚の木の板!?
大きな部屋なのに、これだけ細くて少ない柱!?
こんなに長いのに障子が連続している!?
この石、どうやって合わせているの!?
なんて、驚きがあります。
このあたりは、写真を見ながら、
ぜひ「あれ?」っと面白がってほしいです。

ひとつひとつの伝統技能もすごい迫力です。
何人かの匠にインタビューさせていただきましたが、
どの方も魅力的で、含蓄ある言葉を伺うことができました。
この京都迎賓館を建設することによって、
伝統技能が、絶たれずに、継承されたという面があります。
21世紀に踏み入った現代、
日本の文化や伝統をどう捉えていくのか、
人によってはさまざまな考えがあるでしょう。
本書が、その考えを深める一端にでもなれば幸いです。

私としては、この仕事に携わっているとき、
「日本にはまだこういう技が残っていて、
 こういう人がいるのだ」と、
日本という国にひそかに誇りを抱くことができました。
とんでもないニュースの多い昨今、ありがたいことです。
皆さんはいかが思われるのでしょう?
ぜひご一読ください。

*********************************



『京都迎賓館
 継承される日本文化と技能』

(新建築2005年9月臨時増刊)
価格:3,800円(税込)
発行:新建築社
【ご注文はこちら】

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2006-01-10-TUE

BACK
戻る