担当編集者は知っている。



『また ぶたのたね』
著者:佐々木マキ
価格:1,260円(税込)
発行:絵本館
ISBN:4871101509
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シュールでナンセンスな遊び心いっぱいの
佐々木マキさんの新刊絵本が出ました!
走るのがとっても遅くて
ぶたもつかまえられないおおかみが、
きつねはかせから、
ぶたの実のなる木のたねをもらって、
育てるお話です。
笑えるけど、ちょっとせつないところも
よいのです。
この絵本を編集された、
絵本館の編集長の有川さんに
お話をおうかがいしました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/絵本館 有川裕俊


佐々木マキさん。
ガロ世代の方には漫画家として、
村上春樹さんファンには
村上さんの本のイラストレーターとして
お馴染みの作家です。
ちなみに村上春樹さんは学生時代から
佐々木マキさんのファンだったそうです。
村上春樹の世界、佐々木マキの世界、
なんとなく分かります。
そして絵本作家としての佐々木マキさんは
子どもから大人まで、
その独特な世界へといざなってくれる
特異な水先案内人でもあります。
絵本館には、そんな佐々木マキワールドを
たのしめる絵本がたくさんあります。
まずは『変なお茶会』や
『ムッシュ・ムニエルシリーズ』。
そして、今回の『また ぶたのたね』の
前作にあたる『ぶたのたね』などです。


実は、この『ぶたのたね』は、
今から十何年も前に、
今は作家として活躍している湯本香樹実さんから
「おもしろい絵本があるのよ」と
教えてもらったのがきっかけで出版しました。

一見して「これはおもしろい絵本だ!」と思いました。
ところがというべきかうまいぐあいにというべきか、
その出版社は一般の書店に
この『ぶたのたね』を販売していませんでした。
それなら絵本館で出版しよう、
ということで絵本館版『ぶたのたね』が
誕生したのが1989年。
今から16年ほど前のことです。
以来、重版をかさね、
今では親子2代で楽しんでいただく
人気絵本となりました。

今年の夏の終わり、マキさんから
「有川さん、ながらくおまたせしました。
 『ぶたのたね』の続編の構想が
 やっとまとまりました」
という電話が入ったのです。
その時の社内の湧き様は大変なものでした。
すぐにご自宅のある京都へ向かい、
ちょっとした打ち合わせをしました。
ぜひ、今年中に仕上げていただきたい
と無理なお願いをして、待つこと一ヶ月。
まずはあらすじと、広告用として
鉢植えにこぶたが3匹というカットが届きました。
これには笑いました。
よりによって鉢植えにこぶたが3匹ですよ。
そうか、今回の展開はこうなのかと。
気持ははやるばかりです。

そして、マキさんから
「『また ぶたのたね』ができました。
 いつでも取りにきてください」
という待ちにまったFAXが届いたのが10月末。
制作はとんとんと進み、
最後に表紙の色の決定などをして
『また ぶたのたね』は出来上がりました。

今回も前作と同様、
とてつもなく走るのが遅いおおかみが主人公。
なんとかぶたをつかまえて食べたい。
そこできつね博士から
「ぶたのたね」というものをもらいます。

ところが結末はというと・・・・。
このあとの展開は、
みなさんが絵本を手にとっての
たのしみにしてください。
こうしてマキさんファンはもちろんのこと、
たくさんの子どもや大人がたのしめる絵本がまた誕生!
と相成りました。


実は、こういったユーモラスな絵本をつくれる作家は
とても少ないのです。世界的に見ても少ない。
日本は多いほうです。
それでも10人もいないかもしれません。
佐々木マキさんは、そんなユーモアやナンセンスを
絵本で表現できる数少ない作家のひとりです。

真面目一本やりの大人の方から、
「ユーモラスな絵本やナンセンスな絵本を読んで
 子どもに何が身につくのですか?」
と問われることがあります。
ぼくの答えは単純です。
「子どもがユーモアや冗談をたのしめる人に
 なってくれるといいとおもいませんか」です。
ユーモアって心の余裕、ゆとりです。
ナンセンスはいろいろな角度から
物を見る訓練に恰好なものです。
おもしろい上にこんな余禄がついてくるんですから、
いうことないでしょう。

真面目を金科玉条にしている人と生活するのは
つらいものです。
ぼくは家庭でも会社でも、
ユーモアや冗談で笑いがたえない生活がいい、
とおもっています。
まあ、人それぞれでしょうが。

ただ大人はユーモアやナンセンスの絵本を見て
「大人のわたしがおもしろいとおもったのだから
 子どもには無理だろう」
とおもいがちです。
ところが、大人が考えるより子どもの
おもしろいものに対するキャパシティはずっと広い。

あたりまえですが子どもはおもしろいものに貪欲です。
それにおもしろくなければ長つづきしません。
役にたつとか、ためになるというのは、
おもしろいとおもったあとに検討すべきものです。
みんなが検討することはありません。
そんなことはわれわれ商売人にまかせて
「なにごとも熱中してやれば
 なにかが自然と身につくもの」、
そんな気楽な気持ちで
子どもと絵本のことは考えてください。

このことをとりちがえている大人は多い。
ここが子どもと絵本に関する
ボタンのかけちがえのスタートです。
かわいそうですがとりちがえた人には、
あと混乱がまっていることになります。
つまり子どもに絵本を読んであげながらイライラする。
損な話です。         

なによりもおもしろいが最優先です。
大人のあなたがおもしろいとおもった絵本を
子どもにすすめてなんの問題もありません。
言ったように子どものおもしろい絵本にたいする
キャパシティは大人の想像よりずっと大きいのです。
このことは自信をもって言えます。
理由は、毎日届く「愛読者カード」です。
それらの「おもしろいと思う気持に年齢は関係ない」
と確信させてくれる
様々な「声」を日々読んでいるのですから。

たとえば『変なお茶会』。
「なぜなのでしょう、2歳の子どもが気に入って、
 おどろきました」などというお便りが
たくさんきます。ためしに子どもと見てください。
おもいもよらないことでしょうが、『変なお茶会』には
子どもの大好きなものがたくさん登場します。

早速、発売してまだ何日も経っていない
『また ぶたのたね』にも愛読者カードが届きました。
「クリスマスプレゼントにはこれしかないと思いました」
とのこと。

これからもたくさんの「声」が届くことでしょう。
そんなうれしい便りを作者のマキさんにとどけるのも
出版する者としてのよろこびです。

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『また ぶたのたね』
著者:佐々木マキ
価格:1,260円(税込)
発行:絵本館
ISBN:4871101509
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-12-20-TUE

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