担当編集者は知っている。


『負けるのは美しく』
著者:児玉清
価格:1,680円(税込)
発行:集英社
ISBN:4087747743
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クイズ番組『アタック25』を観て、
児玉清さんの知的でスマートな物腰と
シャープな語りにしびれる方も多いのでは?
「ほめ道を往く。」でフランソワーズさんも絶賛でした!

児玉さんは大変な読書家・書評家としても知られ、
今までに何冊も本をお書きになっていますが、
本書は、児玉さんの半生を綴った初の回想録です。
お母様の死がきっかけで、大学院進学を断念、
ひょんなことから、東宝ニューフェイスとしてデビュー。
その後、黒澤明監督や俳優たちとの出会い、結婚、
最愛の娘さんが亡くなったお話‥‥

涙と笑い、そして、児玉さんの貫かれた生き方が
じんわりと伝わってくるこのご本のエピソードを
集英社の阿部さんにおうかがいしました。
(「ほぼ日」渡辺)

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担当編集者
/集英社翻訳書編集部 阿部行子


サイン会で、一人ひとりとお話を

『負けるのは美しく』の発売にあわせて、
集英社販売部は東京都の書店さんに連絡して、
児玉清さんのサイン会の開催をお願いしました。
その結果、9月10日、東京・新宿の高島屋で、
児玉清さんのサイン会が催されました。
主催は「児玉清さんは、うちの上得意さまです」
とおっしゃる、紀伊國屋書店・新宿南店
(お得意さまのわけは後ほどお話ししますね)。

当初、100人を予定していましたが、希望者が多くなり、
会場には午後4時の開始前から、
児玉さんファンの方がずらっと並ばれていました。
児玉さんは一人ひとりににこやかに話しかけられ、
なんと200人の方にサインをしてくださいました。
映画俳優のころからのファンだとおっしゃる方、
NHKの朝の連続テレビ小説『ファイト』や、
朝日放送のクイズ番組『アタック25』
(実際にクイズに挑戦なさった方もおいででした)、
また大人気のCM「大豆ノススメ」のことや、
それにNHKの『週刊ブックレビュー』を観ています
とおっしゃる読者の方などに、
児玉さんはあのすてきな笑顔で応対され、
サイン会は大成功でした。
担当編集者は、児玉さんがサインをなさっている横で、
読者の方から本をお預かりしていただけですが、
この『負けるのは美しく』をお書きになった、
児玉清さんの意図がきちんと捉えられているという
手応えを、最初に感じた瞬間でした。


本の企画は4年前から

2001年8月、集英社の文芸誌『すばる』の編集者
岸尾昌子とわたしは、
初めて児玉清さんにおめにかかりました。
前にわたしが編集した本に推薦をいただいた関係で、
岸尾から児玉さんに『すばる』で連載をお願いできないか
と相談され、お電話でその旨をお伝えしたところ、
とにかくお会いしましょうというお返事を
いただいたのです。
その後、岸尾が何度も児玉さんと内容の打ち合わせをして、
翌年の2002年5月号から、
『ちちんぷいぷい玉箒』というタイトルで連載開始、
2005年4月号までご執筆をいただきました。
というわけで、この欄に書かせていただくのは、
岸尾のほうが適任ですが、
彼女から取材したものもあわせて、
ご紹介させていただきたいと思います。


『ちちんぷいぷい玉箒』から
『負けるのは美しく』へ


児玉さんは幼いとき人一倍活発で、
しょっちゅう怪我が絶えなかったそうです。
そんな児玉少年が痛さに顔をしかめていると、
おかあさまのやさしい一言、
「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの飛んでけーっ!!」。
おかしなことに、その瞬間、痛みが飛んでしまったような
気分になられたとか。
「まさに、母は、憂いを払う魔法の玉箒を持っていた」
のです。
その後の人生のさまざまな局面で、
おかあさまの言葉に代わる玉箒はあったのか、
「あったとすれば、それは何だったのだろうか」。
そんなことから、連載のときは
『ちちんぷいぷい玉箒』というタイトルを選ばれた
ということです。
また、児玉さんが大学院進学をあきらめ、
俳優になられたのも、
おかあさまの突然の死がきっかけです。
この本はそのへんの事情を描いた
「母とパンツ」から始まります。

昭和33年(1958年)、観客動員数約15億人という、
いまだに破られない記録をもつ日本映画界の黄金期。
東宝ニューフェイス13期生になった児玉さんの目に、
黒澤明、稲垣浩、久松静児、三船敏郎、月形龍之介など、
名監督や華やかなスターたちがどのように映ったのか。
その後に、映画界からテレビの世界へ移った理由、
そこで観た名優と謳われた森雅之の
「一人ぽつんとよみうりランドの庭園で
 空を眺めている姿」、
肺結核と糖尿病に苦しんでいた山茶花究の
「すさまじいまでの役者としての執念」など。
また、フランス文学者の篠沢秀夫教授との、
学習院時代からの交友や、
「寝ても覚めても本の虫」の児玉さんが、
アメリカのベストセラー作家ネルソン・デミルと
対談なさったときの逸話など、
児玉さんは自由な発想で、
俳優生活50年の半生をつづってくださいました。

単行本にするにあたっては、
『すばる』掲載時約4ページ分の
作品36編を、いったん順番をばらばらにして、
第1章の「名もなき雑魚として」から、
第2章「忘れ得ぬ監督、俳優たち」、
第3章「スクリーンからブラウン管へ」、
第4章「素顔のままで」、
第5章「天国へ逝った娘」の5章にまとめなおし、
それぞれの作品のおしまいに
『すばる』掲載時の年月号を入れて、
お書きになったときがわかるようにしました。
単行本のタイトル『負けるのは美しく』は、
児玉さんのご希望です。
それとともに、「あとがき」をいただきました。
少し長めの「あとがき」には、
映画からテレビの世界に移られ、
たくさんの女優さんの相手役を演じていくうちに、
心に期するようになられた
「俳優・児玉清」の信条が吐露されています。
最初に読ませていただいた担当編集者としては、
身の引き締まる思いでした。


カバーと本文のなかの絵にご注目!

児玉さんには、切り絵の『たったひとつの贈り物』
(朝日出版社)という本がありますが、
『負けるのは美しく』のカバーと本文の絵も
児玉さんが描かれたものです。
岸尾に言わせると、
「毎回、テーマにそった絵をいただくのも楽しみだった」
そうです。
それに、各編の冒頭の、児玉さんが選ばれた名言にも
是非注目していただきたいと思います。
例えば、「恥を乗り越えてこそ」では、
トム・クランシーの“TRAVELS”から
”What you see is what you see”が
引用されています。
翻訳本はもとより、原書から多く引用され、
それとともに児玉さんの愛読書が
それとなくわかって興味はつきません。

そこで、冒頭の紀伊國屋書店さんの言葉
「児玉さんは、うちの上得意さまです」に戻ります。
児玉さんはご自宅からバスに乗って、
よく新宿南店に来られるそうです。
『週刊ブックレビュー』でも、
その読書家としての一面がうかがえますが、
いつも『ニューヨーク・タイムズ』などで、
海外の新刊情報をつかんでおられて、
お店におめあての原書がないとがっかりされるそうです。
分厚い原書を読んおられる児玉さん、
今、お読みになっているのはどの作品でしょう。
また『すばる』へのご執筆を、楽しみにしています!

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『負けるのは美しく』
著者:児玉清
価格:1,680円(税込)
発行:集英社
ISBN:4087747743
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-10-25-TUE

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